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JADE  作者: シュリンプ
6/7

JADE

冷泉翡翠にとっては信じられないような出来事は日常だったがこの不意打ちにはやられた。泥の中に謎の怪物が潜んでおり隊員を奈落に引きずり込もうとしている。恐ろしいことだ。不気味な目が光る。

「スワンプマンのようだな。」

冷泉は冷静に言うとナイフを取り出してモンスターの手を斬った。隊員達が必死に押さえている今の内だった。怪物は異常な怪力だったが冷泉の技術と特注のサバイバルナイフの前にはさすがに腕を切り落とされた。神業だ。すかさず冷泉は怪物を蹴り倒した。

「大丈夫か!梶本!」

「はい!ありがとうございます」

「気を付けろ!また来るぞ!」

冷泉が叫ぶより早くモンスターがまた起き上がった。冷泉はナイフを構えて立ちふさがった。雄叫びをあげて向かってくる。

「動きは遅いな。ジャガーよりは動きが見えるぞ」

アナコンダやクロコダイルにジャガーといった猛獣と戦闘してきた翡翠にとっては動きの遅いこの怪物は以外と楽だった。

「隊長、奴のコアが見えました。」

隊員が叫ぶ。

「胸に器官がむき出しになっています!」

先ほど沼に転倒したさいに、衝撃で胸の泥が少し落ちたらしい。謎のグロテスクな器官が見えた。それは静かに脈打っているかのようだ。冷泉はスワンプマンの攻撃を避けながら近づき、怪物の胸を斬った。唸り声をあげてスワンプマンが倒れる。冷泉が勝利したのだ。

「足はどうだ?」

「問題ありません」

幸いにも梶本隊員の足は負傷していなかった。これは本当に幸運だ。もしジャングルで足に重症を負ったら大変な事態になる。

「梶本、良くやったぞ」

冷泉は梶本の勇敢さを誉めた。

「こちらこそありがとうございます」

冷泉はサバイバルナイフを鞘にしまうとスワンプマンの死体に近づいた。巨大な体が横たわっている。コアは一突きで仕留めた。即死だろう。冷泉はスワンプマンの顔の泥を取った。するとそこには人間そっくりの男の顔があった。

「人間か?」

冷泉は体の泥も取っていく。するとスワンプマンは人間のような容姿をしたモンスターだった。良く見ると人間にはない皮膚を持っていた。ブヨブヨして柔らかい。クッションのような皮膚だ。もしこれが本当に未確認生物だとしたら何になるのか?これは一体何なのか?軍の実験?それが脳裏に浮かんだ。

「遺伝子治療を重ねたのか…まあ何故ここにいたのかは不明だな。何にせよ得たいの知れない存在だ」

「さすがにびっくりしましたね」

「何でこんなところに」

推測は幾らでもできるが今は辞めておいた。

「アマゾンには何が存在しても不思議ではない。これもその不思議の一部なのだろう。せめて沼に沈めてやれ」

襲われたからとはいえ命を奪ってしまったのは私だ。弔いはしてやろう。この怪物の出自は不明だが何かしらの実験の結果だとしたら犠牲者かもしれない。

「沼地のスワンプマン…」

「良く見ると悲しい顔をしてるわね」

「お前は一体何者だったんだ?」

各々が思いを馳せるなか冷泉はこの沼地が不気味なオーラを発しているのがわかった。嫌な胸騒ぎがする。この沼地には他にも何かがいる。

「お前たち、この沼地には何者かがまだいるぞ」

「さすが隊長、やはり読んでいましたか。私もです。」

そう言ったのは霊的な感覚を持つスピリチュアルな隊員、安西怜奈隊員だ。

「ここにはスワンプマン以外にも何かがいます。」

「何かって何だよ!」

「落ち着け!安西、どうだ、どうこにいるかわかるか?」

「私にはわかりますよ、隊長。奴はこの沼地の下にいます。」

「下だと?」

「はい。この沼地はどうやら中心部は底無し沼のようになっていますが見たところその小さな一部に空洞があるみたいなんです。そよ下に何かいます」

「その穴はどこにある?」

「真ん中辺なのは確かなんですが」

「隊長!」

その時隊員の声が響いた。

「何だ!」

「鵜木がいません!」

「何だと!」

冷泉は周囲を見回した。いつの間にか鵜木隊員が消えている。これは…

「荷物もないのか」

「はい、鵜木を探したらいませんでした。ついさっきまで俺の後ろにいたのに」

パニックになる隊員をなだめながら冷泉が安西隊員に聞く。

「まさか、沼の下の奴に?」

「そうだと思います。」

ならば今は鵜木を救う方が優先だ。

「何としてでも空洞を探し出せ!仲間を助けるぞ!」

「はい!」

冷泉は沼地にアクシデントにぶつかったが。冷静に判断して空洞を探した。この沼地は広大な面積を持ち、底無し、水、泥の三つの地帯に別れている。底無しの部分の捜索は大変危険だがやるしかない。冷泉はスピリチュアルな能力者の安西隊員と共に底無し部分を探した。

「底無し沼というのは深いからな。空洞なのかまるでわからんぞ」

「まかせてください。私が見つけ出します。」

安西隊員は目を閉じて集中し、一点を見つめた。



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