彼女にナンパは通じません。
初めまして
作品に興味を持っていただきありがとうございます。
初投稿ですのでいろいろと至らない点があるかと思いますがどうぞよろしくお願いします。
学生の皆様、本作品は定期テストが近いときにくだらないことを定期テスト対策と称するして考えながら生まれました。息抜きになってくれたらうれしいです。
途中、主人公の言ってることが分からなくなりましたらあとがきを読んでください。
ちょっとでも理解の助けになればと思います。
まずは紹介しよう残念なほどに鈍感な私の友達を
彼女の名前は今日子。鈍感とは言ったが学年トップクラスの成績を誇る秀才の部類である。のみならず恐ろしく生真面目であったりもするE-mailでさえ前略から始まり草々で締める。だれも存在さえ認識していない“生徒理想像”なる学校の方針を体現したような、そんな部類の人間だった。
私は彼女と同中間一貫校に通う生徒なのだがある日彼女に人生初ともいえる事件が起こる
「今日子さん、俺と付き合って下さい!!!!!!!!!」
男子からの告白である。どうやら真面目かつ初々しい彼女を狙う絶滅寸前の生き物がまだいたらしい。ただチャラいチャッラッチャラである。女子を過去に何度か泣かし先生に呼び出されたこともある常習犯である。中間一貫校にはこういう受験から離れて阿保に成り下がるやつがたいていちょっとはいる。頭はよくても。
私はその現場に出くわしてしまったが影から見守ることにする。
彼女にできないことなんてほぼないのだから…
私が断言しよう
彼女にナンパは通用しない
なぜなら彼女は理屈っぽいのである。得意科目は国語系のもの、数学は苦手だと言いながら証明問題だけはきっちり書けるという分かりやすさである。
そんな彼女曰はく「恋愛は感情的にやるものではなく理論的にもするものだと思います。
でなければマッチングアプリは存在しえないでしょう。
誰がプロフィール見てときめくんですか?偶像と一緒じゃないですか?あなたはアイドルに恋したことありますか?」だそうだ。
そこまでゆうのには事情がある。
彼女はずっと自身の誕生についてコウノトリ伝説を信じていたのである
彼女が真相を知ったのは中三の理科の授業である。人類の誕生と題された動画を見ているときサロンパスのCMに出てくる半透明の男女が子を産んでいるシーンに差し掛かったあたりであるそのとき彼女は阿保な男子に吹き込まれた桃だかババナだかの例えの意味を瞬時に理解し「ピュアだね~」という言葉の意味をずっとグミのことだろうと思っていた自分とおさらばしたらしかった。
親に騙されて来た恨みがそのまま恋愛に向かっているんだろう。
恋愛なんてただの遊びに過ぎないと思ってるようだった。
きっと彼女はこの告白を断るだろう。ただ彼女がどう断るのか楽しみにしている私だった。
「まず一つ聞きたいことがあります。なぜ私と付き合いたいのでしょうか?」
「…っす、すきだから………….」
チャラ男のくせして照れてるのは結構だが彼女は冷静だった
まるで彼女の勝ちが決まったかのような余裕っぷりだった
「なるほど、つまりあなたの中ではこんな論理が完成してるわけです。」
そういって彼女は近くのペンでメモにこう書いた
好きならば付き合うべきだ
「数学的にかけばこう」
好き⇒付き合う
「ここまでは正しいかしら??」
「た、たぶん?」
まさか告白の場で数学が出てくると思わなかったのか「?」がついてる様子だったが
私も予想外だ。正直言って命題をたかが恋愛ごときに使ってしまっていいのか???
数学者が泣きかねない。
「じゃあ次にいう言葉は正しいかしら??考えてみて?」
そういってまた彼女はまたペンを滑らせた。
付き合ってなければ好きではない
付き合ってない⇒好きではない
「これじゃあ、俺が今日子を好きじゃないことになるじゃないか!!
