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【コミック4巻発売】お前のような初心者がいるか! 不遇職『召喚師』なのにラスボスと言われているそうです  作者: 魚虎・瀧岡くるじ
第四章 let's enjoy killing festival

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第88話 1日目終幕

イベントエリア中央に配置されたアスカシティには、多くの中・小規模のギルドホームが入っている。


中小規模故に、ギルドホームにクリスタルがなく、全員が出撃することにリスクが全くないため、至る所でプレイヤー同士の小競り合いが行われていた。


そんな彼らのモチベーションは、結果を出すことでのギルドの宣伝。または普段は味わえないギルド単位でのプレイヤーとの戦いだった。


だが初日、アスカシティは大手ギルドの抗争には巻き込まれなかったため、残り時間1時間を迎えた今でも、未だ多くのプレイヤーが生き残っていた。


そんな時。


「なんだあれ?」

「攻撃?」

「いやそんなまさか」


どこからか、アスカシティの中央のアスカタワーに向かって、毒々しい紫色の怪光線が放たれた。着弾と同時にシティ全体に凄まじい衝撃が走る。

 そして、戦争映画で見るようなキノコ雲が出来上がったかと思うと、汚い色をした雨がシティ中に降り注いだ。


「何かのイベントか?」

「おいおい聞いてないぜ」

「うわ……この雨べとべとしてるぅ……」

「気味が悪いぜ」


だが雨に打たれたプレイヤーたちの本当の地獄はここからだった。


「ぐぬ……スタンした? 動けなくなった……」

「うわっ……毒った」

「おいおいこっちは呪いだぜ」

「落ち着け。こういう時はスキルで回復を……スキル封印されてりゅー!?」

「おれ全部ついた……たちけて」


雨を浴びたプレイヤーたちは、様々な状態異常を受けてしまう。


「とにかく解毒解毒……よし回復! ってまたか!!」


雨は上がったものの、既にシティは霧に包まれていた。その霧を吸わずとも、肌に触れただけで何かの状態異常を付与される。


「なんじゃこりゃ!?」

「回復が追いつかねぇ!」

「おい誰か呪いを解除する聖水を回してくれ!」

「それどころじゃねぇ! 自分の身を守るので精一杯だ!」

「ちくしょう……誰が……誰がこんな酷いことを!」


アスカシティに居たプレイヤーたちは次々と倒れていく。


あらゆる状態異常に掛からなくなるレアアイテム【神聖樹のしずく】を使ったプレイヤー以外は、例外なくHPをゼロにされ、死亡した。


***


***


***


「やりましたよヨハンさん!」


メイはキングビートルの背に乗りながら、単眼鏡で遙か遠くのアスカシティの様子を確認している。

そして【トキシックイレイザー】の撒き散らす二次災害的なデバフ祭りに阿鼻叫喚となっている様子を見て、ガッツポーズをした。


その様子を、下から見上げるゼッカたち。


「……考えたねメイちゃん」

「まさかキングビートルのスキルの射程の長さに注目するなんて。本当に小学生かな?」


メイの考えた作戦に、感心するレンマとゼッカ。

メイはキングビートルを借りた際、そのスキルがどの程度の距離まで影響を及ぼせるのかという項目である【射程】に目をつけた。


広域殲滅型のスキル【トキシックイレイザー】はあらゆるスキルの中でもあり得ないほどの射程距離を持っていたのだ。


そして、その射程をスキル【射程延長】により、強化したのだ。


射程延長は、召喚獣の射程を三倍にするスキルである。その代わり、命中率とダメージ率が大幅に落ちてしまうデメリットがあるものの、トキシックイレイザーの性質上、必ずしも直撃させる必要はない。メイはこのコンボにより、ギルドホームを出ることなく、一方的に他のギルドホームを攻撃する手段を手に入れたのである。


竜の雛のギルドホーム闇の城は、北の端に配置されている。ここからアスカシティを除いて、あと5つのギルドホームが射程圏内に入った。


「射程ね……そんな概念、気にしたことすらなかったわ」


 と語るヨハンは、6体の分身と手を繋ぎながら、輪になっている。その後ろにはクロノドラゴン。ヨハンはここから【フラワー・オブ・ライフ】によるバフをキングビートルに付与。【マジカルリンク】でMPを分けてやり、クロノドラゴンの【時空転生】で分身を含めたヨハンたちのMPとスキルリチャージをリセット。キングビートルの魔力ステータスを大幅に強化している。


