第7話『Chat-G、護身術と魔法無効化で立ち向かう』
魔術省からのお呼び出し──って、どう考えてもロクな話じゃないですよね?
ギルドでの報告を終えたタクトとエリナを待っていたのは、“任意同行”という名の圧力。
謎の魔術官ゼクトとの再会、若き術士セインの挑発、そして、怒れるエリナのスパイクメイス……!
棒 VS 風魔術、まさかの護身術バトル開幕です。
あと今回、Chat-Gの調子がちょっと“張り切りすぎ”かもしれません。
「……任意同行、という建前で来ておりますので」
そう言って俺たちを囲んだのは、王国魔術省の役人たちだった。
ギルドで報告を終えた直後、俺とエリナは“お上の施設”に連れてこられた。
「うさんくせぇなあ……“任意”って言ったよな?」
《補足:この世界における“任意同行”は、だいたい強制措置の婉曲表現です》
「言葉ってこえぇな!?」
案内されたのは、王都中央庁舎の一角。重厚な扉を抜けた先、魔力が満ちる無機質な部屋。そこにいたのは、蒼衣の魔術官――ゼクト=レイン。そして彼の背後には、やけに目つきの鋭い若手術士たちが控えていた。
「先日の、異形ゴブリンの一件、詳しく聞こうか、また貴様の異常スキルに関しても」
ゼクトは机の向こうから俺たちを見下ろすように言った。
《正確には“私のようなAIスキル”が未登録なだけです。レビューに依存しているかどうかは、日によります》
「曖昧か!」
ゼクトは、俺を品定めするように見たあと、エリナに視線を向けた。
「そして君。……“アルフィーネの末裔”らしいね。よく生き残っていたものだ」
エリナの眉がぴくりと動いた。
「それが、ここに呼ばれた理由ですか?」
「呼ばれた? 違うよ。君は“調べられる側”だ。才能も、血統も、そして意志もね」
「無関係な他人にとやかく言われる筋合いはありません」
「ほう……強気だね」
その瞬間、隣に立っていた若い術士がふっと鼻で笑った。
「ふん、汚れた血の一族の女め」
その言葉に、エリナの手がピクリと動いた。
「おい。……今の、聞き捨てならないぞ」
俺は思わず声をだした。
術士が鼻を鳴らす。
「事実を言っただけだ。この娘の一族の血が汚れていると」
気づけば俺は立ち上がっていた。
《警告:血圧上昇。怒りによる最適解崩壊の兆候です》
「うるせぇ!!」
「え、ええと……タクト、落ち着いて……」
「エリナ、ちょっと黙っててくれ。こいつ許せねえ」
若い術士はニヤリと笑う。
「なんだ、小僧 相手をして欲しいのか。 いいだろう演習場で遊んでやろう」
《補足:決闘に関する文献“魔術省・内規 第22条”によれば、“自主的演習”の名目であれば正規対決も可能です》
魔術省地下の演習場。広い空間に魔術官たちが集まり、決闘の開始を見守っていた。
あの嫌な若い術師の名前はセイン=クロードというらしい。
「武器は自由に選べ」と言われ、周囲には様々な訓練用武器が並んでいた。
剣、槍、木刀、ダガー
「……お願い、タクト」
エリナがぽつりと呟いた。
その手には、鈍く黒光りする訓練用のスパイクメイス。
「いや物騒ッ!?」
俺は思わず二度見した。
《補足:現在のエリナ様、怒りゲージ93%。冷静装ってますが、内心は“ラスボス前のヒロイン覚醒”レベルです》
《選択武器:スパイクメイス。威圧感:★★★★★ レビュー曰く“全方向に殺意を放ってくるトゲトゲ地獄”──星1.2》
「Chat-Gもツッコミ入れるレベルかよ!」
俺は苦笑しながら、その隣に立てかけられていた一本の木の棒を手に取った。
見た目はただの木材。でも、俺にはちょっとしっくりくる。
《補足:Amazonレビュー星4.1“護身術のすべて”著:ムロタニ玄兵衛 によれば、
“武器は使い慣れた形状こそ最大の威力を発揮する”との記載があります》
「著者名のクセがすごいな!!」
