ダンジョン攻略
ダンジョンの攻略、と聞くととても大変に思える。
だが……
「作業じゃんこれ」
俺ら3人のダンジョン攻略はただの作業とかしていた。
理由は至って単純。
敵が弱い。
ここのダンジョン適正レベルは20。
適正レベル20でいきなりレベル20のモンスターが出てくるなんてことはない。
それにルナ、ルナは予想通り回復魔法が使えるので主に体力回復。
勝はバフをかけてサポート+攻撃。
俺はレベル20だが、そもそもがユニークということもあって能力は高い。
レベルが上がったから魔力の量も増えて攻撃も結構できる。
それに魔力は時間経過で回復するみたいだしそもそも探知でモンスターとの戦闘避けれるからな。
これにより探知で発見、できる限り避ける。
無理だったら戦闘。
同じようにして次に戦うことになるときには魔力全回復、となっているわけだ。
もそもそこっちにはダンジョンある程度攻略した勝がいるからな。
初見よりだいぶ違うだろう。
時々勝が「本当ならこんなに簡単じゃないんだからな」とルナに行ってるのがちょっと面白い。
そしてそれにコクコクと頷くルナ。
真面目だなぁ。
ま、実際その通りなんだろうから俺も真面目に聞いておくか。
「さぁてと、これで第1層攻略完了だ」
「これで第1層か」
これが後なんそうも続くのかぁ、しかも敵も強くなって。
……いや?
敵が強くなるのは別にいいか。
きついのはずっと同じ作業を繰り返すっていうことだしな。
第2層になったとは言っても作業は変わらない。
敵の体力が増えたりしているがそれでもまだワンパン圏内だ。
幸いなのは俺が使っている星氷弾丸に追尾機能がついていることだな。
流石に敵が避けたらそれでおしまいだがエイムという技術を母さんに置いてきた俺からしたらとてもありがたい機能だ。
じゃなきゃまだ第1層だったろうな。
俺はそんなことを思いながら探知を見る。
結構前から思っていたが探知ってめっちゃ重要だと今改めて思った。
なんせ探知を見れば敵が来ることがわかるから事前に準備ができるのだ。
さすがに攻撃までは反応しないから信用しすぎるのは良くないがそれでもだいぶ大きいと思う。
「なぁ、ビクト」
「ん?」
俺が勝を呼ぶと勝は目の前のイノシシみたいなモンスターを瞬殺しながら俺の方を向いた。
「このダンジョンって一体何層まであるんだ?」
「えーと、確か10層くらいだったかな」
おや?
10層、思ったより少ないな。
「少ないからって油断するなよ? まだ2層だからいいが第8層とかそういった深いところじゃ苦戦は必須だぞ」
へぇ、そうなのか。
一つの層越えるごとにモンスター大幅強化させるのかな。
「ボスはまぁ30レベは軽くいってるんじゃいか?」
「はぁ? 20で適正のダンジョンで30を超える? まじで?」
俺はさっき勝が瞬殺していたイノシシをポリゴンにしながらそう言った。
「あぁ、このゲームのダンジョンは適正レベルよりボスは10レベ高いと思っていた方がいい」
なんだよそれ、適正詐欺やんけ。
「ま、だからボスに挑むのはダンジョンの5、6層でレベリングしてからってのがこのゲームじゃ定石だな」
まぁ、そうだよな。
そりゃレベリングしてから行くよな。
いきなりレベリングなしにボスに直行するやつなんていないんじゃ……
そのとき、俺の頭に狂戦士が笑顔で「ボスに直行だ!」とかいいながらダンジョンを突っ走っている光景が思い浮かぶ。
……いたわ、1人。
結構な確率でやりそうなやついたわ。
ピロン!
フレンドチャットに書き込みがありました。
ん?
書き込み?
「おい、ダンジョンでボスのところに行こうと敵フル無視で突っ込んで行ったら途中で戦闘になってボコされてるんだ! 助けてくれ!」
……見なかったことにしよう。
「ん? なんだ? 何かあったか?」
「いやいや、なんでもないよ」
俺は再び来た「おいなんか言えよ!」という通知を無視してそう言った。
えー、一定時間非表示っと。
よし、これでOK。
そうして俺らはダンジョンの攻略を進めていくのだった。




