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第4話 虫より弱い? 異世界ギルド初体験!

異世界に来て、ギルド登録へ。ちょっとワクワクしてたけど──

まさか「虫以下の戦闘力」とか「ツッコミ属性」とか、全世界にバラされるとは……!

でも、王都の冒険はここからが本番のはず

「すっご……これが王都のギルドかよ……」


目の前にそびえるのは、巨大な石造りの建物。尖塔と王国紋章、広場を行き交うのは冒険者だけじゃない。騎士に、魔術師に、商人らしき人まで。

まさに異世界っぽさ満点の光景に、俺はただ口を開けて見上げていた。


《レビュー星3.2。“施設は立派だが、☆1レビューがやたら感情的”との傾向》

「レビュー欄の人間ドラマいらんから!!」

エリナに手を引かれるようにして中へ入ると、そこはまるで駅のコンコースのように広いロビー。掲示板に貼られた依頼書、人だかり、行列……活気の塊だ。


「登録希望ですか〜?」と明るい声の受付嬢。隣の冒険者が、俺の服を見てニヤッと笑った。

「おい、それ……なんだその、妙に伸びそうなヘンテコな格好。」


《衣類分類:ジャージ(ただし異世界では未定義)。“都市部で誤解される服ランキング”第2位》

「そのランキング誰が投票してんだよ!」


俺の視線が止まった先――カウンター前の列。書類を手にした人々が並んでいる。

「書類……」


《登録書類は、“簡易職歴申告書+健康申告+身元保証人”で構成されています》

「お前、いちいち就活テンションなんだよ!」


俺も用紙を手に取り、記入を始める。

名前:タクト。出身:日本。職種:……とくになし。


《また“とくになし”ですか。成功率が平均14.3%下がると――》

「もはやテンプレ化してるじゃん、それ!」


 「転移者ですか?」と受付嬢。「紹介者は?」

「私です」とエリナが一歩前に出る。

「Dランク確認。ではスキル診断を」


案内されたのは、水晶球ではなく、青白く輝く魔導端末。

手を乗せた瞬間、魔素が走り、ホログラムのようなウィンドウが浮かび上がった。


【スキル診断結果】

【ユニークスキル】:《Chat-Gチャット・ジー

【属性】:演算支援/戦術補助/AI

【カテゴリ】:分類不能(ユニーク・コード系)

【適性】:知識探査型


【ステータス解析:対象=岸田タクト】

【属性】:ツッコミ

体力:30(※成人平均:50))

戦闘力:15(平均50)

回避力:45(平均40)

魔力:5(平均45)

潜在力:20(平均40)


【備考】:

・分類不能のスキルコードにより、ギルド基準外。

・予測不能な行動パターンを示す可能性があります。


タクト「ちょっと待って!? 戦闘力15って……虫と同じくらいじゃないの!?」

《補足:虫の平均戦闘力は17です。代表例:魔導甲虫・スカラビー。主食:苔》

「主食いらん!! しかも負けてるじゃん虫に!!」


《さらに補足:あなたの“潜在能力”は20。これは、“平凡な木こりの三男坊”と同等です》

「三男って……物語にすら登場しないやつだよそれ!!」


周囲の冒険者がざわつく。

「おい見たか? 戦闘力15だってよ……」

「それって、転倒したときにダメージ受ける側じゃない?」

「しかも“ツッコミ属性”だとよ。何それ武器か?」


「もしかして俺、存在そのものが“ギャグ枠”に振られてんの……?」


《前向きな解釈:あなたは“強者の横でしゃべるタイプ”としての適性があります》


「完全にモブポジじゃねぇかあああああ!!」

「やめてくれ……この公開処刑……!」


──すると。

「タクトは、転移者でまだこの世界のことを知らないの。それに、私が一緒よ」

エリナがきっぱり言った。声は小さいけれど、その言葉にはしっかりと芯があった。


《信頼関係:成立。生存率が27%向上しました》

「だからその“友情を数値化”するなっつってんだろ!!」


そのとき、ギルドの大扉が重々しく開いた。

カツン、カツン――金属のブーツ音が高らかに響く。

金髪ロングの女性騎士が入ってくる。ミスリル製の軽装鎧を纏い、背には王国章の刻まれたマント。

その背後には、蒼いローブを纏った魔術師が一人、無言でついてきていた。

「王都第三騎士団、調査任務にて来訪。魔素異常への対応状況を確認する」

受付が慌てて立ち上がる。


女性騎士は俺の前で立ち止まり、じっとこちらを見た。

「……名は?」

「え、あ、タクト……ですけど」

「そうか」

それだけ言い、くるりと踵を返す――かと思いきや、背後の魔術師がふっと笑った。

「ほう……演算支援に分類不能のスキルに、“ツッコミ属性”……これはまた滑稽だ」

「なんだと……?」


 《補足:王国魔術省・術査官ゼクト=レイン。王立図書館の水晶端末からハッキングした公開記録および噂話レビューに基づく推定プロファイルです。信頼性は……まあ、星3.1相当です》

「情報の出どころがグレーすぎるだろ!」


騎士の女性――セラはゼクトを軽く一瞥し、無言で歩み去っていく。

だがその灰色の瞳が一瞬、俺の端末を見つめた。

まるで、何か“気づいた”ように。


こうして、ギルド登録一発目から舐められ、魔術師に笑われ、騎士団長に目をつけられ、レビュー付きAIにツッコまれながら――

俺の異世界冒険者生活が、王都で始まった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

異世界初ギルド回は、完全に“公開処刑”でしたが……タクトはめげません。

次回は謎の女性騎士や“魔術省”の陰も深まってきます。

あ、あと“Chat-Gの逆襲”もそろそろ始まるかも……?

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