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第一次「異」世界大戦  作者: 七十八十
新世界暦1年
90/201

本来なら特殊作戦の前には入念な準備がある

新世界暦1年9月10日 アメリカ合衆国テキサス州サンアントニオ上空 神聖タスマン教国秘跡運搬艦


「あっさり入れたのはいいが、静かすぎねぇ?」

「警備がザルすぎて罠じゃないかと疑いたくなる」


敵から鹵獲した飛行艇に積まれていた小型輸送艇で、核兵器を運搬していると推測される飛行艇に潜入したのだが、宇宙船にウイルス仕込む映画もびっくりなガバガバっぷりに、潜入チームを率いる特殊作戦群の桐島一尉と、MARSOCのジャネット少尉は顔を見合わせる。

堂々と敵の正面玄関(小型艇発着口)から入ったのだが、格納庫にいた数人をあっさり縛り上げただけで、警報すら鳴っていない。


「まぁ、それより問題は核爆弾だ。どこにあるのやら」

「こいつがただの運搬用だっていうのなら、ここから発射装置を持つ飛行艇に移送する必要があったわけだ。つまり」

「飛行艇格納庫に直結しているか、そこに続くアクセス路がある」


さて、どうしたものかと桐島一尉は考えを巡らせる。

突入出来たのは鹵獲した小型輸送艇に乗ってきた特戦群15名とMARSOC10名、DEVGRU5名となっている。

敵旗艦と思われる方は特戦群10名、デルタ15名、75レンジャー15名となっている。


一応、後続でヘリコプターやV-22に乗った部隊が来ることになっているが、果たして本当に乗り込んでこられるのか疑問ではある。

大型障壁を通過する際は時速100キロ以下である必要があるので、どう考えてもそこを鴨撃ちされる未来しか見えないし、敵の小型戦闘艇も全滅させたわけではないのである。


「5人残して怪しそうなあのドアを進んでみますか」


そう言って桐島一尉が指し示した先には、見るからに大事な物をしまってます!という感じの大仰な扉があった。





新世界暦1年9月10日 アメリカ合衆国テキサス州サンアントニオ上空 神聖タスマン教国旗艦最下層


「騒がしいのに敵が来ない・・・」


秘跡運搬艦のほうと異なり、こちらの艦内は何やら警報もなっていて騒々しいのだが、特戦群以下40名が潜入した地点は無人だった。

位置としては、中央下部にある宇宙船のドッキングベイのような場所である。

積んでる装置がデカすぎて、艦内に格納庫を設けられないので、輸送艇は出入口でくっついているだけで、外にぶら下がる形になっている。


「というか、出入口なのに警備がいないというのはどうなんだ?」


ドッキングまで一切の迎撃が無かったことと合わせて、あまりのザル警備に誰かが呆れたように言う。


「とはいえ、騒がしいのは多分上から降下したSASが見つかったからだろう。どうにかしてやらんと鴨撃ちにされるぞ」

「そこは味方の陽動攻撃に期待するしか無くね?」

「早いとこ敵の司令官を押さえるしかないな」


そう言って彼らは船の大きさの割に狭い通路を進み始めた。





新世界暦1年9月10日 アメリカ合衆国テキサス州サンアントニオ上空 神聖タスマン教国旗艦最上層(というか屋上?)


