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思い出(memory)—あの可愛い姉妹のために—  作者: N.M
第一章 出会い
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第7話 可愛い妹兼恋人

 

 ここに来た、ギルドのお姉さん『ルア』のもとに

「なぁ、スライムの長って聞いたことないって言ってたよな?」

「はい。結局、レッドキングスライムだったらしいですね」

 俺は、ルアにギルドでの担当になってもらっていた。緊急クエストを受注した時、スライムの長ってのの調査をお願いしていた。冒険者パンフレットにも載っていなかったから、伝説級の魔物なのか、それとも変異体なのか、人工的に作られたのか、知りたかったからだ。

「調査結果としてはどうだ」

「歴史書を色々調べてみたところ、時々このような

『名前を持ち・言葉を話し・魔法を使い・巨大化する』

 そのような特徴を持つ魔物が変異体として生まれる。と書いてありました。ですが、このような魔物は、絶滅の危機や仲間の危険を感じたリーダー個体が変異するらしいです。だから、何者かが異常にスライムを狩ってしまった。というのも考えられると思います」

 変異体、危機、何者かの意図を感じる。気もしなくもないな。

「分かった。後、チュートリアルの時のゴブリンといい、レッドキングスライムといい、あの目はなんなんだ?」

「それについては、詳しいことは分かりませんでした。一つ言えることは、覚醒状態になり、強くなる。そんな感じでしょうか」

「そうだな、異常に強くなる。と言ったところだな」

 赤い目の謎。これも、変異体の一種なのか? それとも……

「考えても、わからないですよ。

 後、あのクエストでの、レッドキングスライム関係のアイテムは使えるかもしれないです。歴史書の中に、『紅の魔女』っていう本がありました。それによると、爆炎ソード・レッドアームが作れるらしいです。他には、髪飾りやネックレスなどの小物しか作れなかったらしいですけど。まあ、武器屋には話してみますので、よかったら行ってみてください」

「そーなのか! なんかワクワクして来た!」

「それと、メリアを助けてくれて、ありがとうございました」

 彼女は、安堵の表情を浮かべていた。

 ルアは紫紺の目をしていた。目と同色の髪色。ロングヘアーで大人っぽい。服装は緑のラインの入った白いドレス。俺はこの世界に来てから、可愛い子とばかり仲良くなっている気がする。幸せを噛み締めよう。

 でも、なんでメリアの感謝をルアがいっているのかはわからなかった。

 この世界はずっと夜だが、時間という概念はある。このレストラン『いま何時?』の看板の右隣に日付が歯車式の時計で表示され、左隣は時間が表わされている。腕時計はあるにはある、時の支配者と呼ばれる魔物からの直接ドロップのみだが……

