始まりと邂逅
どうもこんにちは。
面白くなればいいなー
とある森の中、それは光も音もなく最初から其処に居たかのように突然現れた。
「っ……ここが異世界か」
異世界へ飛ばされて初めて発した言葉、この身体で初めて発した言葉であった。
この世界は所謂剣と魔法のファンタジーな世界らしい。
ステータスが存在し、とてもシステマチックであった。
-アスラ・カウス-
Lv1 人間
H 30
M 30
体 10
力 10
守 10
速 10
器 10
魔 10
スキル
操壺蟲Lv1 原始魔法Lv1
総合戦闘力 60P
称号
始祖
頭の中で思い浮かべてみるとこんな感じで自分のステータスウィンドウを表示する事が出来る。
これは他人には見えないらしい。
先ほど「この世界」と言う言い回しをしたが、俺はこの世界の人間ではない。
正確に言うとこの肉体はこの世界で生まれたものだが、この意識は前世のもので別の世界からこちらの世界へ来たものである。
らしいのだが、記憶が残ってないのでそうなのかとしか思わない。
現状は転生と言うより憑依に近い状態らしく、十数年位この身体で過ごせば魂も完全に定着するそうだ。
何故そんなことを知っているかというと、先ほど転生を司る神なる存在にこちらの世界へ連れてこられた時に聞いたからだ。
ここは何処だろう……あれ俺の身体って
気づいたらどこまでも白い世界が広がる空間で目が覚めた。
視覚があるのに身体が存在しておらず、現状が理解できないでいた。
それにしてはやけに落ち着いている事に疑問が浮かぶ。
そんな思考に耽っていると……
目の前の何もない真っ白な空間に突然人型の影が現れた。
誰...…?
『初めまして、余は転生を司る神である。君を此処へ呼んだのは別の世界へ行ってもらいたいからである』
突然そんなことを言われたもので理解するのに数秒沈黙してしまった。
『流石に急にそんなことを言われて困惑であろう。詳しく説明をする時間くらいは確保するので気になる事があれば教えよう』
随分一方的な話ではあるが断ることは出来るのであろうか?そんなことを考えていると。
『君には拒否権はない、世界を渡ることは既に決まっている』
ふむ、強制か……というか考えが読めるのか? 確かに今の俺には肉体が存在しない、どう質問すればいいか分からなかった所だ。
『今の君は魂だけの状態、余が考えを読み取るので自由に思考するがよい』
なるほどやはり思考を読めるのか。であれば元々の俺はどうなったのかを知りたい、何も思い出せないのだ。
『前世の記憶については詳しくは伝えることが出来ない。異世界に行く際に成熟した意識が無いと色々不便であると思い記憶だけ消して意識と魂だけを連れてきたのだ。意識を維持しなければ憑依先に赤子の意思を宿すようなものになりすぐ死ぬであろう』
記憶は分からずじまいか。それに憑依?転生とか転移とかではないのだな?
意識を維持する理由は分かった。だが記憶を消す意味はあるのだろうか?それに記憶を消されて尚悲しみや怒りといった感情が湧いてこないのも気になる。
『徐々に思考速度も上がってきたようだな。これくらいなら一度に説明してもりかいできるであろう。先ずは記憶の消去についてだが、ただ単に憑依先で前世の世界への帰還を望んでほしくなかっただけである。発展途上な世界であるが故、折角異憑依させたのに望郷の念にかられて帰られては困るであろう』
たしかに理には適っている。
『精神状態についても説明しよう。今の所この空間限定ではあるが喜怒哀楽の感情を奪っている状態である。こちらの話を聞いて混乱しないように、そして冷静に話を聞けるようにいじらせてもらったのである』
妙に落ち着いていたのはそのせいなのね。「今の所」と言った言い回しが気になるところだが……
『それについては…いや、憑依後人の世を生きる間に自ずと知る事であろう、今は何も言うまい』
なんだそれ、急に釈然としないのだが?
