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思い出(memory)—あの可愛い姉妹のために—  作者: N.M
第一章 出会い
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第4話 命の選択


 クエスト受注後、俺らはギルドの奥の方に向かって歩いていた。


 それにしてもこの建物、大理石みたいな素材でできてるんだな。

 幅二メートル高さ三メートル前後で全面白く輝いている道を数分歩いただろうか、入口はもう見えなくなっている。

 横にはグレン、彼は、マッチョで顔はいかつい、髪型はというか髪はない後は察してくれ。

 身長は百八十前後といったところか、俺より五センチ程度しか大きくない、しかし、体格といいオーラといい、なぜか威圧的だ。


 道案内してくれているナナ・ノンは金髪に銀髪が混じったような髪の色をしていた。

 

 初め会った時はロング、ほどいていたのだろう、だが今はツインテールだ。

 毛先がまるまっていてあどけなを醸し出している。

 やっぱ妹感つよ、なんて思っていたが、やはりロングの時の女性って感じのほうが良いなとも思う。


「到着しました。まずアイテムの説明を行います」


 到着したのは急に現れた草原だった。だが草原というには、木が多すぎる気もした。まだモンスターはいない感じた。


「こちらが回復ポーションです。飲むもよし、味方にかけるもよしです。

 先ほど軽くダメージを負っていたルアンさんにかけてみますね」


 バッシャーん、こんな感じの音だった、もうちょっとリアルだったかもしれないがまぁ、いいだろう。


「右上のゲージみたいなのが増えていってるぞ! 

 てか、ダメージ十分の一とか言っておいて体力半分近く削られてたんだけど。こわっ……」


「死ぬところだったんですねぇ。気付きませんでしたよ! フフっ」


「もう許してくれよ、なぁオレたちの仲だろ」


 それにオレたちの仲ってのは加害者と被害者のことであってますかー、なんてグレンに聞いてやりたかった。


「まあ回復したからいいよ。今回だけだかんな」


 俺いつからこんなに優しくなったんだろう、もっと人を軽蔑して、俺なんてあいつらと一緒に暮らせない、話したくもないそう思っていた時の俺はもういないのかもしれない。


 一度死んだ奴の特権だな。もう自由に生きると決めれたことが。


「ポーションはこの他にも色々な効果を持ったもの、効果の強いもの、弱いものなど様々あるので是非ショップで買ったり戦利品で作ったりしてみてください!」


 ナナのたまに笑う顔が可愛いかった。ギャップ萌えってやつか。やっぱターミナルに来てよかった。


「次に戦闘についてです」


「ちょっと待ってくれ! グレンはどこ行った?」


「あれ? 

 どこにいったんですかね? 

 先にテレポートしたのかも知れません。

 

 あのー、

 ちょうど、二人っきりなのでお聞きします。

 私のような、年下の人は嫌いですか?」



 唐突な質問に驚きを隠せなかった。

 でも、嫌いなんて思うはずがない。むしろ好きなぐらいだ。でも、恥ずかしい。だから



「そんなこと言ってないで、チュートリアル終わらせようぜ」


 俺は自分に正直になれなかった。


「そう、ですね。 じゃあ次は……」


「戦闘とやらを教えてくれよ」


「それではルアン、さん、こちらに来て下さい。足をこの魔法陣の中に入れて下さい。職種を決めた時に装着されている、初期武器の杖を持って!

 さぁ、行きますよ!」


その瞬間あの転生後のように全身が青白い光に包まれた。


 テレポートしたところは、青空が広がる森の中だった。


「っと。この感覚癖になりそうだ」


「オレもだ。この感覚たまらないぜ」


「って、グレンどこいってたんだよ」


「テレポートっての早くやりたくなっちまって。許してくれ」


「パーティーなんだから、一緒に行動してくれよ」


「分かったよ。わりーな」


 魔導師には杖といかにもなマント、そしてなぜか、短剣が装着されていた。


 短剣なんて何に使うんだ? 接近戦とかか?


「ゴブリン出てきた!」


「お前さんの獲物だ」


 グレンは結局、お前さんお前さんって癖が抜けないんだな。


 ゴブリンかぁ、リアルだなぁ、気持ち悪いな、意外と怖いな、いやすごい怖いな。


「で、どうするんだ? 魔法どうやって出すんだよーー」


「落ち着いて下さい。

 

 初級魔法ファイアボール!


 こんな感じでいきましょう!」


「おけ、ってこっちに走ってこないでー!