「え、マジでそれ? 棒?」と観客がざわつく。
「おいChat-G。今回の勝率は?」
《解析中……敵スキル:風系術式。詠唱速度:平均的。
あなたの装備:棒。初期予測勝率、約29.7%》
「ツッコミどころ満載すぎて逆に安心したわ!」
対面のセインが鼻で笑う。
「おいおい……棒で勝てると思ってんのかよ。おもしれぇ」
敵は風系術式の使い手。詠唱とともに魔力が巻き上がる。
《補足:今回は“レビュー対象外個体”のため、擬似AI演算モードを継続します》
《展開:反応強化+11%、集中力ブースト、平衡感覚補正ならびに感覚モードを即時イメージ伝達モードにシフト》
「勝手に俺の脳チューニングすんなって言ってんだろ!」
俺の脳内に瞬間的にムロタニ玄兵衛 の技のノウハウが伝達される。
セインがすっと構えた。
「小僧見せてやろう、“実力”ってやつを」
「風よ、裂け! 壊せ! 音をも切り裂け――ウィンド・バースト!」
突風が唸りを上げて吹き荒れた。
俺は転がりながら敵の懐へ。
木の棒を両手で構え、敵の肩口を全力で叩き込む!
「護身術のムロタニ流、一本背負い風棒突きだぁぁ!」
ゴゴンッ!
セインがたまらずよろめく。
セイン「チッ……やってくれたな!」
怒りに震えたセインは、今度は異常に長い詠唱を始める。
「我が力よ、嵐と化し、万物を飲み干せ……王たる空の裁きよ……今ここに顕現せよ――!!」
《補足:詠唱時間、通常の約3倍。詠唱中の隙は最大値です》
「たしかに詠唱長っ! 今のうちに昼メシ食えるって!」
再び距離を詰め、棒で膝を狙い撃ち。
「うおっ……!?」
セインへの攻撃は浅くすぐに体制を立て直し、術を完成させた。
セイン「ふざけるなああああ!! 我が全霊よ、命を裂けッ――グランド・ストーム・エクスプロード!!」
視界が魔力の奔流に飲まれそうになる。
《最適解なし。レビュー該当なし。擬似演算モード、緊急上書き》
《新機能:魔力干渉領域・無効化演算式、限定起動》
《発動条件クリア――Chat-G戦術支援領域、展開!》
俺の前に、透明な球状の力場が広がった。
セインの魔法が触れた瞬間――『バシュッッ!』霧散した。
「な、なんだと……!? お前、我が術を消したのか……!?」
《補足:この演算式の再使用には、だいたい48時間のクールタイムが必要です》
そのとき、観客の列の端から、金髪の騎士が歩み出た。
第三騎士団、セラ=ノワール。
「そこまで」
彼女の登場により、決闘は終了となった。
セラ=ノワールは背筋を流れる冷たい汗を感じていた。
タクトがセインの魔法を無効化した瞬間にセラ=ノワールの右手の指輪が何かを検知し振動した。
その指輪はノワール家の古代魔導具
そして戦いが終わった今も指輪がかすかに震え、淡く光っていた。
彼女はタクトをじっと見据えた。
古代魔導具との“適合反応” 多くの謎がセラ=ノワールの頭を駆け巡った。
「やはり……選ばれし“接続者”なのか。興味深い」
セラ=ノワールはゼクトを冷たい目で一瞥し、その場を去っていった。
《補足:戦闘評価、木の棒にしては優秀。好感度上昇:武器に対する謎の信頼感》
「だからそういうレビュー風まとめいらないってば!!
――次回へつづく。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます!
今回は“怒れるヒロイン&棒で勝つ主人公”という、ややバカバカしさ全開の決闘回でした(笑)
でも実は、セラ=ノワールの指輪が反応するシーンや**“接続者”という言葉の登場**など、物語の核心に触れる伏線がこっそり散りばめられています。
Chat-Gのレビューギャグも健在で、「護身術のムロタニ流」が今後シリーズ化するかは読者の反応次第です(?)
次回は、戦いの余波と新たな展開へ――ぜひまたお付き合いください!