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一九四二年六月一八日 サンクトペテルブルク電信局より
ゲオルクお祖父様へ
おひさしぶりです。先月、雪が溶け切ったのでルイザ先生と一緒に林檎の森へ行きました。森の中は甘酸っぱい匂いが漂っていて、去年植えた苗は触るとゴツゴツした木になっていて、林檎の花はちょっとチクチクして、言いたいことがたくさんあります。だけれども、ルイザ先生がうっかり私の車椅子をどろんこに引っ掛けてしまったことのほうが面白かったです。帰り道は先生におんぶしてもらって病院まで帰りました。先生はとてもあったかいけど、来ている白い服は林檎よりチクチクしていました。
あと、近ごろ、お兄様とお父様からのお手紙がありません。お祖父様からも少しは娘のことも気にしてやれとモスクワに手紙を送ってください。
カテリーナより