この地獄のような組み合わせにより、キングビートルの攻撃は最早、戦争の兵器のような存在となっていた。

さらに、敵との戦闘ではなく一方的にスキルを発動しているだけのため、待機エリアで中継されないというおまけつきである。


メイはマップを確認するとアイテムの【リライズコード】により、【トキシックイレイザー】のスキルリチャージをする。リライズコードはコンと共に集めていたレアアイテムだが、今が使いどころと判断した。


そして、現在10位の【死の十三楽団】のギルドホームに向かって【トキシックイレイザー】を発射。新たな地獄を形成する。


そして同じような手順で二つのギルドを攻撃。壊滅させ、順調にポイントを稼いでいく。


「ふう……結構疲れてきました」

「……残り時間5分。残るギルドは」

「神聖エリュシオン教団のギルドホーム……【聖地セラフ】ですね!」

「メイちゃん! 次で最後よ! 頑張ってちょうだい!」

「任せてくださいヨハンさん! キングビートル、あと一発、がんばって!」

「ギュイ」


メイの声援を受け、キングビートルは最後の一発を聖地セラフに向けて発射する。毒々しい紫色の螺旋の光が一直線に進んでいくが……。


「あ……何あれ」


トキシックイレイザーが聖地セラフを襲う寸前。空間が歪みを見せたかと思うと、大きな大きな穴が開く。その大きな穴はトキシックイレイザーを吸い込むと、見る影もなく消滅。その空間は何事もなかったかのように、元通りとなった。


「どうしたのメイちゃん?」

「あ……いえ……大きな穴が現れて……攻撃が防がれてしまいました」


呆然とするメイ。


「……連続バフで数十倍の火力になっているトキシックイレイザーを防ぐなんて、そんなことできるの?」


もちろん敵の攻撃に対して無敵状態となることなら、レンマをはじめとした守護者職なら余裕だろう。しかし、それなら、その後の汚染による状態異常付与は防げない。


だが、あの大穴は攻撃自体を防いだのだ。


「そう言えば聞いたことがあります」

「知っているのゼッカちゃん?」

「ええ。神聖エリュシオン教団には、【聖女】のユニークスキルを持つプレイヤーが居ると。通称【鉄壁のジャンヌ・ダルク】と呼ばれるプレイヤーですね。もしかしたら、攻撃自体を無効にするスキルがあるのかも……」

「へぇ……そんな凄い人がいるのねぇ」


そしてヨハンたちがそんな話をしていると、キングビートルとメイが降りてきた。


「すみません……最後、決めきれませんでした」

「いや十分だろ」

「そうそう。大活躍だよ、メイちゃん!」

「……最早ウチのエース」

「え……えへへ。お役に立てて良かったです」


メイが嬉しそうに笑うと同時に、耳障りなブザー音が鳴り響く。どうやら、これでイベント一日目が終了したらしい。


しばらくすれば、ギルドホームが元の位置に戻され、ドナルドと煙条Pも戻ってくるだろう。そうしたら、待機エリアの様子を聞く予定である。


そして、大きな戦果を上げたキングビートルが消滅を始める。皆でお礼を言いながら、キングビートルの消滅を見送ると、初日の最終ランキングが更新される。



1位【セカンドステージ】1140P



2位【最果ての剣】910P



3位【神聖エリュシオン教団】720P



4位【竜の雛】710P



5位【みんなランサーズ】660P



6位【開眼Bows】320P



7位【GOO支援部】290P




メイの大活躍によって大幅に順位を上げた竜の雛の初日は、こうして幕を閉じるのだった。



挿絵(By みてみん)


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― 新着の感想 ―
[一言] 全ての作品と更新に感謝を込めて、この話数分を既読しました、ご縁がありましたらまた会いましょう。(意訳◇更新ありがとな、また読みに来たぜ、じゃあな!)
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