『初級魔法ファイアーボール』


 杖が、杖が光ったぁー」


 炎の塊が一瞬にしてゴブリン目掛けて飛んで行った。あたり一面赤く染まり、火柱がたっていた。杖からは、煙が上がっていた。

 ゴブリンのHP (ヒットポイント)はミリ残しだった。もしかして、魔物に対してもダメージと痛みの軽減が入るのか。


 だって、森の中で青空の中、良い空気だなぁ、なんて思っていた森は今

 炎に囲まれ熱風が吹き荒れている。辻風まで起こる勢いだ。


 オレが撃ったのは

『初級魔法ファイアボール』

 

 目に見えるのは


 『上級魔法 豪炎』


 だった。ダメージ量はゴブリンを倒せないくらい。

 初級並みと言ったところか。じゃないと釣りあわないよな。


「ゴブリンの目が」


 グレンが声を震わせていた。

 そう目が赤く染まり。一瞬のうちに、いや瞬きする間もなく、飛びかかってきた。 


グサっ


 やばい。

 

 絶対に刺された。


 でも、痛みを感じない。


 そう思って目を開けると俺の左手、杖を持っていない手でゴブリンを刺していた。


 理解する間もなく、塵のようにゴブリンは消えていった。

 右上のゲージに経験値がたまり、レベルアップ、と表示されていた。


「倒したのか……」 


「お前さんやるな。すごかったぜ、現世で俺の刀は躱せなかったけどな」


 グレンが鼻で笑った。


 その瞬間


「え、血が、なにが、おこってるの……」


「ナナどうした? ってナナ!!」


 グレンがナナを刺したのだ。


「噂じゃあレアアイテム落とすらしいぜ。これで殺人は二回目か? フんっ」


 殺しておいて、微笑む、彼の表情は感情は人格は、完全に壊れていた。


 それに、俺のことも覚えていたのだ。


「あんなに可愛い子に傷つけるなんて許せない」


 俺はもう怒りに心を支配されていた。


『ファイアボール』『ファイアボール』『ファイアボール』『ファイアボール』


「まだまだ、だな」


 大剣に似た短めの剣でガードされていた。しかし、グレンの体力は、あと少ししか残っていなかった。


『フリーズ』


グレンは氷塊の中に埋まった。次第に周りの熱風により、溶かされていく。


「お前さん。やるな、これで、お前さんも人殺しの仲間入りだな。

やレェーーー」



『サンダー・ボルト』



 その声は囁くような声を聞いたものはいなかっただろう。


 轟音とともに、空から雷が降ってくる。


 この景色は忘れないもう、彼は死ぬ前に笑ったのだ。


 土煙が収まった時にはもう、グレンの姿はなかった。塵すらなかった。燃えたのか、消えたのか、逃げたのか。俺は分からなかった。


 だが、

 経験値が増え、レベルアップした。

 死んだってことか。

 グレンは死んだのか。

 だから経験値が増えたのか。


 ん? なんか落ちてる。


 俺はそれが何かは分からなかった。ポーションみたいなビンだ。手をかざす。


『蘇生ポーション』


 グレンが持ってたのか? とりあえず使うしかない。


「ナナ大丈夫か!」


「う、うん」 


「あれ、ルアンさん、なんかおかしい。視界が見えなく……」


 俺は持っていた回復ポーションをナナにかけて、かけて、かけた。でも、意識は戻らなかった。


 蘇生ポーションの蓋を開けナナにかけた


「頼む!!」


     ※


【クエストclear】



 それが聞こえた後、魔法陣によりテレポートされた。


 俺は必死に走った、姉、メリアのもとへ。



「後は任せて下さい。

 本当にありがとうございます」


 メリアはそう言ってナナを連れて行ってしまった。


「お願いします」


 俺はそれ以外かける言葉がなかった。可愛いナナを守れなかった。それに、グレンという人を殺してしまった。



——この世界での死は永遠の死です——



 俺の脳裏にはこの言葉とあの男の最期の笑顔だけが残っていた。


 俺はグレンに永遠の死を与えた。


 そんな人間に、幸せなどもらえない。


 今の俺は、ナナを愛おしいと思う。

 だからこそ、もうあの姉妹と関わることは許されてはいけない。

 許されるべきではない。

 そう、思う。

 


 俺は決めた。この世界では誰も死なせない。俺の目の前ではもう死なせない。


 救う。


 俺が殺されようとも。仲間が殺されなかったらいいんだ。もうあんな気持ちになるのは嫌だ。


 その為に、強くなる。どんなに辛くとも、どんなに険しい道でも強くなる。


「それが俺の生き方。償いだ」


 それにもう一つ決めた。反省してないのか、と思うかも知れないが。 


「可愛い、優しい、悲しい時にハグしてくれる」

 三種の神器……。そんな女子としかパーティーは組まないと。


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