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孤独のアスラ  作者: 名無 空


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4/10

初めての仲間



 ブラックアントを使役した帰り道。


 大河から家に戻る途中、木の葉っぱを確認していたら緑色で拳大の果実が実っていることに気づいた。



「スキルの事を考えてたせいか、全然気づかなかったな」



 果たしてこれは食べられる果物なのか? 分からないが取ってみるか。

 そう思い木に槍を伸ばそうとしたところ――



「ガサガサ、テチテチテチテチ、ブチッ」



 急にブラックアントが木へ登り果物を蔕の少し上を噛み切り落としてくれた。



「お、おう ありがとう」



 こちらの意図を汲み取り採取してくれたようだ。


 続けて二個三個、木の上から落としてくる。



「わあ、もう大丈夫だよ!」



 その声を聞きするすると木を降りてくる。

 触覚をくねくねと動かしこちらを向いている。

 何だか誇らしそうだ。



「食べられるか分からない果物が三つ……」



 持って帰れない量ではないが抱えたら方腕が塞がってしまう。

 片手には槍を持ち歩いていたので両手も完全に塞がってしまう。

 ならば一つ、ここで試しに切ってみよう。


 ちなみにナイフは腰に携えている。


 果物を半分に割り匂いを嗅いでみる。

 皮は薄く断面は白っぽかった。



「匂いは甘い匂いがするな。 少し舐めてみるか」



 果物の断面を舐めてみたところ特に舌の痺れや苦みなどは感じなかった。

 それどころか甘みが強く、ほんのり酸味がした。



「っこれは……滅茶苦茶旨いかも」



 我慢できずに果実に歯を立ててみた。



 ――シャクッ



 心地よい歯ごたえが顎に伝わり口の中へ果実のジュースがあふれ出す。


   

「ん、んふう(うまい)!」



 シャクシャクと、一口また一口と食べる勢いが止まらない。


 二つに割った果実が手元にはもうなかった。


 勢いで食べてしまって毒の成分が無いか心配だが、こんなに美味しい果実なら動物や魔物が食べずに居るのは難しいんじゃないかと思う。


 なんて言い訳を頭に浮かべながら、流石に二個目は止めておこうと思いとどまった。



「食ってしまった物はしょうがない、体調が悪くなってもいいように早く帰ろう」



 軽率な行動だと思い冷や汗をかく。


 帰り道は腹の調子を気にしつつ、特に何事もなく家へ戻る。

 何だかんだこっちに来てから休まず動きっぱなしで少し疲れてきた。


 しばらくして広場にポツンとある家に無事戻ってきた。

 今の所体調も変わりないが、念のため休むか。



「最初の探索にしては好調なのではないだろうか」



 探索の結果に満足しつつベッドの上へ腰を下ろし休んだ。







 んん――



 家に帰りベッドで寛いでいたらいつの間にか眠ってしまった。

 初めての事尽くしで思っていたよりも疲れていたみたいだ。


 そして今目の前の足元には十センチ程の蟻の魔物、ブラックアントがこちらを見ていた。


「そういえばこいつ、スキル確認してなかったな」



 そうは言いつつ、噛みつきと蟻酸は何となく分かる。分からないのは超個体だ。

 そんなスキルを持つブラックアントのステータスはこんな感じ。



-no name-


Lv3 ブラックアント


状態:使役中


H 20

M 5


体 9

力 17

守 9

速 7

器 6

魔 5


スキル

噛みつきLv1 蟻酸Lv1 超個体Lv5



 折角なら後で名前でも考えるか? 毎回種族名で呼ぶのも味気ないしな。


 それよりも気になるスキルが一つある。



「超個体――」



 嚙みつきや蟻酸は字面から想像はつくが、このスキルはいまいちピンと来ていない。


 そこでスキルの詳細が分からないか意識をしてみたところ、自身のスキルと同じように確認することが出来た。



スキル

超個体Lv5

「スキルレベルによって連携補正、全ステータス強化値アップ。

Lv1=連携補正10%、全ステータス+10

Lv2=連携補正20%、全ステータス+20

Lv3=連携補正30%、全ステータス+30

Lv4=連携補正40%、全ステータス+40

Lv5=連携補正50%、全ステータス+50

 超個体とは多数の個体が集まり単一の生物の様にふるまう生物に発現するスキルである。

 連携補正は組織的な動きに対してかかる補正で、全ステータス強化アップと合わせて同じスキルを持つ者が二体以上で発動するパッシブスキルである」



 おお、成程。生物としての特性が反映されたようなスキルだな。


 そういえば川原でダンゴムシを狩っていた時も見事な連携を取ってたな。


 てかレベル5ってめっちゃ効果が高くね?



「成程なあ、集団でこそ輝くスキルか」



 一体だけだと完全に死にスキルだな。これは複数体使役して自衛能力を高めるのが良さそうだ。


 一応「噛みつき」と「蟻酸」も確認しておこう。



噛みつきLv1

「スキルレベルによって噛みつきの威力倍率が上がる。

Lv1=攻撃倍率1.2倍

 もっとも原始的な攻撃方法」



 超個体から一転、すごく簡潔な説明だ。



蟻酸Lv1

「スキルレベルによって生成される蟻酸の濃度が上がる。

Lv1=1~10%

 蟻酸は有機酸の毒素で、攻撃や防御に使用され腐蝕性と浸透性で外敵を傷つける。

 濃度調整をすれば素材の加工にも使える」



「おお? これは意外に便利スキルの予感だ」



 改めてしっかりスキルを把握することは大事だなと思った。

 出来ることと出来ないことを明確にする、これは生きて行く上で生死を分けると言っても過言ではない。

 後で実際にスキルの使用感を確認してみよう。



「そういえば名前も考えなきゃか」



 折角だし名前も考えたい、毎回種族名で呼ぶのは味気ないしな。



「お前、勝手に名前つけてもいいよな?」



 蟻、昆虫、黒い、デカい、初めての……んー名付って案外難しいなあ。

 初めて使役した記念の一体目だ、しっかりと意味のこもった名前にしたいが……


 数分考えた結果。


   

「……レイギ」



 考えた末出てきた名前は「レイギ」、意味は。

 

 ――産まれたての創られたばかりの世界。そんな黎明の世(はじまりのせかい)で仲間になった最初の蟻――


 そんな意味を考えて名付けた。



「名付って大変なんだな……」



 まあ魔物とは言え昆虫なのでワンシーズンでぽっくり行ってしまう可能性もあるのだが、こういう儀式的なところはしっかりとやっておきたいと思った。



「これからもよろしくな、レイギ」


「……カチカチ!」



 レイギは顎の牙を嬉しそうに鳴らした。




果実は青りんごのイメージ。

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