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「ロベルト、このままでは埒が明かないから一度話を聞いてくれる?」
『は?なに。今クッソ楽しいんだけど。』
「僕は君を王都に連れ帰るための報酬を今日までの分しか受け取っていない。リタとニセタに分けるからあと数時間で帰らなきゃ。」
『…じゃあ鬼ごっこだけさせて。』
鬼ごっこ?と思っている間に埋め込まれていたダイヤがポロリと足元に転がり落ちた。
「ああ~そういう仕組みね!パンドラの箱形式か~!!」と何処か嬉しそうに叫ぶリタをよそに、扉がゆっくりと開く。
さあ捕まえた、と思いきや、開いた結界の中にロベルトはいなかった。
まさかまた嵌められたのか。いや、あるいはあの声も幻覚魔法だったのか。
焦って魔力痕跡をたどっているとひと際新しい魔法を使った痕跡をみつけた。
ーー特徴的な闇魔法の跡。種類は転移魔法。
はっとして、首元のチョーカーを頼りに行先を辿った。
リューエット地区郊外…?
「二人とも、ここにいて。」
僕はそれだけ言い残すと身を翻してロベルトの後を追った。
*
「あーあ、見つかったか。」
着地と同時に、セリフのわりに楽しそうな声がして振り返る。半年ぶりに姿を見せた同僚は、やはり変わらない姿で腕組みして立っていた。
「今更リューエットに何の用?僕の実家、もうここにないんだけど。」
「別に君の家が目的じゃないからな。俺の目当てはその更に上。」
ロベルトが指した先には丘の上にそびえ立つ広大な屋敷ある。ビクトル・ジェペスが住んでいた屋敷だ。
ロベルトはそこへ向かう長い坂道を歩き始めた。彼が転移魔法を使わずに移動するのは珍しいので大人しく後に続く。
「ジェペス邸がどうした?」
「ずっと不思議だったんだよな、なんでジェペスに関係のないおっさんどもまで枢密院で幅を利かせられているのか。発覚している人身売買の記録はどこまで遡ってもモアク以外は見つからないのに、なにが彼らにあそこまでの富と権力を与えているのか。」
ずっと歩き続けていたロベルトはそこまで言っていきなり立ち止まった。
「見ろよ、廃墟の屋敷を人が護衛している。」
なるほど、確かに言われてみれば奇妙な光景だった。主のいない荒廃した屋敷に二人も門番がいるのは普通に考えれば人件費の無駄だ。
「あの中に俺の愛弟子がいるのでね、一旦あいつを回収してから王都に帰らせてくんね?」
「は?」
「これが目的だったなら、なんで最初から僕たちを迎え入れなかったの?」
「え、こっちのほうが俺が楽しいなーって思ったから!あと暇だったのと、ぶっちゃけ法律の研究まだやってたかったから!」
「君なぁ…」




