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第103話 最終決戦!

殺し合い祭最終日。


まだ開始まで少しある時間。

オウガとメイは庭に配置された噴水の前に腰掛け、マップを確認しながら今日の作戦について話していた。


挿絵(By みてみん)


「はぁ。上手くいくのかなぁ」


「繭化の話だろ? ドナルドさんの話じゃ、成功確率は五分五分だってさ」


竜の雛の作戦の目的は、二つある。


一つはゼッカVSギルティアの戦いを実現させること。


これに関しては、オウガは乗り気だった。偶然によるところが大きかったとは言え、オウガはきちんと、クロスと決着をつけることができたのだ。


特訓に付き合ってくれて、さらにロランドを紹介してくれたゼッカの願いを叶えるため、今日は粉骨砕身頑張るつもりだ。


だが、二つ目の作戦。【繭化】を使用したヨハンを6時間守り切り、究極変態したヨハンのパワーによって後半から捲り返す! という作戦には、少し不安があったのだ。


人間が使うことを想定されていない以上、スキルの効果はAIによる暫定判定に委ねられる。


反則なのでは? と思ったオウガだったが、こういうスキルの組み合わせによる意表を突いたやり方も、このゲームの歴史上多くあったことらしい。


何故ならそこには運が絡むからだ。一度でも事前に実験していた場合、運営による正式な調整が下され、全プレイヤーの知るところとなってしまう。


だから、超強力な存在に進化できるのか、全くの無駄に終わるのか。今しか使えない賭けというわけだ。


「でもさ。失敗しても繭の中からいつものギルマスが出てくるわけだろ? なら、結構いけんじゃね?」

「確かにそうかもね……ふふ……あはは」


メイは巨大な繭の中からヨハンが出てくるところを想像して、くすくすと笑っている。何やらツボに入ったらしい。


「さ、あと10分で開始だぜ? 配置につくか!」

「うん。よーし! 今日こそ役に立てるように、私頑張るから!」

「いや、ぶっちゃけお前、MVPレベルの活躍だと思うぞ?」


今回の殺し合い祭の最多キル数記録の筆頭候補者メイは、気合十分に召喚石を取り出すのだった。


***


***


***


開始から約15分。


50人にも及ぶ最果ての剣の軍勢が、闇の城のすぐ側まで迫っていた。


「ふふふ、まさかこれほどの人数で攻めてくるとは、思ってないでしょうね、ゼッカ」


先頭のギルティアが「ぐふふ」と悪役のように笑う。


最果ての剣の三日目のイベント参加者は、二日目を大きく上回る100人だ。


昨夜の内にロランドやギルティアが必死に呼びかけたため、普段はこういったイベントに参加しないメンバーたちも、集まってくれたのだ。


その内44人を小隊に編成し、各ギルドへ攻撃しポイントを稼ぐ侵攻部隊へ。


ロイヤルナンバーズの裏の6人、通称【カオスナンバーズ】を神聖エリュシオン教団侵攻へ回した。


そして、残った50人全てで、竜の雛を討つ。


その中にはロランドやカイ、クリスターにガルドモールやグレイスなど、昨日ヨハンにしてやられたメンバーも入っている。


過剰戦力では? と思うメンバーは居なかった。全員が全員、手心無し、本気で竜の雛を攻め落とす心意気である。


「さて、それじゃあ突撃を開始するわ」

「待ってくださいギルマス。城の前に誰か居ます」

「は? ホントだ……何なのかしらあいつら」


闇の城の門前には、腕を組んで仁王立ちする、120人程のプレイヤー達が居た。そのレベルは全員が50。最果ての剣をして楽に勝てる相手ではないと思わせる気迫を放っている。


その正体はギルド『打倒ヨハンの集い』のメンバーたちである。今日も今日とて全員参加。一体何が彼らをそうさせるのか、驚異の参加率とモチベーションをである。


「竜の雛のギルドメンバーはわずか8人のはず……」

「傭兵を雇ったのか?」

「とにかく、黙って通してくれそうにありませんね」


予定外の出来事に、戸惑う最果てのメンバーたち。


「ふん。だったら全員まとめて始末すればいいだけのこと」


「カイくんの言うとおりだわ。邪魔するってんなら容赦しない! 全軍突撃よ!」


ギルティアのかけ声に、最果てメンバーたちが雄叫びを上げる。


「魔王討伐前の肩慣らしか!」

「はは、肩慣らしにもならねーよ」

「楽にポイント稼がせて貰うぜ」

「死にたくなけりゃ道を開けな!」


襲いかかる最果ての剣。


そして、迎え討つ掲示板の民の誰かが叫ぶ。


「上等だ!」

「ヨハンを倒すのは……」

「「俺たちだ!!!」」

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