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ボクは一部始終をロベルトに伝えた。
【数名に逃げられた。追うか?】
(ファビアンは?)
【他の兵と同じように、岩の下敷きになったうえで川に溺れた。きっと…】
(…死んだ、な。)
僅かな沈黙がボクとロベルトの間に流れた。
【セルピエンテも、息子を逃すことでなんとか一族を残そうとしただろうに。】
(は。狸爺の考えることなんざ俺にはお見通しなんだよ。)
【で、逃げた奴らも追って殺すのか?】
(いや、いい。これ以上は無益だ。)
【君ならそう言うと思ったよ。】
ロベルトが返した言葉は照れたようでもあったが自嘲的でもあった。
(へいへい。俺は優しい蛮族なんでね。)
きっと何かを意味して言ったのだろう
―どこかそう感じさせる言葉遣いなのに、何を言わんとしているのかがボクには今一つわからなかった。
いつの間にか陽差しは金色になって朝を告げている。
すっかり夏の色を帯びた陽ざしがセルピエンテの首が掲げられているだろう敵本陣を照らしていた。
パルーマの夏はカラっとしていて日差しが強く暑い。
神々しく勝利を象徴したようなその景色のなかで、リタの燃やした赤い炎だけが未だぎらぎらと光を発しながら猛々しく揺れているのがなんとも愉快に思えてならなかった。
ボクは空を仰いで声に出して笑った。
なんだかそうしないとやっていられないくらい楽しかったのだ。
「やってやったぞ!!」
サルマもエマも一緒になって笑ってくれた。
息が切れるまで、皆で笑った。




