弟子入り
超超超超久々の投稿ですみません。
ほんとに時間がなくて。
投稿もゆっくりですが続けるのでよろしくお願いします。
「江戸時代?」
俺は思ったことをすぐに口にした。
「あ、やっぱそれだね?」
「わかる。最初に浮かんだのがそれだった」
俺の言葉に勝と透が頷く。
ベルを鳴らした瞬間、俺たちは全く別の場所に移動していた。
目に入ったのは大量の木造の建物。
屋根に石などが置いてある。
周辺を歩いている人々は、ほとんどが腰に武器を差している。
それは俺たちが今までよく見てきた武器とは形が明らかに違った。
俺らが今まで見てきたのは大抵まっすぐだった。
中には半円くらいまで曲がっているようなものもあったけどほとんどはまっすぐの、いわゆるロングソードというやつだ。
しかし、周りの人が差しているのは少しカーブのある独特な形。
かつて極東の島国で領土を奪い合っていた人々が使っていた武器。
俺たちの国固有の武器。
そう、刀だった。
そもそもこのゲームに刀はなかったのか、と思うだろう。
正直俺も実装されていると思っていた。
スマホで刀が実装されていないということを知ったときは本当に驚いたものだ。
そして同時に納得もした。
プレイヤーで刀を装備している人を見たことがなかったからだ。
刀は非常に人気な武器だ。
もし刀が実装されていれば間違いなく装備する人が現れただろう。
クソエイムじゃなければまず俺が選ぶ。
だってかっこいいじゃん。
ゲーム普段使えない刀を使いたいと思うのは自然だろ?
現に今、一番使いたいであろう勝がそわそわしてるし。
「おい、興奮するのはわかるが少しは落ち着け」
「いや、刀だぞ!? 興奮するなって方がおかしいだろ!」
「まぁそうだけどさ。周りの目があるだろ?」
現に他プレイヤーから視線を感じるし。
普通に恥ずかしいんだが。
「っていうかそもそもクエスト進めなきゃ刀云々もないだろ」
「あっ」
勝のその一言に透は思い出したようにそうつぶやいた。
「馬鹿かお前」
「いやすまんつい夢中になっちまった」
全く、と俺が呆れていると
「おうおう、刀に熱心な珍しい奴がいるな。旅人か?」
と、背後から声をかけられた。
慌てて振り向くと、黒髪で無精髭を生やした男が剣道着のような服を着て立っていた。
男の上にはNPC???という表記がある。
どうやらNPCのようだ。
「えっと……あなたは?」
俺がそういうと一瞬訳が分からないような顔をし、そして
「お前女なのに威勢がいいな、気に入った」
そういいながら俺の背中をバシバシ叩いてきた。
「えぇ……?」
俺らがわけわからず困惑していると
「あぁ、悪い。俺の名前はレガルド。近くで道場を開いてる。ここら辺ぶらぶらしてたら刀について熱く話してる声が聞こえてな、それで話しかけたんだ。刀使ってみたいんだろ? せっかくだ、俺の道場に寄ってかないか? 特別に稽古もつけてやるよ」
『突発クエスト:「武者修行」が発生しました 受注しますか?』
俺ら三人に同時にその声が響き、互いに顔を合わせる。
「どうする? 本来のクエストから離れちゃうけど」
「まぁいいんじゃないか? 期間は長いんだし。それに突発クエストだろ? ここで逃したら二度と受けられないかもしれないぞ」
「確かに」
「どうやら決まったようだな、ついて来い」
道場に向けて歩き出したレガルドについて行きながら俺は一つ質問した。
「あの」
「ん? なんだ?」
「さっきどうして威勢のいいなんて言ったんですか?」
「あぁ、俺に誰かと聞いたとき、お前戦闘態勢に入ってただろ」
マジか……
もしかしたら戦うかもしれないと思ってすぐに魔法打てるように意識してたけどバレてんのかよ……
「……悪いですか?」
「いや、それは良い判断だ。突然の襲撃に備えておくのは賢い。俺が言っているのは、魔法使いが剣士に立ち向かう姿だ。そんな近距離で戦うなら、魔法発動させる前にお前を殺せる」
「……っ!」
あっさりと放ったその言葉だったが、それが事実であるとはっきりと分かった。
考えればわかることだ。
魔法発動には少し貯めがある。
魔法を発動する素振りも見せてないのに自分の戦闘態勢がわかるこの人にとって簡単だ。
『なんか、やばい人かもしれないな』
勝から送られてきたフレンドチャットに俺は同意する。
俺たちは化け物についてきてしまったのかもしれない。
「まぁ、そう身構えるな。俺がそれすらもわかるように鍛えてやる。さて、着いたぞ」
住宅街の奥の薄暗い場所にあったのは、ぼろぼろの道場だった。
「これから、俺がお前らをみっちり鍛えてやる」
そう、レガルドはニヤリと笑った。