 もちろん俺は持っていない。

 その時計で、午後六時に待ち合わせだったけど、五分前だな。丁度良い、いや丁度良すぎるか、

「ルアンさんですよね?」

 メリアとナナと

「誰だこの人……」

 そこには身長が低く、少し太った、中年男性、そして、綺麗に手入れされてる髭が特徴的だ。

「おらは武器屋の『紋徒モント』っていう。よろしくな。話はルアから聞いてる」

 武器屋って事は爆炎ソードと装飾品を作れるってことか。

「とりあえず入りましょ」

 今のナナは髪を下ろし風にサラサラと流されていた。一段とかわいい……

 店の中はレストランだが、木造の椅子とテーブル、店主のおばさんがいた。

「おばさん、いつものお願い!」

 メリアは常連らしい。いつものってなんだろ、この匂いもしやアレか……

「あいよ、連れがいるなんて珍しいね」

「ええ、今日は大事な話をしに来たの、奥の個室使うね!」

 そういって四人は奥の部屋へと進んでいった。部屋は縦長テーブルが置いてあり左奥からナナ・メリア。右奥から俺・紋徒の順で座る。要は、俺とナナが向き合う形だ。

「突然だけど、お礼はこれです! 紋徒、出してくれる?」

 紋徒は、大きなバックから、刃が紅く光るラインが入り、柄の部分は黒と青で装飾された剣を二本と真っ赤な箱をテーブルの上に置く。

「これは私たちからのプレゼントです」

「こっちの箱はなんだ?」

 開けるとそこには、真っ赤なオーラを放った『指輪』が二つ入っていた。

「これは私から」

 ナナは恥ずかしそうに言う。この指輪、魔力が漏れ出すぎてるだろ。それに赤すぎる。

「もし良かったら、これ私から受け取ってくれないですか? そして

『私をこれから、永久パーティーメンバーに入れてください』

 この指輪をつけると、魔力量の上限が上がる。その代償にこの指輪をつけあった人達はどちらかが死ぬまで、永遠に同じパーティーでいなければいけない」

 これってそう言うことか。

 ナナは可愛いしやんちゃなだし優しいとこもある。永遠のパートナーとしては最適か。

「俺としては、ナナ危なっかしいから、守ってあげたいけど、逆に守られることになりそうだが良いのか?」

「はい! 守ってあげる……。からつけよ、」

 ナナはそう言って箱から一つの指輪をとり自分の左手の薬指につける。俺に、心配そうな顔で目を潤わせながら見てくる。

 俺は、指輪を手に取り、自分の右手の薬指につけた。俺はとナナはお互いに手を合わせた。その瞬間、紅の光を強く発し目を開けると、指輪は銀色になり赤い字で呪文が刻まれていた。

「これで良いんだよな、ナナ」

「はいっ!」

 満面の笑みでナナは笑った、俺はつられて笑った、否それは本心だったかもしれない。

「この剣は……」

「この剣は、

 ——爆炎ソード・零

 だ。

 ルアが言ってたものとは少し違う。今は、まだ言うことを聞かないだろう。でも、お互いに剣はルアンを、ルアンは剣を、お互いにわかり会う度に強くなる。『絆』ってやつだな」

 紋徒は自信作ができたと言いたいかのように誇らしげに話す。

 零って関係性ゼロからってことかよ……。

「この武器といい、この指輪といい、レッドなんちゃら、ってやつは。絆を大事にするやつらしいな。子分たちとの絆を大事にするやつだったんだろう」

「紋徒、名前ぐらい覚えようぜ」

「ハっ、ハっ、ハっ、ハっ、ハっ、……」

 苦笑いするしかなかった。

 ハデス。なんか倒しちゃって、悪いことしたな。その分、強くなりたいと思う。

『ありがとな』

「メリアは俺と一緒に行く気はないか?」

「ごめんなさい。私は、まだやらなきゃいけないことがいっぱいあって、まだいけないの。妹は任せたよ、変なことしたら、許さないですからね!」

 悲しそうな顔をしていたが、心は決めたのだと分かる目をしていた。

「分かった。ナナはこの命かけてお守りします」

「お願いします!」「お願いします!」

 笑い方も合わせて、やっぱり姉妹だな。そう思った。

 その後色々話をした。それにしても急な展開に驚いたが、良かったと思う。だって、

「可愛い、優しい、悲しい時にハグしてくれる」

 これが揃う女の子とパーティーを組めてのだ。それも、永遠に。


「もう夜の十時ですね」

「四時間も経ったのか。もうそろそろ、解散だな」

「そうだな、仕事が残ってること思い出したよ」

 紋徒はそう言って足早に去っていった。自由気ままなやつだな。職人気質というか……

「ナナ、ここでもうお別れ、だね」

「そうだね、私たちがもっと強くなって、お姉ちゃんも迎えに行くからそれまで待っててね!」

 メリアはナナに抱きついだ。何も言わず、だけど、心は通じ合っていた。二人の流した涙がそれを証明していた。

「私はギルドに戻ります。こんな時間なのでもう寝ないといけないので、では」

 メリアは何度も振り返り手を振っていた。ナナもそれに答えていた。

「帰っちゃったな」

「そうだね。でも、ルアンがいるから、大丈夫。で、宿舎は一人部屋だけどどうするの?」

「ちょっと行きたいところがあるんだけど、ついてきてくれるか?」

「どこにですか?」

拠点いえ買いに行こうと思って。もう決めてるんだ。あの、街を一望できるところなんだけど。どうかな?」

「良いですね!行ってみましょ!」



第一章、最後まで読んでくれて本当にありがとう!

まだまだ続く第二章お楽しみに!

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