「わはは、こりゃどうにもならんな」

「笑い事じゃねぇよ!?」


上空のC-17から降下して旗艦に降り立ったのはいいが、戦線が停滞しているとはいえ原付程度の速度では動いているのである。

しがみついているといった方が正しい状況で、周囲の対空銃座から十字砲火を浴びていた。

ちなみに、旗艦に取り付けた彼らはまだましで、取り付けずに地上に降りる羽目になった隊員も結構いたが、もちろんそこは敵の勢力圏である。

敵の追跡をかわし、歩いて前線を突破し味方に合流しなければならないのである。

だが、彼らは大丈夫である。そう、SASならね。


「じりじりと接近して手榴弾を投げ込む、というのはどうだろう」

「やれるもんならやってみろ」


頭下げてしがみついているのでやっとなのである。

というか、敵がなぜか銃座の武器でしか攻撃してこないので、頭さえ上げなければ当たることは無い。

個人携行兵器で銃座から身を乗り出して撃たれたら完全にアウトである。


「まぁ、なんだ、ここで敵を釘付けにしておけば他の連中は動きやすかろう」

「釘付けにされてんのは俺らだからな!?」


どこか能天気な指揮官の元、SASは頭を下げて貼りついているしかないのだった。





新世界暦1年9月10日 アメリカ合衆国テキサス州サンアントニオ上空 神聖タスマン教国秘跡運搬艦


桐島一尉以下、核爆弾捜索班の一行は、いまだ搭載艇格納庫を動いていなかった。

それもこれも、簡単な理由である。


「・・・開かない」


考えてみれば当たり前である。

核兵器保管庫がフリーアクセスなわけがない。


「どうしよう」

「1頑張ってこじ開ける、2もっと頑張ってこじ開ける、3さらに頑張ってこじ開ける、4鍵を持ってる奴を探す」

「それは4番しかないな!」


そう言って扉にペタペタとナニカ(C4)を貼り始める海兵隊(脳筋)ども。


「何してんの?」

「え、だから鍵を見つけてきたんじゃん」


探してねぇだろ、という突っ込みは桐島の心の中だけで消えた。


「Fire in the hole!」


号令とともに扉が派手に吹き飛ばされる。


「この手に限る」

「この手しか知らねぇだろ」


そんなくだらないことを言いながら、吹き飛ばされた扉から中を覗く。


「あったよ」


中には大事そうに置かれた大きな球体が5つ。


「というか冷静に考えて核爆弾入ってるかもしれない部屋の扉を派手に爆薬で吹っ飛ばすとか正気か?」

「「「「「あ」」」」」


格納庫から繋がる他の扉を見張っていたDEVGRUが近寄ってきて言った言葉に、「忘れてたZE☆」と言った感じで返すバカ(海兵隊)共。

まぁ、それを止めなかった特戦群も大概だが。


「とにかく、いまはこいつらを運び出すのが先だな。さっさと積んでズラかろう。さすがに今の音で敵も寄ってくるだろ」


桐島の言葉で、皆一斉に動き始めた。





新世界暦1年9月10日 アメリカ合衆国テキサス州サンアントニオ上空 神聖タスマン教国旗艦艦橋


「ここ、この教皇陛下より賜った艦に薄汚い異教徒共が土足で踏み込んできたなどと!」


降ってきた敵が上層部に取り付いたと聞いてから、聖女はずっと半狂乱である。

狂ったように早急に排除するよう叫び続けていたが、具体的な指示を出さないので決められたことしかしない(できない)信者たちは、配置について射角外の敵を撃とうと無意味に対空機銃を撃ち続けるだけだった。

もともと乗員も最低限しかいない(乗れない)艦なので、戦闘配置についてしまえば、戦闘に関係ない場所は完全に無人になる。


「え、いやこれ報告すんのかよ・・・」

「冗談だろ、お前が行けよ」


そんな艦橋の一角で、小声で話している人間がいた。

旗艦にいる数少ない幹部である司教と艦長である。


秘跡運搬艦から送られてきたその報告を、どちらが聖女に知らせるかで互いに押し付け合いを演じていたのである。

これを報告すれば、自分が悪いわけではないのに聖女に怒鳴り散らされることがわかりきっているが故の押し付け合いである。


「何をしているのですか?」


そんなことをしていれば当然目立つので、聖女に目を付けられて2人揃って前に立つことになるのだが。


「えー、そのですね」

「後続している秘跡運搬艦からの報告で」

「秘跡を全て敵に奪われたと・・・」


どんどん小さくなる声で報告する2人が全てを言い終える前に艦橋には聖女の絶叫が響き渡った。


が、そんな絶叫よりも遥かに大きな爆発音が旗艦に響き渡ったのだった。

次は・・・一週間以内?

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― 新着の感想 ―
[一言] アメリカ「この手に限る」 日本「ええ作戦があるんやけど俺達が神風して抑えるからその間に核無力化して(説得力)」
[良い点] ぜんぶ。 [気になる点] なし。 [一言] 無制限無原則無制約で、おもしろい!としか言いようがありません。以上。
[一言] ヒステリー女に切り札奪われましたとか報告したくねぇ
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