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迷宮剣聖、かく語りき

 はぁ。


 のんびりと鍛治仕事を終えて、いつものように近所の酒場で飲んで。

 デクスターとか馴染みの面子と馬鹿騒ぎして、自宅に帰らずに鍛冶場の仮眠室でごろ寝していたはずなのに。


 気がつくと迷宮にいるって、どうよ?


「また、『始祖たる神カルリマコス』からの仕事かぁ? 全く、こういう面倒なことはマチュアに任せりゃいいだろ?」


 そう思って周囲を見渡すと、ここはどうやら迷宮。

 それも広大なフロア。

 作りから察するに、恐らくは地下迷宮だと思う。

 

「GPSは……ああ、こっちの世界の神の承諾が得られていないから無理か。って、まてよ創造神、こっちの世界にも神がいるんじゃねーかよ、なんで俺をこんなところに放り込んだ?」


 はぁ。

 流石にいつものように指示書ががないので、あとは手探りでどうにかするしかないか。


──コツーン、コツーン

 ん?

 階段を降りてくる音か。

 さて、俺としても状況を知りたいから、そいつから話を聞くか。


──プゥン

 そう思った時。

 目の前にメッセージが浮かび上がった。

 はぁ、ここからが俺の仕事ってことかよ。


『ミッション:その部屋を訪れるものたちを相手して、適当に戦ってください。討伐不可、継承不可、彼らなりに何か見出すもよし、そうでなくともよし。なお、会話は禁止、素顔厳禁』


 ウッソだろ?

 いや、そのウッソは不味い。ヘルメットを手に持って頭だけの母親を紹介するようなサイコな性格にはなりたくはない。

 

「はぁ。それじゃあとっとと装備するか……ええっと、手加減する必要があるから、カリヴァーンと聖なる鎧一式でいいか……って、これじゃあ殺意満々じゃねーかよ。もういい、リプロティンと漆黒の鎧、普遍の兜でいいか」


 一瞬で装備を整えると、俺は階段から姿を現した女騎士に向かって剣を構えた。


………

……


「ここが、この迷宮の最下層か」


 オムイ郊外に新たに出現した、未知の迷宮。

 ハルカ殿不在のいま、留守を任された私がここを調査するのは必然。

 いや、たまたま陛下からの仰せつけでオムイ領主のもとにやってきた時、偶然発見しただけ。

 いや、偶然ではない。 

 ハルカ殿をはじめ、彼女たちの強さの秘訣は迷宮攻略であることは理解している。そして私が足りないものも迷宮にあると踏んで、とっとと用件を済ませて迷宮攻略に挑戦しようとしたのだが。


 どの迷宮も緩かった。


 いや、私の実力が高くなっているということでは理解できるのだが、私は未だ『超越者(オーバーロード)』には達していない。

 今後のことを考えると、私もその領域まで達する必要があると考えたのだが、どこを攻略してもその願いは叶わなかった。

 そのため森林地帯に向かい、魔物相手に修行を行おうとしたとき。

 

 目の前に、迷宮が発生した。

 誰も攻略していない、未知の領域。

 そんなものを目にして、心躍らない騎士がいるだろうか、いやいない、いてたまるか、私もその通りだ。


 私は、目の前で口を開いている迷宮に飛び込む。

 未だ、迷宮と聞くと、嫌な過去が頭の中をよぎる時がある。

 もう、王女様半裸ワッショイ事件はごめん被る。

 いつまでも王女っ娘だなんて言わせない。

 この迷宮を単独踏破して、私の名前、シャリセレスをハルカ殿の頭の中に物理的に刻み込んでやる。


………

……


──シュコーッ、シュコーッ

 階段を降りた先は、最下層。

 そこにいる黒い甲冑を身にまとった、漆黒の騎士。

 これが、この迷宮を支配する迷宮皇か。

 しかし、武器を持っていないぞ?

 しかも兜の口元から、シュコーッ、シュコーッという呼吸音しか聞こえてこない。

 

「わ、私の名前はシャリセレス。王女っ娘でもシャリシャリさんでもない!! いざ、尋常に勝負!!」


 そう叫び剣を構えた時。


──ブゥン

 漆黒の騎士が剣のつかのようなものを構えた瞬間。

 真紅に輝く魔力の刀身が出現した。

 そして醸し出される、圧倒的な存在感。

 くっ、こんなところで屈するわけにはいかない。

 私は貴様を倒し、超越者となるのだ。


………

……

 

 ん?

 ああ、私は眠っていたのか。

 ここは……あ、私がとってあった宿屋 白い変人か。

 はて、私はどうしてここにいるのだろう。

 確か迷宮で討伐を行い、そのあとは魔獣と戦うために森に入って……うん、その後の記憶がない。

 それに、このテーブルに置かれた手紙はなんだ?

 誰か私の元を訪れたのか?

 しかも見たことがない文字だ。


『敢闘賞。踏み込みが甘い、剣筋に躊躇が見られる。勇気爆発だ』


 確か、ハルカ殿の国の文字のようだが、私にはまだ読めないか。

 仕方がない、あとで委員長たちが戻ってきた時にでも、読んでもらうとするか。


「さて、今日はどこの迷宮に挑もうか……」


──続くのか?


いつもお読み頂き、ありがとうございます。


・この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

・誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。


これはFAのようなものです。

《ひとりぼっちの異世界攻略 ~チートスキルは売り切れだった(仮題)~【WEB版】》

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面白いですよ〜、アウトっぽいなぁ。

アウトかなぁ。

アウトなら消そうかなぁ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] セーフでしょうw [一言] ちなシャリセレスさんの名前の元ネタはへレス・セレス・シェリーだったりします(笑)
[良い点] 本家が見ても「イイゾモットヤレ」と言いそうだからセーフ? [一言] イイゾモットヤレw
[一言] イイゾモットヤレ?みたいな?
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