プレイヤー秘儀! ログアウト!
「おーい、嬢ちゃん! 船の準備ができたぞ!
乗ってくれ!」
俺がNPCであるルナと一緒にダンジョンに行くことが決まった着後、船の整備をしていたおっちゃんからそう報告が来た。
確かにあれから30分くらいだ。
タイミングよく準備ができたらしい。
「いきますか」
「はい! いきましょう!」
俺とルナはおっちゃんの指示に従って船につながっている木の板から船に乗り込んだ。
どうやらこの船は1階と2階に分かれていて2階は屋根がない。
なんでそうなっているのか聞いてみると聞いてみると
「この湖にもモンスターはいるんだ。そんな中で視界が遮られてたら大変だろう?」
もっともな意見だった。
そうだ、ダンジョンまでは楽できると思っていたが湖にだってモンスターいるのだ。
油断していいわけじゃない。
探知をちゃんと気にかけておこう。
とりあえず俺たちは2階の1番おくに座ることにした。
俺たちが最初の方に座ってたら移動の邪魔になるかもしれないからな。
まぁ理由はそれくらいだ。
「結構人きますね」
「そうだね」
俺らが1番最初だったから気づかなかったが結構この船は人気だった。
と言ってもプレイヤーが移動するのに使うのだから当たり前と言っちゃ当たり前だが。
……ここ結構金稼げそうだな。
「ん? どうしました?」
「!? あ、いやなんでもないよ」
あっぷねぇ。
流石になんかここ儲かりそうとか考えてたっていくらNPCとはいえ言えないって。
こう言うことはあまり考えないようにしておこう。
……と、そんなことを思っていると船が進みました。
船は思ったより早く、体感に従分くらいで着きそうだった。
事件はちょうど半分くらいまできたところで起こった。
快適な船に乗っていたとき、突如として何かが水の中から凄まじいスピードで上がってくる音が聞こえたのだ。
「お、おい! 何か聞こえないか?」
と1人のプレイヤーが言った瞬間俺たちに影が映った。
「……ねぇルナ……」
「……なんですか?」
「……なんかさ、竜みたいな影が映って見えるんだけど……これって夢? ……痛っ!」
「現実ですね」
うわぁ、マジか!!
俺は恐る恐る後ろに振り向くとそこには
「キシァァァァァァァ!!!」
……うん、なんか狼くんと比べたらあまり怖く感じないな。
いや?
確かに怖いんだよ?
狼くんよりビジュアルは怖いと思う。
でも、なんか……感覚的にあまり怖くない。
「うぉ!? なんの騒ぎだ!? な、モンスターだと!?」
おっちゃんも騒いでる。
大変だよ、緊急事態だよおっちゃん。
ま、悪いがおっちゃんはおいといて一旦鑑定。
ーーーーーー 種族:アクアスネークLv:27
職業:ーーー
HP 1200/1200
魔力1000/1000
攻撃力:400
防御力:400
速度:700
[種族スキル]
咆哮 Lv:3
威圧 Lv:3
水砲 Lv:4
[固有スキル]
なし
[スキル]
突撃 Lv:MAX
[装備]
ーーー
ーーー
うーむ、やっぱり。
体力と魔力は多いけどそれ以外は特に問題なし。
やっぱ狼くんの方が強いわ。
というより狼くんが自分よりレベル高い相手と同等以上の力を持っている方が異常なんだよ。
さすが希少種と言ったところか。
あっ、一応これログアウトできるんだ。
確か移動中にログアウトすると移動前に戻るんだっけ。
ってことはこのまま逃げることもできるわけだ。
「ま、狼くんを潰したからには逃げないけどね!」
「えぇ!? や、やるんですか!」
「いややるも何も逃げられないでしょ」
「うぐ、確かに……」
まぁ俺は逃げられるんだけど。
俺はそう思って臨戦体制に入ったがそのほかのプレイヤーは違うようだ。
「れ、レベル27!? ここら辺はレベル23までがせいぜいじゃないのか!?」
「クソが! こんなこと聞いてないぞ!」
「そうだ、ログアウトだ!」
「それだぁ! 俺もログアウトだ!」
「私たちもログアウトしよ!」
「うん、そうしよ!」
ログアウトというプレイヤー特権に気づいたプレイヤーから続々とログアウトして行った。
残ったのは俺とルナだけ……ではなかった。
「よし、やるか!」
「はい、そうしましょう!」
俺とルナが気合を入れていると
「おうおう、何2人だ一緒に! みたいな雰囲気出してるんだよ。男の俺が入りずらいんだが?」
後ろからそんな声が聞こえてきた。
「うお、ログアウトしてない奴がいたのか」
「ログアウト? 何言ってんだ、こんな状況滅多にないぜ? こんなのやるっきゃないだろ!」
男は手に大きな斧を装備しながらそう言った。
「だよな! レアイベントはやるっきゃないよなぁ!」
「おうよ! ブルーウッド、よろしく頼む!」
「こちらこそ頼むぜ狂戦士!」
「バカ言え、プレイヤーネームは攻撃全振りだ!」
それが狂戦士だって言ってんだよ。
「んぁ? おいおいあんたもやるのかよ」
狂戦士がそういいながら振り返る。
それに釣られて視線を向けるとそこにはおっちゃんがいた。
「おっちゃん!? 戦うつもりなのか!?」
「何言ってんだ。俺の船の乗客を死なせるわけにはいかねぇんだよ!」
おぉ、おっちゃんかっこええ。
「あ、あの私のこと忘れてないですよね!」
空気になっていたルナがそう言ってきた。
「大丈夫忘れてないよ」
「そんじゃあ行くぜ? レアイベントに挑戦ダァ!」
狂戦士のその声で戦闘が始まった。
新キャラ登場!