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海上のパルーマ  作者: ヒカル
日常編
53/61

「なっ…!」


「それとも、ご存知ではなかったのだろうか。国王直属騎士団副団長補佐官エマ・カリエドを。あぁ、そういえば今彼女は"修行の道中で失踪中"だったか。」



…よくもまぁ、自分の作り上げた茶番をこうも他人事の様に話せたものだ、こいつは。


信頼できる筋とはどうせエマ本人のことだろう。この邸に潜伏させる前に通信魔術を教え込んだに違いない。否、加護をもってすれば魔術一つの習得など1ヶ月もあれば可能だ。


そしてこのあたり一帯に「騎士団副団長補佐官のカリエドが失踪した」という噂を流し、この正体不明の団体にエマを探し出させて捕獲させた。なるほど、この手の集団は名の売れた人物を手に入れるチャンスに目敏い。


あれほどに手の込んだ入りにくい廃墟にロベルトが隠れていたのも、その噂に信憑性を持たせるのに副団長である自分の存在が邪魔だと思ったからなのだろう。


獲得したと思っていたお宝(エマ)の存在を握られていた相手は顔を真っ青にして震える。硬直して動かない足が生まれたての子鹿のように震えているのを、僕らはひどく冷淡に見下ろした。


「どこから…、なぜ、それを……。」


「おや、もうお認めになると?ならば話が早い。効率が良くて結構だ。」


ロベルトは結界と氷を割って外に出た。一気に結界内に入り込む冷えきった外気が身に沁みる。しかし眼前の男が震え上がっている理由は寒さだけに留まらないだろう。



「国王直属騎士団副団長、及びセールズ侯爵家長男ロベルト・セールズの有する権利において、健気で幼気な未成年魔術師35名への拉致監禁・虐待に、丸腰の俺達に魔術を使った罪を上乗せして王都の土産にしてやるよ。」



ロベルトがそう言うとともに地鳴りを立てて空気が震える。地下から突き上げるように現れた水の柱は瞬く間に塔と同じくらいの高さへとそびえ立った。轟音を立てて水飛沫を散らすその柱に、また別の方角へと向かうやや細い水柱が交差する。それは塔から垂直に突き出て重力に従って緩やかに弧を描いた。


ロベルトは国でも有数の水魔法手。その魔法に呼応してあれだけの水量を継続して出し続けられる人は一人しかいない。



僕がそう思って顔を上げるのと同時に、どこからか、少女の声が聞こえた。





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