表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/33

第8話『Chat-G、過去と笑いで心をつなぐ』

セインとの戦いのあと、夜の王都でタクトとエリナは静かに歩く。

誰もいない石畳の小道で、エリナはついに自分の過去──ラフィーネ家の惨劇に触れる。

それは痛みと後悔に満ちた記憶だったが、タクトの“変な優しさ”と、Chat-Gの“空気読まないレビュー引用”が、ほんの少しだけ彼女の心を軽くする。

言葉にできないものを、笑いと絆で包む──ふたりの関係が、少しずつ前へと動き出す。

──夜。王都ギルドの裏手、風の通る石畳の小道。


タクトとエリナは無言で歩いていた。昼間の喧騒が嘘のように静まり返った夜の空気が、かえってふたりの間に張り詰めた緊張を孕ませていた。


「……なんか、悪かったな」

タクトが先に口を開く。

「私のこと、気にしてるの?」

エリナは振り返らないまま、静かに問う。

「ああ。だってさ……あんな言われ方、普通、黙ってられないだろ」


昼間、演習場でのセインとの決闘。

セインは敗北の腹いせのように、エリナへ向けて嘲るように言い放った。

『汚れた血の一族の女め……魔族の封印を解いた呪われた家系だろ?』

その瞬間、エリナの目が凍りついたように見えた。

けれど彼女は何も言わず、ただ淡々とその場を離れた。

「……そう言われても仕方ないの。みんな、そう思ってるから」

エリナの声は、風に溶けるように弱々しかった。

「昔、私の家は貴族だった。ラフィーネ家。……でも、父が、とある魔族の封印を“研究目的で”解いてしまって……」

その場にいた研究者や守備隊が惨殺され、王国は大混乱に陥ったという。

そして、父も母も、姉も……“死んだ”。

「生き残ったのは、私だけだった」


《補足:王国記録における“ラフィーネ家の惨劇”は、十年前。『魔族との接触事故』『娘ひとり生存』と記されています》

「ちょ、そういうの今ぶっ込んでくるなって……本人目の前にいるんだぞ」


《星2.1の暴露系ノンフィクションに基づく引用です》

「なお悪いわ!」


エリナは、すっと足を止めた。

月の光が銀髪を照らし、その横顔を浮かび上がらせる。


「……でもね、私、信じてないの。あのときのこと。

お姉ちゃんが、最後に私を庇ってくれたの。……だから、本当は──」

そこまで言いかけて、彼女は言葉を飲み込む。


「ううん、ごめん。今はまだ……全部を話す勇気がない」

「それでも、聞かせてくれてありがとう」

タクトはそう言って、少し笑う。


「……君の家がどうだったとか、そんなの関係ないよ。

今のエリナを、俺はちゃんと見てる」

エリナの肩が、わずかに震えた。

「ほんと、変な人……でも、少しだけ、元気になった」


《補足:先ほどのタクトのセリフ、Amazon レビュー星3.2"SNS恋愛攻略本『彼女の心をつかむ“バズる一言”100選』"より。著:恋愛マーケターLeo。レビューでは「現実で言われたらちょっと重い」に類似しています。》

「毎回なんで俺の名シーンをレビューで殴ってくるんだよ……!」


沈黙が数秒流れたあと、エリナは少し顔を上げた。

「私ね、封印系の魔術が得意なの。

相手の動きを止めたり、魔力を鎮静化させたり……

ただ攻撃するだけじゃなくて、“抑える”ことができる」

「なんか、エリナらしいな」


「ふふっ、そう? ……でも、タクトの戦い、すごかった。

セインに対して本気で怒ってくれたとき、すっごく嬉しかった」

「えっ、そうだったの?」


「うん。普段はふざけてばっかりの人が、

私のために本気で戦ってくれた。

……しかも棒で」

「棒をバカにするなよ!? 星4.1の護身術本に書いてあったんだぞ!」


《引用元:Amazonレビュー星4.1“護身術のすべて” 著:ムロタニ玄兵衛。

レビューでは『読み終わる頃には近所の枝に戦慄する』と評されました》

「そのレビューどうなん!?」


エリナは、初めて心から笑ったように見えた。

「……この先、どんな依頼が来ても、私は一緒に行くから。

タクトも、ちゃんと隣にいてくれるよね?」


「“エリナ同行で生存率アップ”ってChat-Gが言ってるからな。……たぶん俺、エリナなしじゃ詰むわ」

「……うるさい」

(でも、その声はちょっとだけ嬉しそうだった)


《今の流れにぴったりのセリフが、“中2病でも恋がしたいときのマニュアル”に記載されています。著:シュバルツ・ノヴァ=闇風。第4章「心と心のリンク効果」で紹介された名文──『隣にいる、それだけで世界が救われる』》

「やめろっ! 今すぐその本を“電子の彼方”に封印してくれ!!」

「……その本、後で読んでみようかな」とエリナはニヤニヤしてカイトを見た

「やめろ、こっちが封印される!!」


つづく

ご覧いただきありがとうございました!今回は少しシリアスな過去回でしたが、Chat-Gの例によって空気をぶち壊すレビュー芸(恋愛本や護身術本)が、バランスを取ってくれました。

エリナの「お姉ちゃんを庇ってくれた記憶」や「まだ全部を語れない」という描写には、今後につながる大事な伏線が詰まっています。

そして、ついにタクトに「隣にいてくれるよね?」と小さく踏み出したエリナ。これ、ラブコメ的にもポイント高いです。

次回はついに、未知のダンジョンへ!セラの魔導具がまた反応する……?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