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第11話『Chat-G曰く、私たち“地味に上位7%”らしい』

タクトとエリナ、異次魔との死闘を乗り越えた二人は、少しずつ実力をつけはじめていた。

Chat-Gによる“レビュー形式の成長診断”で、スキルと関係性を振り返る穏やかな回……になるはずが?

そして静かに反応する“レリック・レゾナンス”。冒険は、次のフェーズへ──。

──翌朝、王都レイヴァン。

タクトはベッドの上で、天井を見つめたままぼんやりしていた。

「……夢じゃ、なかったんだよな」


《補足:なお、戦闘後に統合された“レリック・レゾナンス”について──》

《現在は沈黙中ですが、古代構造物の“気配”を捉える反応システムです。おそらく、古代遺跡との接続性を持つ鍵として機能します》

「……つまり、俺が歩く探知機ってこと?」


《レビューでは“便利そうに見えて、だいたいトラブルの元”と──》

「今は黙っとけ」


異次魔との死闘。

エリナの負傷。

そして、Chat-Gと自分の間で起きた“神経接続階層”の覚醒。


《レビューでは“中盤の覚醒イベントっぽい”との意見もあります》

「やかましいわ。まだ10話だよ……」

Chat-Gの軽口にツッコミながら、タクトはようやく体を起こす。


──

ギルドに顔を出すと、受付嬢が驚いた顔で立ち上がった。

「えっ……、あなた、無事だったんですね!」

「なんか、俺もう死んだ前提になってるの?」

ギルドではすでに“異次魔と戦って生き残った新人”としてエリナの名の噂が広がっていたらしい。

どうやら逃げた杉田ケンジが口外していないため、詳細は伏せられているようだ。

タクトは簡単な報告を済ませると、エリナの様子を見にいった。


──

ギルド内の医務室。

「おはよう、エリナ。調子は?」

「うん。足はもうだいぶ平気。魔術師の治癒って、すごいね」

エリナは笑って見せたが、その顔には以前よりも少し凛とした雰囲気が宿っていた。

「それより、今日ね、スキル診断やってみたの。封印術、少し安定したって」

「へえ、それすごいじゃん」

「まだまだだけど……。でも、ちょっと嬉しかった」


《補足:成長曲線、現在“安定型”。レビューでは“地味に信頼できるヒロイン”評価が上昇中》

「もうレビューで語られるのが当たり前になってるの、やめよう?」


──

それから数日。

タクトとエリナは、軽い討伐依頼や素材採取をいくつもこなしていた。

「おーし、今日の魔猪も一本っ!」

タクトが木の棒……ではなく、少しだけまともになった“鉄芯入りの訓練用杖”で魔猪を叩き伏せる。


《命中率向上。AI補正:+12%。ただし武器のセンスはゼロとのレビューも》

「なんで褒めたあとに貶す!?」


一方のエリナは、

「──レグナ・レグス!」

と封印術を展開し、巨大トカゲを麻痺させることに成功。

「……最近の私たち、ちょっとだけ強くなったかも」

「かも、じゃなくて普通に強いと思うぞ? あの異次魔をくぐり抜けてるんだから」

エリナはほんの少し照れたように笑った。

「Chat-G、今の私たち、どのくらい?」


《現在:初級冒険者の上位7%。レビューでは“地味に好きになるタイプの主人公ペア”と──》

「レビュー常連みたいになってんぞ……で、俺のスキルは今どうなってんの?」


《では、現在タクトさんが“とりあえず使えてるっぽい”スキル一覧です》


――――

【タクトのスキル一覧】

① 近接戦闘:訓練杖+反射強化(AI補助あり)

→ 棒術ではない。“野球の素振り×電光石火”。

《レビュー:サッカーで例えると「走れるけどボール見てない」型》


② パターン予測モードβ(限定発動)

→ 瞬間的に敵の動きを“先に見る”。成功すれば華麗、失敗すれば鼻血。

《例:格ゲーで相手のコマンド入力が見えるが、自分の指が追いつかない》


③ 神経接続階層(第2階層・不安定解放)

→ 感情トリガーで“一時的にAIと神経同期”。存在干渉レベルの力を発揮。

《レビュー:ジャンプ系作品で終盤覚醒してるタイプが前借りで出てきた感》


④ レリック・レゾナンス(感知モード)

→ 古代遺構や未発見アイテムの気配を拾えるレーダー的能力。

《現代比喩:いきなりスマホに“未確認Bluetoothデバイスがあります”って出る感覚》


「……いや、案外ちゃんと強くなってるんじゃね俺?」


《ただし全部“自己解釈で使ってる”段階です。言うなれば“説明書を読まずに使ってる人”》

「……それ当たってるのが腹立つな」


――――

【エリナの成長分析】

■ 封印術スキル:Lv向上中(中級魔法 詠唱成功率+22%)

→ 特に“拘束・鎮静”タイプに秀でる。

《レビュー:王道魔術師ポジと思いきや、“封印に全振りしてるサポート特化”型》


■ 魔力傾向:感情共鳴型(集中時と怒り時に魔力ブーストあり)

→ タクトに関する刺激で+補正。

《一部視聴者レビュー:“ツンデレ+封印”は新しいジャンルとして注目》


■ 弱点1:物理的タフネスが低い(防御紙装甲)

→ 一撃もらうとピンチに。近接戦はNG。


■ 弱点2:詠唱が長め(瞬間火力に不向き)

→ 溜める系魔法の宿命。


■ 弱点3:感情を表に出すのが苦手(不器用コミュ力)

→ 「ありがとう」すら言うのに0.8秒かかる。


「なるほど……ってか、俺より詳しく分析されてない?」


《ええ、彼女は“レビュー上で人気上昇中”なので、参考データが多く──》

「お前、レビュー優先しすぎだろ!」


「……私、ツンデレ+封印ってジャンルにされたの、初めてなんだけど」

《読者レビューの統計に基づいております》

「なんの読者よ、それ」

「まぁ、たぶんその“ありがとう0.8秒遅れ”が原因だと思う」

「黙れ棒使い」


──

そのとき、Chat-Gが不意に呟く。


《……レリック・レゾナンス反応。微弱ですが、“古代演算構造”の波が近いです》

「その“微弱”っていつも微弱じゃないやつだよな?」


「またかよ! 今、地味にレベル上げ回なの分かってるよね!?」


《でもレビュー的には“ここから加速する予兆”とも……》

「レビューじゃなくて、俺のペースで進ませろ!」


──つづく。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!今回は成長+ちょっとした日常+Chat-Gレビュー回でした。

次回からは、いよいよ「古代遺跡編」に突入します。タクトの新しい能力や、古代技術との接触が物語を加速させていく予定です。

エリナもほんのり強くなってますが、まだまだ伸びしろ多めのツン成分つき。

レビューに踊らされる主人公とAIの掛け合いも、引き続きお楽しみください!

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