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武器の確保



今後のボス狩りという進路方針が決まった後、俺たちは解散した。

ボス狩りするときはそれぞれ連絡を取り合って日付やある程度の人数が集まったらやることになった。


にしてもボス狩りかぁ、いかにも透の好きそうな方針だな。

んでどうすっかな。

方針は決まったはいいけど何すりゃいいかわからん。


方針のボス狩りをするには流石に1人で挑むようなことはできないし……


「あっ、そうだ。防具とかアイテム準備するか」


そう、何も今の状態で挑むなんてことは必要ない。

というか挑む方が頭おかしいのだ。


ボスなどに挑むときはしっかりとポーションなり武器なり用意しておくものだ。

それも含めて考えるとやっぱ俺が狼くんになったのってだいぶ奇跡に近かったんだな。


ちょっくら武器とかポーションとか探してみるか。




「うーん、あるにはあるけどどこがいいかわからん」


やはり最初の街だからな、オーダーメイドとかはあんまりなさそうだ。

性能がいい武器はあるけど……でもやっぱりオーソドックスな剣とかなんだよな。


俺みたいな防御型の人は盾とか持つんだろうけど俺にはあまりいらない気がする。

だって俺のステータスは……



ブルーウッド 種族:星氷竜(人化状態)Lv:20

       職業:古竜学者



HP1000/1000


魔力1300/1300


攻撃力:250


防御力:950


速度:400


[種族スキル]


星氷魔法 Lv:2

星氷結 Lv:1

飛翔 Lv:1

星氷竜の加護 Lv:2


[スキル]


鑑定 Lv:2

探知 Lv:3

etc……


[装備]


古竜学者の魔術本

古竜学者のフード



うん、本当にいらない気がする。

俺の防御力は950、狼くんの約2倍だ。


俺の場合、飛翔があるからある程度は避けられるしもし攻撃当たったとしても防御力950が相手をすることになる。

流石は防御型のユニーク種族、進む道の補正といったところか。

要するに俺にはあまり盾が意味ない。

持っててもいいけどそれだと飛翔の時邪魔になるからな。

万が一の時のためのものは持ってていいかもしれないけど普通の状態ではいらないと思う。


だとしたら欲しいのは……


「おーい、そこの姉ちゃん!」


ある程度機動力を保ちながら防御力を高めることか。

攻撃はもう残念なことになってるしな。


「あっ、無視しないでよ! 君だよ君!」


「え? あっ、お、俺?」


「俺? 君女の子と癖に変な言葉遣いを……いや、まさか中身は……!」


「えっと! それでなんのようですか!」


やばい、流石にユニークのことは明かしたくないしかと言って中身が男だってわかって変に嫌われたくない!

く、口癖をどうにかしなければ……

私? いや、あまり慣れない……


そうだ! 僕、僕にしよう!

人と話すときはそうしよう。

僕なら前まで話してたから多少は大丈夫だ。


「あっ、そうだった。君に用があるんだよ」


「ぼ、僕に? あなたとは面識ないんですけど」


「いや君が何やら探していてるのを見かけてね。なんだろうと思ったけどさっきから武器屋らへんを行ったり来たりしてたから武器を探しているのかと思ったんだよ」


あ、見られてたの?

マジか……なんか恥ずかしい。


「え、あっそうなんですよね。僕のステータスって結構特殊でしてそれにあった装備がないんですよ。そ、それに……」


「それに?」


「僕、エイムが絶望的なので……」


「あっ……なんか……ごめんなさい」


「いや大丈夫ですよ。というより僕をそう言った理由で止めたってことは……」


俺がそういうと思い出したように女の人に言われた。


「おっと、そうだった。私の名前はライン。この初心者の街、サウザンライフで武器屋をやっているβテスターさ」


武器屋、βテスターか。


「え!? βテスター? こんなところにまだいたんですか!」


俺がそう言うと「ん? それはどう言うことだい?」と聞いてきた。


「あ……ちょっと失礼かもしれないんですけどβテスターのみなさんはもう先の街に言っているものとばかり……」


「あははっ! 確かにそうだね! 大体のテスターはみんな我先にとどんどん前に進んでいくからね」


やっぱりそうなんだ。

まぁ、そりゃそうか。

βテスターでのプレイデータを使うことができるんだったらもうすでに用のないここ、サウザンライフにいる意味はないもんな。


「だったらなんでラインさんはここに残っているんですか?」


「あぁ、それはね。ここにははじめ縦の初心者が最初に来る街だろ? だからここで武器を揃えて欲しいんだよね。初心者も最初から10,000テンス持っているからいい金ずr……じゃなくて強い武器を使って欲しいんだよ」


「……今金蔓って言おうとしてましたよね」


「いや?」


「絶対に言おうとしてましたよね!?」


「さ、さぁ、武器をみせてあげるからこっちおいで!」


誤魔化したな、間違いない。

ていうかそれ以上に武器の性能が気になる。

初心者と言っても武器の性能は隅々まで見ることができる。

それでもなお作って置けると言うことはそれなりに自信があるのだろう。

まぁ、初心者だからと低レベルの武器を売っているかもしれんが。


「さぁ、これが私の作った自慢の武器たちだ!」


「おぉ、たくさんあるな。そんじゃ性能は……は?」


おいおい、マジかよ。

この、最初の村でこの性能っておかしくないか!?


