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ステータス平均50の世界で賢さ11の魔法使い コイツはヤベェぞ!

Twitterの診断メーカーにて行った、自分のステータスを決めるやつをやって見た友人のリクエストですがなにか。

 どうしてこうなった……。


 俺の目の前には、ステータス画面という人間の基礎能力値を表示するインターフェースが浮かび上がっている。

 これは俺がよくやっていたVRMMORPG【ニューロンシステム・オンライン(NSO)】というゲームのシステムの一つで、キャラクターの能力値を表示する画面なんだけれど。

 まさか死後の世界で再びこの画面を見ることになるとは、俺も思っていなかったよ……。


 修学旅行中のバスの事故で死んだらしい俺は、どうやら同じように死んでしまったクラスメイト達と一緒に異世界に転生することになったらしい。

 いや、助かった奴もいるらしいから、全員ということじゃないらしい。

 俺を含めて6名、それが今回の異世界に転生する人数らしいんだけれど。

 死んだ直後に天界に召喚され、それぞれの担当の女神から加護を授かって転生するらしいんだわ。

 それで俺の担当が、大きなソファーに横たわってポテチをつまみつつあくびをしているグレイシーという女神さま。

 もうね、やる気はないし面倒くさがりだし、とっとと転生してここから出て行けっていう雰囲気がひしひしと伝わってくるんだわ。


「それじゃあ、とっととその数値で納得してくれない? 女神だって暇じゃないのよ?」

「は、はぁ……いえ、この数値なんですけれど、これって俺が転生する人間の肉体ですよね? もうすことこう、なんというか……手加減をしてくれませんか?」


 目の前には、つい今しがた決定した俺の新しいステータスが浮かんでいる。

 まあ、これが可もなく不可もなくっていうのならまだ納得が出来るんだけれど、どう見ても納得できる数値じゃない。


「はぁ……仕方ないわねぇ。それじゃあ、もう一度、ダイスを振ってみる?」


 そう呟いて、女神は俺の目の前にダイスを二個、放り投げてきた。

 ついさっきも、これを振って俺のステータスを決めたんだよ。

 それで決まった数値がクソだったんだよ。


職業:未設定

HP :75  MP :88

攻撃力:65  防御力:48

賢さ :65  素早さ:42  運  :01


 これが、俺が最初にサイコロで決めた能力値。

 決め方はいたってシンプル、0から9までの数値が彫り込まれている二つのサイコロを振る。

 片方は10の位、もう片方は1の位。

 つまり、この二つで01から99までの能力値が決定する。

 さっき決めたステータスだって、決して悪くはないんだよ。 

 でもさ、すでに転生処理が終わったクラスメイトたちのステータス平均値が約80だったと聞いたら、俺のステータス平均値54は納得できる代物じゃないって理解してくれるよね。


 そんなの納得いくはずがないじゃないか。

 異世界に転生したんだよ? それならチート能力ぐらい寄越せって思うよね。


「はいはい。それじゃあ特別に、一ついいことを教えてあげるわ。あなたがこれから向かう世界に住む一般の人々の平均能力値は50。そう考えると、さっきのこのステータスだって決して悪くはないのよ? まあ、平均値としてはコモン人、つまりあっちの人間の平均値程度だけれどね」

「でもさ、運が1ってまずいっしょ? 具体的に運が1ってどの程度?」


 恐る恐る問いかけてみる。


「そうねぇ……蝉の幼虫が7年たって、成虫になるために地面から出てきて木に上っていくじゃない? その途中で子供に見つかって採取されるぐらいかな?」

「ちぇーーーんじ、振り直しを要求する!」

「はぁ。それじゃあ、あと一回だけね。ステータス以外にも、初期スキルとか初期装備、それにあなたの職業も決めないとならないのだからね。だから振り直しは一回だけ、いいわね?」

「え、まさかとは思うけれど、そういうのも全てダイスで決めるの?」

 

 こういうのって、限界値マックスとかを与えられるとか普通じゃないのか?

 

「ほら、貴方の世界の偉い人も言っていたじゃない。『賽は投げられた』ってね。だからとっとと振りなおしなさい。それとも、そのステータスで妥協して、振り直しはスキルチェックのときに使う?」

「あの~運1で異世界に転生した場合の、最悪の結末は?」

「異世界へ移動するときに時限の狭間に引っかかって胴体真っ二つで死亡ってところかしら?」


――ヒュンッ

 大慌てでダイスを握りしめる。

 よし、俺の体内のオーラよ、ダイスに集まれ。

 ダイスに力、蓄えて。開いた手から天に飛ぶ……。

 恐れるな、俺の心。悲しむな、俺の天分……。


「ぬあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 そして決まった数値を見て絶叫する。

 

職業:未定

HP :28  MP :67

攻撃力:58  防御力:63

賢さ :11  素早さ:16  運  :66


「平均値44ぉぉぉぉぉ、下がったぁぁぁぁぁ」

「はいはい。ついでに職業も決めるわよ。ほら、とっとと振りなさい。それとも私が振っちゃうわよ?」

「ここにきて運を女神に託すなんてできるかよ……と、ほらみろ、出目は08だ!!」

「あら、冒険者適正持ちの職業じゃない。良かったわね、樵補助とか革細工師見習いとかじゃないわよ」

「怖ぇぇよ、なんで補助とか見習いなんて言う職業があるんだよ」

「どんな職業も、大抵は初心者から始まるのよ。だから見習いとかは当たり前。でもよかったわね、貴方の職業は【魔法使い】よ、見習いとかじゃないわ」


 ガッツ!

 運命の神様、ありがとう!!

 見習いとかじゃない


「それじゃあ、スキルもとっとと決めるからね、さあ、どんどんダイスを振りなさい」

「はいはい……と」


 次はダイスを振ってスキルを決定する。

 ちなみにスキル決定時のダイスは、さらに一個追加される。

 つまり、001から999までの999パターンのスキルが用意されているらしい。

 しかも重複するとそのスキルのレベルが上がるだけ。

 回数は一回に数えられるらしい。


「あの~、スキルの初期数っていくつですか?」

「知力の10分の1で、端数は切り捨てね。つまり、貴方の初期スキルは一つだけ……まあ、よくあることよ」

「噓だぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ」


 なにそれ、異世界にいって最悪のステータスで、スキルも一つだけなの?


「まあ、最初に職業スキルは自動的に付与されるからね、ほら、魔法使いの初期スキルは『黒魔法・レベル1』だから。大丈夫、頑張ればそれなりに強くなるから」

「レベルかぁ……これって、限界値はいくつなのですか?」

「知力と同じ数値ね。つまりあなたはレベル11が限界値の魔法使いだから」


 もういやだ……。

 異世界転生するんじゃなくて、すみやかに現世界で輪廻転生したくなってきた。

 

「ほらほら、とっととアイテムの数も決めないとならないんだから、とっととスキルを決めなさいね……」


 はいはい、もうやけくそだわ。


――カラカラカラッ

 そしてダイスの目は、全て0を指している。

 つまり000。

 まさか、そんなスキルは無いっていうことはないよな?


「あら、大当たりだわ。おめでとう!! あなたの得たスキルは『すべてにおいて万能』というスキルよ。しかも安心して、レベルの上限は、知力と素早さの合計値だから」

「27じゃねーかよ、下手すりゃ、その辺の子供の方が高くねえか?」

「高いわね」


 ウンウンって腕を組んでうなずくなよ。

 なあ、本当に俺はこんなステータスで異世界転生するのか?

 もう一度、一からやり直させてくれないか?


――to be continue

いつもお読み頂き、ありがとうございます。


・この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

・誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。



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