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思い出(memory)—あの可愛い姉妹のために—  作者: N.M
第二章 桜色の雪
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第1話 恋心

 拠点は、『ここ』と決めている。

 ターミナルには、『ムーンマウンテン』という山がある。街を一望できるくらいの大きさ、高さの山だ。そこに、二階建ての家があった。少し古めの城という言葉が似合う建物だ。

 メリア・ナナ・紋徒(モント)・俺で食事会をした後、ナナとその家に向かったいた。


「ナナ、なんで、俺とパーティー組もうと思ったんだ?」

「なんででしょうか。ルアンさんといると、胸が痛くなったり、熱くなったりするんです。

 姉が言うには恋心らしいです。

 ——好き

 になってしまったみたいです。心の病です!」

 『好き』その言葉は生まれてから初めて聞いた。愛することも、愛されることも、疎遠だった俺は、好きという感情を忘れかけていた。いや、忘れていた。

 でも、ナナの気持ちには応えたい。好きを好きで返したい。

 これは使命感なのかもしれない。でも、嬉しさとも、楽しさとも違うこの暖かい感情をもっと感じていたい。ずっと感じていたいと思う。

 俺は何も言わずに彼女の手を握った。冷たい空気を感じないほどの手の温もりを感じる。静かな山道の中、お揃いの指輪の金属音が響き渡っていた。

 彼女は、ナナは泣いていた。それは悲しみの涙ではない。嬉しさ、安心からくる涙だ。

 手を握ってから、少し歩いた頃、あの城が見えてきた。その家は山の中にある。でも、そこだけは、あたりがひらけていて、街が一望できる。人の活動による光が生み出すその夜景は、あまりにも美しかった。

「きれいですね。この世界にこんな場所があったなんて知らなかったぁ!!」

「俺もここまでとは思わなかったよ」

 夜景に見とれていた時、ふと気がついたことがある。この(いえ)、立派すぎる。いくらするんだよ……

「ナナ、この城いくらするんだ? 今の所持金、十万ルピーしか持ってないけど足りるのか……」

「この看板に書いてありますよ」

 ——こちらの物件

『1000万ルピー』

 連絡はこちらまで「防具屋兼不動産・ノヴァ」まで。

 賃貸は受け付けておりません——

「ナナ、いくら持ってる?」

「すいません。剣を作るのにほとんど使ってしまって……」

「だよな......

 仕方ない。明日から、ダンジョン探索とクエストで稼ごう……

 ノヴァってところも明日行くとして。今日はここで寝よう。もう疲れたよな」

「はい!疲れました!」

 疲れを吹き飛ばしてくれる程の笑顔で笑った。

 ナナとはグレンのとき。レッドキングスライムのとき。ナナと契約を交わした時。の三回くらいしか接点はなかった。でも、今こうやって、パーティーを組んで、一緒に暮らしていくことになっている。人生はよくわからないものだ。

 そして、良いものだ。

「星きれいだな」

「きれいですね」

「あのさ、前にナナが俺に質問してきたの覚えてるか?」

「覚えてますよ。あれは、チュートリアルのときですね。ルアンさんは、答えてくれなかったですけどね。フフっ」

「俺も恥ずかしかったんだよ。それに、一応言っておくけど

『お前みたいなやつは放っておけるわけないだろ......』

 だから、ずっと一緒にいろよ! 俺を一人にしないでくれよ......」

「どーしよっかな! でも、指輪のせいで、嫌でもずっと一緒ですよ。

 それに私は、

『永遠にルアンと一緒にいる覚悟を決めましたので。好きになってもらえるよう頑張ります!!』

 私を一人にしちゃダメですよ??」

 俺なりの返事をしたつもりだ。

 いつか必ず『好き』ってナナに言ってあげたい。『愛してる』って言いたいと思った。

「もう、寝よっか」

「もう少しお話しましょ。いい、ですか?」

 俺は今日、ナナのことをもっと知りたくなった。

 だから、その夜は、いろんなことを話した。趣味、お互いの過去、これからのことを。こんなに希望に満ち溢れた夜は初めてだ。起きるまで、ナナと手を握っていたい。お互いもう一人にはしたくない。

 契約に縛られた関係ではなく、心からずっと一緒にいたい。

 これはお互いの願い。

 いつか別れがやってくる。それを知っているからこその願いだ。



好きは直接伝えなきゃわからないし、直接伝えた方が幸せだ

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