棚に置かれていたその短剣は



白夜 ランクS


攻撃補正率:2700

魔力伝導率:B


武具スキル「強かなる夜明け」

一度だけ発動可能。発動すると全状態異常を解除し以後の状態異常を無効化する。発動後状態異常を受けると攻撃力、防御力、素早さが一定時間上昇する。


製作者 ライン



と言うものだった。

はっきり言ってぶっ壊れもいいとこだった。

だってあれだぞ?

敵の状態異常を発動すれば無条件で消せてさらに攻撃力などが上がるんだぞ?


「なんだよこれ!? こんなの始めの街に置いといていい代物じゃないだろ!」


「ふふふ、どうだね? 私の自慢の武器たちは……」


いや、やばい。

うん、やばい。

絶対にこんな序盤に置いておく武器じゃない。

なんだよSって。

そんなもん最終盤の最後の最後にやるもんなんだよ。


「すごいってレベルじゃないな。もはやこれゲームの終盤に手に入るものだろ」


「ふふん! どうだ! すごい武器だろう! どうだ! 買っていかないか!」


「……ちなみにいくら?」


この武器じゃなくてもこの性能の武器は欲しい。

できれば50,000テンスくらいだと嬉しい……


「150万テンスだね」


「ごっ!?」


えーと想像の10倍を言っているんですが。

ランクBの武器で10,000だったんだぞ?

流石に差がありすぎないか?


「このゲームの武器はね、大きな壁があるんだよ」


「壁?」


「そう、武器の性能には大きな壁がある。それこそAランク未満と以上じゃ大きな差があるんだ。Sランクとくればさらに差は広くなる。それこそBランクがせいぜい1、20,000くらいだとしてもAならば10数万はいくのさ」


そうなのか。

透の買っていたBランク武器もかなり強かったけど夜に強くなると言うものだった。

それがこれは状態異常無効に実質的なバフだからな。

それこそ状態異常の含まれる攻撃の直前に発動したら確定バフだ。


「マジか、そこまでかかるのか……」


「でもどうしてこんな武器を作れるんですか? いくらβテスターと言っても流石にこんな短時間じゃ作れないでしょ」


「おっ、察しがいいね。まぁそれは私が特別ってわけさ」


特別……特別ねぇ。

ゲームに求められるのは公平性だ。

全員の条件が同じ時に競い合ったりすることで面白さなどが生まれる。

だからこそ運営がラインさん1人を贔屓することはない。

それこそ運営の娘だったりとかしなければだが。

まぁ、それが発覚したらまず間違いなく炎上するからやらないだろうけど。

だとすれば残るのは


「なるほど、ユニークか」


「へぇ、ユニーク。どうしてそう思うんだい?」


「いやね、こちらも特別な事情を抱えてるもんでね」


「特別な事情? ……あぁ、なるほど。君も同類だったわけか」


ラインさんは察すると近くにあった椅子に腰掛けた。

よし、勝負をかけるか。


「さて取引の時間だ」


「取引?」


「互いにその特別な事情とやらを話し合うんだよ」


俺がそんなことを言うとラインさんは心底驚いた表情だった。

それもそうだろう。

ユニークを明かせと言っているようなものなのだから。


「その取引をして私になんの得が?」


「取引が成立したら僕のオーダーメイドの武器を無料で作ってくれ」


「はぁ!? 無料で!?」


「代わりにこっちは素材やらを用意する」


「素材を……でもそれだけじゃ」


「お? こっちの特別なものでしか手に入らない素材が入ってくるかもしれんぞ? それこそそっちだけでは絶対に出会えないようなものが……な」


これは結構効くんじゃないか?

武器を作る上で素材は必須だ。

しかしそれを集めるのはとても大変だ。

もしかしたらドロップしないかもしれない。

死んでしまうかもしれない。

そのリスクをなくせるのは大きいと思う。


そこで本命、ユニーククエストでの素材。

ユニーククエストはそれぞれ個人だけのもの。

俺がユニーククエストを出すと他の人たちは出すことができない。

もしその過程で何かしらのアイテムが出てくるとそのアイテムは俺しか持たない。

ようは俺が独占できるわけだ。


武器を作って俺に出すだけでそれが手に入る。

これはだいぶ大きい攻撃だと思う。


そのようでランンさんもだいぶ悩んでいる。


「……でも君がバラす可能性がーー」


「もしそれが発覚したらこっちもバラせばいい。どちらもバレたらやばいからな。これなら牽制になるだろう。もし裏切ったらバラすぞ? とな」


「あっははっ! いいね! それだったら安心して取引できる。何せその特別な事情は個人だけの持つユニークなものなのだからね!」


「ということは?」


「取引に乗ろう」


よし、これで武器の確保成功だ!



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