リアル美少女問題
だんだんと視界がクリアになっていく。
それにつられて見覚えのある天井が視界に入る。
「ふぅ、とりあえず昼でも食べ……る……か……」
あ、あれ?
現実でもゲームと同じ声のような気もしなくない……
いや、たぶん気のせいだ。
そう、気のせいだ。
さっきまでずっとゲームしてたからそう聞こえるだけなんだ。
「やっぱ疲れてるんだ。早く昼ごはんを……痛っ!!」
俺はそう思いベッドから出ようとすると何かに足が引っ掛かり思いっきり転んでしまった。
「うぅ、なんで」
別段転ぶようなものはおいてないはずなのに……あれ?
なんで足がズボンの端に引っかかってるんだ?
それにぴったりのはずのパーカーの袖に手が隠れてる……
そして
「さっきからちらちらと見える蒼銀色の髪とぶかぶかになっているパーカーの上からでもわかる胸のふくらみ……」
い、いやまさか。
そんなことは……
そう願いながら洗面台に向かうとそこには
「マジ……か」
俺のパーカーをきたゲームでの俺が驚いた様子で写っていた。
いいや、でもまだ夢の可能性が……
「い、いひゃい……」
頬をつねっても痛い。
視覚……驚いてる美少女が見える。
触覚……ある、痛かった。
嗅覚……石鹸のにおいがする。
味覚……机に置いてたポテチ。もぐもぐ、あっ美味し
い。
聴覚……外で走ってる車の音が聞こえる。
……五感はパーフェクト……と。
ということはこれって現実?
ピコンッ!
「ん? 勝からの連絡?」
『おい海樹。お前もうログアウトしていたのか。まぁ、そろそろ昼だもんな』
『おい、海樹。お前、一人暮らしだったから料理うまかったよな』
次は透からか。
こいつらもログアウトしてたのか。
『まぁ、そうだな。両親は海外に出張、姉ちゃんは大学の僚にいるからな。料理もそこそこうまくなったと思うが……』
『ということで俺と透。お前の飯たかりに行くから待っとけよ』
「……は? はぁぁぁぁぁぁぁ!?」
え、何言ってんの?
飯をたかりに? うちに来るって?
『いやいや、お前らなんで急に!』
『ダイジョブ、ダイジョブ。ちゃんと金は払うからさ』
『いやそういうことじゃ……!』
「あれ? あいつら返事が……まさかもう向かって!?」
ピンポーン
来やがった。
よりによってこんな時に来やがった。
「おーい、海樹。飯をたかりに来たぞ」
「同じくたかりに来たぞ!」
あぁ、くそが!
まぁ仕方ない。ここは居留守したってことに……
「お? なんだ? 拒否るのか? だったらお前の黒歴史をばらまくぞ?」
……は?
「そーだなー! 数か月前に漏らし……」
「あぁぁぁぁぁ! やめろぉぉぉぉ! その話をするなぁ!!!」
やめろって!
その話をするんじゃねぇ!
……あ、ドア開けちまった。
「海樹……」
「お前その姿……」
「は、ははは……はぁ……」
「ほいお茶」
俺は勝にお茶を渡しながらその反応を見る。
「あ、あぁ……」
まぁ、予想通りというかだろうなというかやっぱり驚いてるな。
俺もこんな状況になってたらそうなる自信がある。
「そんで透。そのキラキラしてる目をやめろ。マジで怖い」
「……は!? 危なかった……」
マジで怖いってお前。
やめてくれよその目は……
「で? ログアウトしたらそうなってたっと……」
「あぁそうだ。正直言って俺もなにがなんだかわからん」
「まぁ、だろうな。家族にはなしたのか?」
いや、話すも何もその前にお前らが……
「あぁ、そういう……なんかすまんかった」
いやまぁしかたないだろう。
ゲームはバグとかミスとかで姿が変わるのはまだわかるが現実でこんなことになるとは思いもしないもんな。
「それでリアル美少女問題が出てきたわけだが、どうする?」
「どうするもなにも……とりあえず病院にいく必要があるわな」
「その前に家族に相談じゃないか?」
正気に戻った透がそういった。
それもそうだな。
まずは家族に言わなきゃな。
「……腹減ったな。とりあえず飯作ってくれ」
透……お前こんな状況でそんなことよく言えるな……
「まぁ、少しは落ち着いてきた。お前らがいなかったらもっとパニックになってただろう。ありがとな」
「!? お、おうよ」
「それより飯だ海樹。何作れる?」
冷蔵庫には……ふむふむ、問題なさそうだな。
「材料あるしカレーでも食ってくか?」
「おぉ! カレーか! いいね!」
透、お前ほんとにカレー好きだよな。
給食も必ずお代わりしてたし。
そうして俺たちはカレーを作って食べた。
なんだろう、女の子になった影響か前より少し美味しくなったかっもしれない。
まぁいいか。
「二人も帰ったし母さん……や父さんは忙しいだろうから姉ちゃんに連絡するか……」
えーと姉ちゃんの電話番号は……あった。
連絡連r
『もしもし?』
……はっや。
『…………』
ってかやばい。
頭真っ白になって何話していいかわからない。
『おーい、海樹? 珍しいねそっちから連絡するなんて……それで何の用?』
『あ、えーと。一回カメラ通話にしてくれる?』
『あれ、声が……』
『いいから!』
『わ、分かった。これで……ど……う……』
『あ、えっと……俺だ、海樹だ。こんな体になってるけど……』
『え? 嘘……海樹に限って彼女なんて……』
『いや違うから! 彼女なんていないから!』
『その様子は海樹だ! 間違いない!』
なんだよその確かめ方。
いやね、まぁ別わかってくれてうれしいけどさ。
『それでなんでそんな状況になってるのさ』
『それがわからないんだよ。ゲームをプレイしてたらゲームと全く同じ姿に……』
『ゲーム? それってexistence onlineのこと?』
あれ?
姉ちゃんexistence onlineのこと知ってるのか。
意外だな、姉ちゃんはゲーム<スポーツって感じだったのに。
『うん、それのこと。プレイし終わったらこんな姿になっててさ』
『なるほど、確かにそんな状況になったら連絡しないといけいもんね。お父さんとお母さんは忙しいだろうから私に連絡してきたのか』
『そゆこと。もう何すりゃいいかわからないからさ』
『そうだね。わかった、明日そっち行くから待っててね』
『ありがとう。それじゃあ』
「ふう、これで何とかなったな」
とりあえずこれからのことは……姉ちゃんに丸投げしちゃおう。
ついにリアルでも……
VRゲーム、SFの日間ランキングでトップ10に入ることができました。
これも皆さんのおかげです!
ありがとうございます、これからもお願いします!




