【漫才ネタ】蛾になりたい!
漫才の脚本形式です。
ボケ → ボ
ツッコミ → ツ
ボ「」 はセリフ
ボケ: とするときは、ボケの動作を表します
二人「どうもー。よろしくおねがいしまーす」
ボ「――コウモリから逃げたい!」
ツ「唐突だねェ。まあいいや、どうした!?」
ボ「顔が怖い!」
ツ「コウモリの顔? 結構かわいい顔してるんじゃなかったっけ?」
ボ「ぜんっぜん可愛くない! こっわいこわい!」
ツ「えー?」
ボ「寝てるだけで怖い。こうさァ翼を抱えて逆さになって寝てるわけよ」
ボケ:足を交差し、両腕を広げてから、胸に抱え込み目をつむる。
一拍おいて目を閉じたままグッと酸っぱい顔をする。
ツ「こわっ!」
ボ「ほら、寝てるだけで怖いでしょ!」
ツ「って、そんな顔してないでしょ!?」
ボ「ホント、見たんだから!」
ツ「悪い夢でも見たんじゃないの?」
ボ「起きたときは、もっと怖い!」
ボケ:酸っぱい顔のまま、目をクワッと見開く
ツ「怖い怖い! もう「生まれてこなきゃ良かった!」って顔してるよ!」
ボ「だから。なんとかしたいわけよ」
ツ「なるほどね。で、どうするの?」
ボ「蛾になるっ!」
ツ「いやいや、蛾は狩られる側でしょ?」
ボ「だから、蛾になるっ!」
ツ「そもそも、蛾にはなれませんけど、意味わかんないな。どうして蛾になりたいのよ!?」
ボ「蛾は、コウモリに食べられないように、メチャクチャ進化してるわけよ!」
ツ「なるほどね。蛾に学ぶってことね。で、蛾のどこがすごいの?」
ボ「蛾から学ぶことぉー! その1!」
ツ「おお、学ぶ気満々だ!」
ボ「コウモリってエコロケ使うじゃん!?」
ツ「いやいや、誰でも知ってるみたいに言ってますけど、エコーロケーションね」
ボ「そう」
ツ「超音波で獲物を見つけるのね。真っ暗なところでも位置が分かるんでしょ?」
ボ「うん。エコロケに対抗して進化したのがアメリカオオミズアオっていう蛾」
ツ「アメ? アメミミア? 早口言葉みたいな名前の蛾だねー」
ボ「アメリカオオミズアオは尾っぽがめちゃくちゃ長い!」
ツ「ほーう」
ボ「アメリカオオミズアオは――」
ツ「よく噛まずに言えるねー」
ボ「こう……長い尾っぽをピロピロ~ッとやって、コウモリのエコロケをこう……」
ボケ:両手を波のように右へ左へなびかせる
ボ「こっちだピロー。あっちだピロー。ピロピロォ~」
ツ「こっちだピローって! 気になるけどまあいいか。それでコウモリの気をひくのかな?」
ボ「うん。コウモリはピロピロばっかり攻撃しちゃう!」
ツ「でもさー。そのピロピロ? それも蛾の一部でしょ? やられたら痛いんじゃないの?」
ボ「でも大丈夫っ!」
ツ「突然、不思議ちゃん系女優さんぽいけど。なんで大丈夫なんだよ」
ボ「ピロピロはちょ~簡単に千切れるからカラダには影響なしっ!」
ツ「千切れるって……。全然平気そうじゃないけどね」
ボ「でも大丈夫っ!」
ツ「それ、気に入ってるみたいだねえ。まあ、大丈夫なのね。人間とは違うからね」
ボ「だから! 俺もピロピロで、コウモリに挑む!」
ツ「まって、まって。君、長い尾っぽ無いよね?」
ボ「そこでっ! 俺の赤いマフラーの登場だ!」
ツ「ああ、あのヒーローみたいだって自慢してた、やっけに長いやつね」
ボ「というわけで! ――ヒーローモス、参上!」
ボケ:左手を腰に右手を挙げてポーズ
ツ「なんか変なヒーローが誕生しちゃったよ!?」
ボケ:自慢げに右手をピロピロさせる
ツ「やれやれですけど。満足いったみたいでよかった」
ボ「いや、まだまだ! 蛾から学ぶことぉー! その2!」
ツ「まだあるのかよ! まあいいや、聞いてやるよ」
ボ「俺自身が超音波を出す!」
ツ「もう、蛾じゃなくて俺になっちゃってますけど!?」
ボ「俺の超音波でエコロケを打ち消してやる!」
ツ「なんか、凄そうだね。どうやってやるの?」
ボ「蛾は、生殖器を振動させて超音波を出す!」
ツ「ほう、なるほど生殖器をねェー。ぶらぶらしてるからねェ……」
ボケ:股間を前に突き出し振る動作をしようとする
ツ「って! 直ちにやめなさい!」
ツッコミ:ボケの腰あたりを抱え込むようにタックルし、動きを止める
ボ「止めるな! 俺は蛾になるんだァー!」
ツ「なれませんッ!!」
ボケ:しょんぼり
おわり
このネタは『ステイホームはダンジョンで! ~ダンジョンのある新しい生活~』でコウモリへの対抗策として主人公が蛾を参考にするワンシーンを漫才ネタにリメイクしたものです。
作品内のタイトルは「敵を知り己を知れば百戦危うからず! 天敵対策!」他数話になります。
そちらも合わせて読んでいただけると幸いです!