1-1 始まりの手紙
『つまりだレノス! はるか千年の昔には!』
校舎の一階にある食堂の片隅。俺を含むいつもの三人で囲む窓際の木卓。そこで俺を呼ぶ声が響く。
『千年前の古代には、現代と異なる性質の魔力が存在していたというわけだ!』
声の主は俺の爺ちゃん、エルゴ・アーティオン。でも、本人の姿はここにはない。
朝食中の俺の手元にある一枚の手紙から声が出ている。爺ちゃんが発明した、書いた本人の声で内容を朗読する手紙だ。
『お前が出て行ってからの退屈しのぎのはずが、この研究、大発見になってしまったぞ! わっはっは!』
声だけでもあの禿げ頭と元気な笑顔が思い浮かぶ。昔は俺と同じ黒髪でフサフサだったとか。確かめようもないけど。
「相変わらず元気だな、お前の爺さん」
隣に座る金髪碧眼の少年、ウォルゼ・ドルイクが千切ったパンを口に放り込む。
「そんな大昔の魔力の痕跡なんか見つけて、どうしようってんだ?」
「さあ。爺ちゃんのことだから、ただ調べたかっただけだと思う。たぶん」
「天才魔法使いの考えは孫でもよくわからない……か。つか、孫の十六歳の誕生日に寄越す手紙かそれ?」
「でも千年前の魔力だって。なんだかすごそう」
緑色の長髪を束ねた、明るい印象の少女が、赤い瞳を輝かせて俺たちの向かいから身を乗り出す。
ミシェラ・ロイアット。ウォルゼと同じ俺の級友だ。
『魔法が使えんお前に何かしてやりたかったが……すまん。こればかりはどうしようもなかった』
しおらしくなった爺ちゃんの声は、すぐに元の声量に戻る。
『だが案ずるなレノスよ! お前にはその剣と、爺ちゃんが魔法の代わりに教えた剣術がある! それがあれば、必ずお前はこの世界を救える! 鍛錬を怠るなよ!』
「ああ。わかってるよ爺ちゃん」
返事をしながら、水が入ったグラスに手を伸ばす。
『追伸』
ん、どうやらまだ続きがあったようだ。まあ、たいしたことじゃ――
『この手紙が届くころには爺ちゃん死んでるから! 葬式と遺品整理、頼んだぞ!』
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