違う!!この命題は正しくない!!偽だ!偽!」
数学に慣れてきたのか彼女にかっこいいところを見せたいのか知らないがなんか数学用語が入っている。というか呼び捨てである。
対して彼女は勝利を確信したようで冷静に言葉を発した。
「私もそう思います。相手に憧れながら相手を見守るのも恋だと思います。
付き合うことしか考えてない。学校の中の権力と付き合ってるような人間に恋は美しくてきれいでみたいな説得を受けるいわれはありません。」
最後の方は彼女の本音なのだろうがかなり怖いことを言っている。
世の青春を楽しんでいる皆さんどうか彼女を責めないであげてほしい。
彼女はまだそういう恋をしてもいいと思える人に会ってないのだ。
出来れば願ってくれ本気で恋が分からない彼女がいつか本気で恋ができるように。
そんな私の願いはさておいて話は進む
「そっか…お、俺は付き合うことが目的ではないからね??」
それが彼女の主張だと思ったのか彼はそんな言葉を発した。
もちろんそれで終わる彼女ではなかったが
「わかってます。ちょっと自分の思考がでただけでこの話とは関係ないから安心してください。本題はここからです。
先程かなりなノリ突っ込みをいただきましたがこの『付き合ってなければ好きではない』が偽だとすると一つ矛盾が発生するのにお気ずきでしょうか?」
私はなんとなく気が付いていた。そして今、なぜ彼女が二つの命題を立てたのか似ているようで似てない二つの命題の関係が明かされるのだった。
「整理しますね」
そういってまた例のメモにペンが躍った
命題 好きならば付き合うべきだ
逆 付き合うなら好きでなくてはならない
裏 好きでないなら付き合うべきでない
対偶 付き合ってないならば好きではない
普通命題を証明するだけなら逆と裏はいらないのだがきっとなんとなくかっこいいから
書いてみたんだろう。言ってることはほぼ変わってないのになんか一周回って名言みたいになっていた。
脱線してしまったが本題はここからなのだろう。
いよいよおおずめである命題
「最初の命題が一番上次の命題が一番下になってるのはわかると思いますが…
矛盾にきずきましたか?」
「もうわかると思いますがあなたは命題を真としたにもかかわらず対偶を偽と判断しました。すると命題の真偽は命題の対偶と一致するという法則が満たされていません。
つまり最初の命題か対偶が間違っていたことになります。
どっちかが間違ってる以上、私を好きだからという理由も付き合いたいからという理由も成立しないということです。」
すごすぎる。今まででこんな擦り方をした女子がいただろうか?
『好きならば付き合うべき』を肯定すると『付き合ってなければ好きではない』が
肯定されることで彼の好意が存在しなくなり
『好きならば付き合うべき』を否定すると『付き合ってなければ好きではない』が
肯定されるが付き合う理由が存在しなくなるのだ。
「もう一度伺いましょう
なぜあなたは私と付き合いたいのでしょうか?」
この質問は命題か対偶どちらが真なのかを問うていた。
付き合ってほしいという理由か好きだからという理由かのどちらが消える選択だった。
その質問の意味と彼女の凄さと脈なし具合にきずいたのだろう
彼はその質問に答えることなく
「話を聞いてくれてありがとう」
そういってその場を後にした。
疑いようのない彼女の勝利である。
…またしても彼女の本気の恋がらのみちが遠のいたのだがまあ彼に奪われる彼女ではあるまい。
私は何事もなかったかのように
彼女に話しかける。「なんか浮かない顔してるね?なんかあった?」
「ううん?なんでもないよ?」
彼女はにっこり笑ってそういった。
その一言で私と彼女の日常が戻ってきた。
ネタバレになってはいけないと思いあとがきに書かせていただきました。
命題と証明
命題 式や文章によってあらわされる事柄。(仮定)ならば(結論)というように書く。
また命題が正しいとき真。正しくないとき偽。と呼ばれる。
例)リンゴならば果物である。 真
逆 命題の仮定と結論を入れ替えた式や文章。
例)果物ならばリンゴである。 「命題の真偽とは関係がない」
裏 命題の仮定と結論の両方を否定した式や文章。
例)リンゴでなければ果物ではない。 「命題の真偽とは関係がない」
対偶 命題の仮定と結論の両方を否定し、入れ替えた文章。
例)果物でなければリンゴではない。 「命題の真偽と一致する」
ちょっとややこしいですよね…ひねくれてない文章書けるようになりたいです。
アドバイスありましたらいただきたいです。