魔物の使役
空が白む頃、体調に変わりない事を確認して軽く朝食をとる。
朝食の内容は最初から備わっていた干し肉と、昨日森で収穫した緑色の果物を一つ食べた。
ちなみに森で採れる果実は「リンゴ」と呼ぶことにした。
有している知識の中で味、食感が一番似ている果実が林檎だっただけなので厳密には違うかもしれないが……
今の所備蓄食料が尽きたらこのリンゴしか食料が無いのが不安要素だ。
なので今日も今日とて食料探しに森へ探索に出ようと思う。
「異世界でサバイバル生活、か……」
一人の寂しさを感じた時、ふとレイギが視界に映る。
操壺蟲の効果、魔蟲支配で操って分かったことがある。
それはこの昆虫型の魔物にも自意識が有るということだ。
普通の虫とは違い本能だけで生きている訳ではなく、スキルを通して希薄だが感情が流れてくるのだ。
今、レイギから感じるのは……。
……多分お腹すいた、かな?
そう言えば昨日からご飯をあげてなかった……レイギは何を食べるんだろうか? アリだからやはり肉食?
一旦俺が食べたものと同じものを出してみた。
「シャクシャク、ブチブチ――」
すると勢い良く食べてくれた。
「おお、どっちも食べてる、雑食かあ」
いい食べっぷりでペロリと平らげてしまった。
こうなってくると益々食料確保に全力を注ぐ必要がある。
「カチカチ、カチカチ――」
「ん、なんだあ?」
レイギの感情から闘争心が窺えやる気に満ちている。
「凄いやる気だ、ふむふむ――」
さらに顎を鳴らしクルクルとその場で回っている。感情と身振りから汲み取るに、どうやら狩りをして食料を獲りたいようだ。
なるほど、丁度俺もそれを考えていた。
だが現状で狩りをするには知恵も数も足りない。そこでレイギ同様新たに魔物を使役しようと思った。
「ブラックアント、同じ種族がいいな」
他の魔物も気になるところではあるが、仲間を増やすなら超個体のスキルが生かせるであろうレイギと同じ種のブラックアントがいいだろう。
外を見れば朝日が昇り暗い森を照らし始めたころだった。
今日も森を探索するための装備を準備し家を出る。
冷たく心地よい空気を肺一杯に大きく吸った。
「よし、今日も頑張るぞ!」
そして俺たちは昨日向かった方向と同じ方向へ歩き出した。
道中レイギとスキルの効果を試しながら森を進み、大河の川原まで来た。
スキルとは便利なもので、意外と意思の疎通もできた。
前回レイギを使役した辺りへ来てみたが中々見つからない。
「確かこの辺だったはずだが……」
石や流木の下には居なかった。
元々同じ仲間だったレイギならブラックアントが何処に行ったのか分かるだろうか?
「ブラックアントが何処に居るのか分かるか?」
そう問いかけてみると、レイギは触覚をダウジングの様に動かし地面を気にしながら進んでいく。
どうやら触覚で何かを感知し進んでいるみたいだ。
先ほど歩いて来た森の方へ戻り南側へ進んでく。
因みに、日の昇る方角と落ちていく方角を見て東西南北を割り出した。若干太陽が南の空を通って西へ沈むように見えるので北半球に位置しているのだろう、多分。
迷わないように分かりやすく目印を付けながら進んでいると、レイギの足がピタッと止まり頭を上げた。
その視線の先には黒く蠢く帯状の何かが視界に広がった。
「もしかしてあれ全部ブラックアントか……?」
予想していなかった規模のアリの行軍に一瞬思考停止してしまった。
行軍している集団の中には大きな躯体のアリも混じっていた。
「大きいのは兵アリか?」
丁度今狩りをした後なのだろう、分解された動物の死骸を運んでいる最中であった。向かう先はきっと巣のある場所なのだろう。
数えるのも馬鹿らしくなる程の数だ、流石にここでリスクを冒して切り込む馬鹿な真似はしない。
「レイギ、逸れている個体は居そうか?」
そう問いかけると獲物を運び込んでいる方向とは真逆に向かうように歩いていく。
後を追いしばらく進むと行軍の列が切れ切れになってきた。
少し離れた所で孤立した二匹を見つけたので奇襲を仕掛けることにした。他の仲間が集まってくる前に短期決戦で行きたいところだ。
森を歩きしばらくして、大河の川原まで来た。
前回レイギを使役した辺りへ来てみたが中々見つからない。
「確かこの辺だったはずだが……」
石や流木の下には居なかった。
元々同じ仲間だったレイギならブラックアントが何処に行ったのか分かるだろうか?
