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だから俺は信用する奴の、ロベルトの、策に従う。
絶対に勝ちに行く。
奴がこの作戦をすべて一人で考えったとするなら、彼の先見の明はまさに神業だ。
先回りに先回りを重ねた作戦で、実は開戦の1週間前から既にセルピエンテはロベルトの術中に落ちていることを俺は知っている。
あいつは、ロベルトは、自分の戦略や野心を語るときも至って淡々としていた。自分の指揮する戦で人
が死ぬ責任を分かっていようともあのへらへらした顔を崩さない、肝の据わった食えない奴だ。
俺は自分の率いる3020人全員に高らかに言った。
「お前ら!あと20分でこの軍隊はセルピエンテの集めた2万の軍と衝突する。数は確かに7倍ある。でもそれにひるんでねぇよなぁ!」
「7倍なら一人当たり7人殺せばいいだろ?お前らはそんな弱腰で王立学園に入ったのか?魔獣を退治してきたのか?公爵家お抱えを名乗ったのか?ちげぇだろ!」
「いいか、俺達は3000人しかいないんじゃない。俺達はこの国の国民の99%を占める平民の”代弁者”を名乗っているんだ!俺らにはギルド連合がいる、バエズ宰相家がいる、リエゾン公爵家がいる。ここで武勲を残せた奴は一生涯ウハウハだ!」
「やるぞてめぇら!ぜってぇ生き残るからな!」
一瞬の間をおいて、兵から発せられた慟哭が戦場の山に響いてこだました。
幼い頃に誓った冒険者としての夢も、兄と競おうとする毛ほどの自尊心もすべて、兄の死体の上に捨てた。そんなものに縋って縛られるほど、俺はもう弱くはない。
こんなどうしようもない人間なりに生きていたい、ただそれだけだ。
だから見てろよ、貴族のクズども。
―これが俺達の戦いだ。




