御美苗くんは不機嫌?
「まさか、澄海が御美苗くんとデキてたなんて」
「だから、違うって」
先程のひと騒動の後、教室へ戻ってきては、真美から好奇の目を向けられている。
「手繋いでたじゃない」
「繋いでたんじゃなくて、掴まれただけだよ」
「でもさぁ、御美苗くんって頭いいしモテるし目立つわりには無口、無表情、無関心の三重無だったからさ。さっきのはびっくりしたよ」
無口、無表情、無関心の三重無……。
何だそれは、なんでそんな人間がモテるんだ。
「澄海にはちゃんと反応するし、話も聞いてるからちょっと面白かったわ」
「面白がらないでよ、私は生きた心地がしなかったよ…」
あの後、御美苗くんがなかなか手を離してくれず、見かねた取巻きガールズの一人が「御美苗くん、そろそろ離してあげたら?」と言ってくれたおがげで、そっと離してもらえた。
取巻きガールズが私に何か聞きたそうな雰囲気を醸し出していたけど、私は大急ぎで真美と購買に逃げ込んだのだった……ーーー
「でも御美苗くんと初見じゃないなら問題なさそうね!」
「え、何が?」
「まぁまぁ……ところで、今日の放課後空いてる?」
「突然だね…まぁ空いてるけど」
「じゃあ、放課後いつものファミレス集合ね!」
「真美、澄海ちゃん!こっちこっち!」
「翔太、遅くなってごめん!」
ファミレスに着くと、真美の彼氏の翔太くんともう一人……。
「御美苗くんも待たせてごめんね!」
真美が謝ると、御美苗くんは静かに会釈した。
(いや、なんで御美苗くんいるの?)
「皆んなで海行こうって言ってたじゃん?今日はメンバー顔合わせだよ!」
「もう一人って御美苗くんだったんだ」
(なんか最近御美苗くんと絡むこと多いなぁ……)
「葵は俺の幼馴染みだから誘ってみたんだ」
「翔太くんの幼馴染み?……葵とは?」
「あぁ、こいつ名前が葵っていうんだ」
「名前で呼ぶな」
少し低い声でそう言うと、御美苗くんは翔太くんを横目で睨みつけた。少し不機嫌そうだ。
「なんだよ〜昔から呼んでるからいいじゃねぇか」
「あまり好きじゃない」
「こいつ、自分の名前が女っぽいって揶揄われてたから名前で呼ぶとキレるんよ」
翔太くんはケラケラと楽しそうな反面、御美苗くんは引き続きジト目で翔太くんを睨んでいる。
(あ、なんか……)
「御美苗くん、翔太くんといるとよく話すし表情が豊かになるんだね」
無表情以外の御美苗くんが新鮮で、私はちょっと面白かったのでクスっと笑った。
「………澄海とも結構話してる」
「え?そ、そうかな?」
(あれは話してるうちに入るのだろうか。いや、話してるより間が多い気がするが……うーん。)
「……え?2人ってそんな感じなの?」
何故か翔太くんが少し驚いている。
「そ、そんな感じとは」
「まぁまぁ!とりあえずドリンクバー頼んじゃおう!すみませーん!」
私の問いかけを遮るように、真美は定員を呼んだ。
ふと、翔太くんを見ると何故か御美苗くんの方を向いて「え?もうそういう関係なの?いつの間に!?」と、ちょっとよく分からないことを言っていたが、御美苗くんは明後日の方を向いて無表情に戻っていた。