「ブラックアントが何処に居るのか分かるか?」
そう問いかけてみると、レイギは触覚をダウジングの様に動かし地面を気にしながら進んでいく。
どうやら触覚で何かを感知し進んでいるみたいだ。
先ほど歩いて来た森の方へ戻り南側へ進んでく。
因みに、日の昇る方角と落ちていく方角を見て東西南北を割り出した。若干太陽が南の空を通って西へ沈むように見えるので北半球に位置しているのだろう、多分。
迷わないように分かりやすく目印を付けながら進んでいると、レイギの足がピタッと止まり頭を上げた。
その視線の先には黒く蠢く帯状の何かが視界に広がった。
「もしかしてあれ全部ブラックアントか……?」
予想していなかった規模のアリの行軍に一瞬思考停止してしまった。
行軍している集団の中には大きな躯体のアリも混じっていた。
「大きいのは兵アリか?」
丁度今狩りをした後なのだろう、分解された動物の死骸を運んでいる最中であった。向かう先はきっと巣のある場所なのだろう。
数えるのも馬鹿らしくなる程の数だ、流石にここでリスクを冒して切り込む馬鹿な真似はしない。
「レイギ、逸れている個体は居そうか?」
そう問いかけると獲物を運び込んでいる方向とは真逆に向かうように歩いていく。
後を追いしばらく進むと行軍の列が切れ切れになってきた。
少し離れた所で孤立した二匹を見つけたので奇襲を仕掛けることにした。他の仲間が集まってくる前に短期決戦で行きたい所。
同じブラックアントでスキルの構成に大きな差は無いと思っている。中でも一番厄介なスキルは超個体だろう。
使役したばかりのレイギでスキルレベル5だ、相手も同じかそれ以上と考えて行動するべきだ。
しかもこちらはそのスキルの効果が発動していない。
「噛みつきに蟻酸……高いステータスか――」
どう考えても挑むには危険すぎる相手だ、だけど……
「俺のイメージで行けそうか?」
「カチカチッ!!」
ならばよし、先手はこちらが頂こう。
おもむろにリンゴを取り出し切れ目を入れる。それを弧を描くようにブラックアントの後ろへ投げ捨てた。
物音と匂いにつられブラックアントが後ろを向く。
複眼で視野角は広いだろうが、解像度はそうでもないはずだ。
俺とブラックアントで決定的な違いを述べるとすればそれは……
『――熱波ァ!!』
隠密状態を意識しつつ魔法を放つ。
周囲の温度が上昇していき先ほど投げたリンゴの水分が次第に蒸発していく。
「「――ガチガチ、ガチ……」」
素肌ならばダメージを追う程の熱波を浴びたブラックアントたちは見る見るうちに動きが鈍っていく。
頃合いを見て魔法を止める。
「レイギ!一匹任せたッ!!」
「ギシシッッ!!」
レイギに一匹抑え込んでもらっている間にもう片方のブラックアントに魔蟲支配を発動させた。
―魔蟲支配―
パスが繋がり魔力による支配が始まる。
レイギは今の所大丈夫そうだ。こっちの一匹が使役できればレイギはステータスによるアドバンテージが出来る。
一連の流れを説明すると、ブラックアントの視力の悪さとリンゴの臭いを囮にして、背後から火魔法の熱波で昆虫の苦手な乾燥状態を作り出した訳だ。
しばらくすれば――
『支配可能、ブラックソルジャーアントを使役しますか?』
――ああッ!
レイギと種族名が違う気がしたが、今はそれどころではない。
するとレイギのスキルがアクティブになったのだろう。藻掻くブラックアントを必死に抑えていたレイギだったが、今は軽々押さえつけている。
―魔蟲支配―
「ぐあッ!?」
さらに残りの一匹に魔蟲支配を発動させようとしたが、強烈な眩暈と倦怠感にその場でしゃがみ込んでしまう。
「クソッ、魔力が……レイギ、そいつは任せた――」
混濁する意識の中、その言葉を最後に意識を手放した。




