SCENE4 騎士団、夜明け前 SIDE 勇者:ロメル
「さてロベルト、本拠地を手に入れたところで団員はどうやって集める?」
「ん?んなもんお前さんがなんか言ってくりゃ集まるんじゃないか?」
「は?」
「え?」
「ちょっと待ってくれ、君、つまり僕に…」
「スピーチをしろと言っている。」
とても信じたくない。
「な、なんと言えばいいんだ?」
「『ここで騎士団集めんぞ!とりあえずやりてぇ奴だけ来い!』」
「君にしかできないな!?」
彼は鼻を鳴らすと至極つまらなさそうな顔で言い放った。
「ロメルと俺たちのネームバリューで降って湧くように人が出てくるに一票。」
「そこにもう一票。」
セネンまで便乗したな…
「もしうまくいかなかったらどうするつもりなんだ!」
「通信魔術で俺に連絡。俺が善処する。」
「しかも君はここにいないのか!?なんだ善処って!」
「やることあるんでね。」
「君という人は…」
「なんか今日それ二回目だな。」
俺そんな呆れられるようなことしてる?とセネンに訊いている。
はあ。呑気なものである。
「僕がここであくせくと仲間を集める間、君は何をしているつもりだ?」
「…………戦場までのおたのしみーってことでー…」
「君なあっ!」
「いっでぇ!」
頭に一発喰らわせてやった。せいぜい頭のネジをはめ直しておくといいと思う。
*
学園長を訪れた日から1週間。
ロベルトとアデラはどこかへ旅立ち、セネンも「ロベルトのおつかいで実家にちょっと行ってくる」と言っていなくなってしまった。
本当に一人でやらなくてはいけないらしい。
『集められるだけ集めろ』とのことだが多いに越したことはないだろう。
僕は今日の兵学部の朝礼を学園長から譲ってもらい、ここで彼らから希望者を募る。
入団できるのは法律で労働が認められている4年生以上。チャンスは一回だけ。
この中から僕だけの力で何人引き込めるか。
…はぁ、だめだ緊張してきた。
「オリヴァー君。」
「あ、学園長。」
「出番だよ。」
行くしかない。今の宮廷を変えるだけの力はここにしかない。
朝礼台に上り、僕は集められた4年生以上の生徒たちの前に立って辺りを見渡した。
ざっと数えて4000人。さすがの規模だが、セルピエンテの率いる軍勢は概算2万を超える。全員入れても、足りない。
…いや、弱気になるな。この子たちに悟らせちゃだめだ。せめて2000は巻き込まなければ!
僕は臆病な決心を胸に秘め、顔に柔和な笑みを浮かべて聴衆に言った。