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ご都合主義って知ってる?~もし作者が世界を自由に改変することができたなら~  作者: 僕(投稿者:吉田純一郎)
第一章「アリステリア編その1」
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第三十一話「よくぞまいった、ゆうしゃよ!」

 ヴェルヘニア城の玉座の広間より、一回りも二回りも大きな広間。

 白と青を基調として、ところどころに金の装飾が施されている玉座の間に、テルヤたちは居た。

 金で縁取られた青色の絨毯の上に、彼らが片膝をついてしゃがんでいる。

 壁際、大扉の前には数人の軽装の兵士。そして玉座の隣には、いかにも好々爺然とした宰相の姿。

「よくぞまいった、ゆうしゃよ!」

 玉座の上、ぶかぶかの王冠を被ったまだあどけない少女が口を開く。

 テルヤは、声を潜めて言う。

「おい、女王ってまだ子供じゃねえかよ。それとも、あの背丈でもう大人なのか?」

「いえ、先代の王が急死なさって、継承権を持っていた一人娘——現アリステリア女王が王座を継いだと聞き及んでおります。」

「まじかよ。あんな子供に王が務まるのか?」

 ひそひそと話す二人に、女王は続ける。

「わらわは、アリステリアおうこく、だいにだいこくおう、リュミエール・アルシアであるぞ。して、そなたがゆうしゃか?」

 言って、リュミエールが手にした職杖でオルボールを指す。

 オルボールは、頭を下げたまま言う。

「恐れながら、私は勇者ではございません。そこの軽薄そうな男こそが勇者でございます。」

「おい、今軽薄そうっつったか。」

 テルヤが声を荒げる。

「そうか、それはしつれいした。しかし、ひよわそうだ。ほんとうに、かのものにゆうしゃがつとまるのか?」

 その言葉に、ルートが口を開く。

「確かにテルヤは弱い、です。でも、いざという時には頼りになる、です。」

「おい、今弱いとか言ったか。女王の前なんだから、嘘でも持ち上げてくれたっていいだろ!」

「そうか、そうか。まあ、よかろう。して、アーティファクトについてだが——。」

 そのリュミエールの言葉を、テルヤが遮る。

「ああ、それについてだが、その前に済ませておきたいことがあるんだよ。」

「なんじゃ、いうてみよ」

 促すリュミエールに、続ける。

「ああ、今俺たちはグリーン・カンパニーという人身売買組織を追っている。このエルフの戦士の妹が攫われてな。そのためにも、何か知っていることがあれば教えてほしい。」

 その言葉に、リュミエールが宰相を見る。

 視線を受けて、宰相が口を開く。

「それについては、私から説明しましょう。確かに、近年アリステリアではグリーン・カンパニーによる人身売買組織の被害に悩まされております。ですが、彼らの背後にはこの都市の建設に大きく関わった“緑の友社”がいるらしく、なかなか手を出せずにおります。」

「なるほど。つまり?」

「緑の友社とグリーン・カンパニーの関係を明らかにさえできれば、こちらで摘発、壊滅も可能なのですが……。」

 その言葉に、テルヤがニヒルに笑う。

「分かった。つまり、俺らが何食わぬ顔でそいつらに探りを入れればいいわけだ。」

「ええ。依頼はしませんが、そうなってくれるとこちらとしては都合がいいですね。」

「まあ、勝手にやらせてもらうぜ。国に恩をうっときゃ後々楽だろうからな。」


 王城を後にした一行は、数ある大通りの一つを歩いている。

「それで、これからどうするのですか?」

「ああ、観光をする。」

 その言葉に、オルボールがいきり立つ。

「おい、俺の妹はどうするのだ。すぐにでも助けなければならないのだぞ。」

 テルヤは表情を崩さず続ける。

「相手は国すらも手を焼く相手なんだ。慎重に行くぞ。幸い時間はあるらしいからな。」


 緑の友社。

 アルシオンに本部を構える建設会社であり、王城の建設から外壁街の家々までアルシオン内外の建物の建設に関わっている。

 本部も建築会社の看板にたがわず豪華な作りで、ともすれば貴族の屋敷と見紛うほどであった。

 そんな緑の友社に、オルボールを除いた三人が入っていく。

「いいか、俺たちは何も知らないちょっとマニアな観光客だ。」

「はい、です。」

「分かりました。」

 受付ホールもまた、一面大理石の床に、金細工を施された調度品の数々。

 と、見慣れないヒューマンの来客に、社員らしきエルフが声をかける。

「どのようなご用件でしょうか。」

「俺たちは建築マニアだ。この会社がこの国の王城を建てたらしいって聞いたから、当時の人間に話を聞きたくてな。いやあ、あの王城はすごい。何よりあの配色。設計士はきっと天才だろうな。」

 出ましたね、勇者お得意の口から出まかせが。どうしてこう、彼は口ばっかり達者なんでしょうか。肝心な時の対人スキルは壊滅的なくせに。

 テルヤの出まかせに、社員が少し驚いたような顔をして、顎に手を当てる。

「申し訳ありません、こういったことは初めてでして。少々お待ちいただけますでしょうか。」

 去っていく社員の背中を見ながら、サルビアが口を開く。

「なんですか、あの設定は。わたくし建築の事なんて分かりませんよ。」

「とりあえず褒めとけばお偉いさんってのは喜んで話をするもんなんだよ。」

「はあ。そうなんですね。」

「いや、俺にもわかんないけど。」

 終始適当なテルヤに、サルビアの顔は不満に染まっていった。

 


 次回投稿は2022年3月20日までには行われます。

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