『まあ後に分かる、続けて説明するぞ。憑依についてだが憑依先の世界はまだ発展途上で君が初めての人類になる予定なのである。そこで――』
え、今とても重要なことを聞いた気が……
『――憑依先には創造神様が創り出した器に入ってもらおうと思っておる。だから転生でも転移でもなく憑依と説明しているのだ』
色々と気になる事はあるが、先ほど感じた疑問点についての説明は理解した。
『まだまだ知りたいことはあるだろうが君の現状については大分把握できたのではないか? それと本題はこれからである。これから説明するのは憑依先の世界の仕組みなどである、聞く準備はよいかな?』
確かに憑依先の世界についてまだ何も聞いていなかった。
『憑依先の世界……名前は【ヨータス】、極大恒星である【アルファ系】の第六惑星に位置する惑星である。創造神様が実験的に作り出した世界で魔物や魔法が存在する世界である』
惑星、魔物、魔法…頭の中に知識が流れ込んでくる。
『自身のステータスを確認でき、スキルやレベルシステムも組み込んである。過酷な環境であるから人類がそう簡単に絶滅しないように設計されておる』
ステータス、スキル、レベル……さらに情報が流れてきた。
『というわけで君にも既にスキルを授けてある、性能を上げるため調整していたのだが少々レベルが上がりにくくなってしまったようだ。その分成長率も上げパラメーターの上昇値が最大になる様に調整してある』
既にステータスやスキル付与などは済んでいるらしいので一度確認してみよう。
-アスラ・カウス-
Lv1
H 30
M 30
体 10
力 10
守 10
速 10
器 10
魔 10
スキル
操壺蟲Lv1 原始魔法Lv1
総合戦闘力 60P
称号
始祖
ステータスを確認したいと考えると頭の中にこのような文字と数字の項目が思い浮かんできた。
流し込まれたステータスの詳細情報によると各項目の説明は次のようになる。
名前はアスラ・カウス。何か由来が有るのかと思ったが名づけは創造神様が付けたらしく理由までは聞いていないそうだ。
創造神様が名づけ親ならばなんだっていいか、ご利益ありそうだし。
そしてレベル、これは取得経験値が一定に達すると数字が一つずつ増えていく。強さを表す数字としても使われているようだ。
HはHPの略で、生命力の総量を表す項目である。
MはMPの略で、保有する総魔力量を表す項目である。
体は持久力に関する項目である。
力は筋力に関する項目である。
守は肉体の耐久力に関する項目である。
速は動体視力や俊敏さに関する項目である。
技は器用さや魔力操作に関する項目である。
魔は魔力出力や魔力耐性に関する項目である。
スキルはその人物が収めている技能や魔法などが表示される項目である。
最後に総合戦闘力はHとM以外のパラメーターを全て足した数値で、レベルよりも正確にその生物の強さを表す数値である。これは創造神様が試験的に追加した項目らしく、今後追加されるであろうシステムに流用されるそうだ。聞いてみたが詳しくは教えてくれなかった。
『重要な事項は伝えたつもりだが説明ばかりでは飽きてくるであろう。最後に君を異世界へ送る理由を伝えておこう』
確かにそこが一番重要かもしれない。
『創造神様が創り出した世界で魔物以外の知的生物が同じ世界で共生していけるのかという実験的なものであり、特に使命があるわけではないとのこと。君には異世界では自由に生きてほしいと創造神様からも言われている』
実験的に異世界に送られることに対してさすがに自身の命の軽さに驚きはしたがそこは神様のスケール、色々と融通してくれているみたいだし憑依後も頑張ってやっていくしかない。
『――人間種の繁殖にも力を入れてもらえれば尚いいとも創造神様も仰られていた』
などという説明も受けたが、そもそも俺以外の人間が居ないのではないかと疑問が浮かぶ。
『それについても異世界から君と同じように魂が適応し次第、順次送り込む予定であるから心配しなくてもよい』
なるほど、他にも送り込まれる人間が居るのであれば問題は無い、のか?
出会える日がいつになるかは分からないがなるべく早く来てくれることを祈ろう。
『君は多少長生きできるようにも寿命も弄らせてもらったので最初はさみしいと思うがそこは我慢せよ』
結構重要そうな情報を小出しにするのやめてほしいんだが…。
『さて余も暇ではない、そろそろ君を新しい肉体へ憑依させるとしよう』
そう言うと転生神様はさっさと憑依の準備を始めてしまう。
『これが君が憑依する器である。創造神様に感謝するように』
そういって現れたのは若く立派な体躯であった。
性別は男性、肉体年齢は20歳程で9頭身の身長195cm、筋肉質で体重は98kg。黒い艶のある長い髪に透き通る白い肌、目鼻立ちがはっきりしていて中性的なとても整った顔をしている。
先ず最初に思った感想は『でかくね?』であった。
顔面も見すごく整っているし、これが本当に俺なのかと思ってしまう。
『身体性能を上げる関係でこのサイズになったようである』
それにしては俺のステータス低くね?
本当に大丈夫か不安になってきたが、そうこうしている間に準備が整ったようだ。
『それでは今から君を異世界へ送る、現地には結界を張った小屋と多少の食料を用意した。基本的には自給自足になるので頑張りたまえ』
その説明と共に魂が肉体へ引っ張られ、身体に魂が溶け合う様な感じた事のない感覚へ身を任せた。
「ちょっゥ、あァ……」
一瞬光に包まれて、俺の身体はうめき声と共にその場から消え去った。
閲覧感謝~




