スライムの隠し球
「さて、スライム討伐のためにきたのはいいんだけど……」
なんか、もう……いかにも迷いそうな森だな。
俺は目の前に広がる森を見ながらそう思った。
目の前に広がっている森は、よく茂っている。
中に入ると上を見上げても空が見えらいレベルの森だな。
正直言ってマジで迷いそう。
よかった、ギルドの受付の人に教えてもらって「サウザンの森」の地図を買っておいてよかった。
これで500テンス。
残り4,500か……結構減ったな。
いろんなクエストを受けて金を稼がないとな。
「さて、やるか!」
んで森に入ったものはいいが早速迷った。
え、どうしよう。
地図があるから出口はわかるんだけど、俺が一体どこに行っているのかがわからない。
「ピキュッ!」
「ん?」
数十分歩いていた中で全く聞かなかった音に反応し、そこをみるとそこには青いゼリー上の生物……そう、スライムがいたのだ!!
「い、いたぁ!!!」
やっとだ! やっと見つけた!
数十分歩いてついに見つけた!
「ピキュッ!」
「ピキュッ!!」
「ピキュッ!」
「あっ、増えた」
なんだよ、スライム1匹見つけたらどんどん出てくるな。
まだ一回もスライム見つけられなかった俺って……どんなに運が悪いんだよ。
いや、種族ランダムで全部使い切ったのかも。
それぐらいのことだもんなぁ。
……と、相手はスライムだ。
集中しないとな。
「さて、やりますか!」
そうして俺はそう言いながら手に氷魔杖を持つ。
「ピキュッ!」
俺が武器を持ったと認識した瞬間、スライムは一直線に突っ込んできた。
が、それは簡単に避けられる。
まずはこいつを試してみるか!
スキル、鑑定!
ーーーーーー 種族:スライム Lv:1
職業:ーーー
HP 400/400
魔力60/60
攻撃力:10
防御力:30
速度:40
[種族スキル]
仲間を呼ぶ Lv:1
合体 Lv:1
[スキル]
突撃 Lv:1
[装備]
ーーー
ーーー
うん……弱い。
俺もそこまで強くないと思っていたけど想像以上に弱い。
何? 突撃って。
もしかして今の?
それだったらそこまで脅威じゃないんだけど。
んでこのさっき増えたのがこの仲間を呼ぶ……じゃあ
この合体っていうのはなんだ?
……まぁとりあえずノルマは達成しとかなきゃな。
「武具スキル『氷竜吐息』」
俺が杖をスライムの方へ突き出し、そういうと氷魔杖が蒼く光り、目の前に氷風が噴き出してきた。
「ヒギューーーー!!」
「ヒギューーーー!!」
「ヒギューーーー!!」
「……え。何これ強っよ」
おい、たった一撃でスライム3匹消し飛んだぞ。
いやまぁ、ランクと結構高いからそれなりにいけると思ったけどまさか一撃とは……
想像以上に武器って強いんだな。
「ん? なんだ? スライムがなんか集まって……」
消し飛ばずに済んだスライムと、集まったスライム……全員で10匹くらいが集まっていた。
そして
「なんかデカくなったんですが?」
えーと、鑑定……
ーーーーーー 種族:ビッグスライム Lv:3
職業:ーーー
HP 800/800
魔力60/60
攻撃力:20
防御力:60
速度:40
[種族スキル]
仲間を呼ぶ lv:2
[スキル]
突撃 Lv:2
[装備]
ーーー
ーーー
おいおい、ステータス約2倍になってるじゃねぇか!
そんで高いなオイ!
俺の2倍くらいあるぞ!?
さっきまでは見下ろしていたのに!!
すごいな、進化っていうのは。
まぁ、でも……
「このスキルには叶わないんだよなぁ! 武具スキル! ……あれ? は、発動しない?」
なんで!?
さっきは発動したのに!?
何か状態異常でも!?
……魔力の部分が600から200に……魔力をつかいそうなのはあれすらいというよりそれしかしてないからあの杖は1発で400使うということ。
つまりもう武器は使えない……
「キュガァーー!!」
「うおおっ! 危ねぇ!」
スピードは変わらないけど大きくなった分もっと走らなきゃいけない。
難易度は上がっている。
Q武器が使えないならどうするか
A種族スキル、スキルを使う!
「ということで使っていくか、星氷魔法! 見せてもらうぜ、ユニークの力を!」
そうして俺は種族スキルである星氷魔法を発動した。
スキルを発動すると、目の前に選択肢が広がる。
:星氷拡散
:星氷弾丸
:星氷波
:新たに追加してください
:新たに追加してください
ふむふむ、今使えるのはこの三つな訳か。
って、新たに追加してくださいってなんだよ。
もしかして自分で作ったりできるのか?
……今度勝に聞いとこ。
で、あいつに何をぶつけるかだ。
現在1番下の星氷波だけ赤で書かれていて残りは緑色で書かれている。
察するに発動できるかどうかってことだろう。
だから下は除外。
残りは二つだ。
そんで、星氷拡散も除外だ。
理由? そんなのやばそうだからに決まってるじゃないか!
拡散ってなんだよ!?
もう嫌な予感しかしねぇよ!
「ということでビッグスライムくん。君には残った星氷弾丸をプレゼントだぁ!! 星氷弾丸っ!」
「!? ピュガッ!!」
俺の手から発射された氷の弾丸はビッグスライムくんに向かって突き進み、直撃する。
そして何より当たった部分は弾丸が貫通して奥が見えるようになっている。
「やば……」
え、何これ。
威力やばっ!
えーと体力は……あっ、300。そうですか、ダメージ500ですかそうですか。
うわぁ、当たったところ貫通して奥が見えてる……マジか。
「……なんかごめんねビッグスライムくん。楽にしてやるよ」
「星氷弾丸」
当たるとスライムくんはポリゴンとなって消えていった。
『レベルが1から2へとあがりました。クエスト:スライム10体の討伐が達成されました。突発クエスト:ビッグスライム討伐が達成されました』
おぉっ! ついにレベルアップ!
それに突発クエストでビッグスライムくんを倒すものもクリアしてる。
ラッキー!
そんなことを思っていると、ふと時刻が目に入る。
「あっ、もう昼か。確かに腹減ったな」
始めてから2時間近くだしそろそろ休憩も兼ねてやめるか。
やるんだったら食べてからにしよう。
えーとログアウトは……あっ、このメニューからか。
『セーブしました。ログアウトします』
ついに戦闘……6話目にして