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第一次「異」世界大戦  作者: 七十八十
新世界暦1年
57/201

カリブの海賊・お前の物は俺の物

新世界暦1年4月15日 旧ベリーズ ベリーズシティ 停泊中の大型飛行艇母艦


地上では収容されていた市民のピストン輸送が開始されたころ、停泊中の大型飛行艇母艦に接近する機影があった。

機内ににチーム6(DEVGRU)も含めたNavySEALs5チームを腹に抱えた、CV-22B(空軍特殊作戦型)の5機編隊である。


ちなみにSEALsがこの作戦で選ばれたのは「あれ、飛行機じゃなさそうだし、船ってことでいいんじゃね?」といういい加減な理由である。

まぁ、選ばれなかった陸軍(デルタ)海兵隊(MARSOC)も、別任務でベリーズシティの作戦に参加しているので、結局割り振りだけの問題なのだが。


オーバーロード(作戦司令部)こちらフェデックス01(CV-22B)、敵飛行艇、バリアの消失を確認」

『了解、フェデックス01。こちらでも確認した。作戦コードはアイリーン、繰り返すアイリーン』

「ファック、アイリーン」


パイロットが交信するのを横で聞いていたコパイロットは、その作戦コードはいいのか?という思いに駆られた。

具体的には2機くらい墜とされて、延々車両部隊と合流できずに一晩くらい敵に囲まれて戦闘状態になりそうな気がしたが、気のせいということにしておく。

まぁ、そんなこと言いだすとコールサインもふざけてるので、どうでもいいか、とコパイロットは諦めた。


「突入1分前!」


キャビンに向かって叫ぶ。

敵の小型飛行艇の発進口から侵入して強行着陸という強引な作戦である。

中の様子もまったくわからないし、どんな防衛システムがあるのかもわからない、まさに行き当たりばったり。

よくもまぁ、こんな作戦の許可が出たものだと、誰が聞いても呆れかえりそうだが、敵の情報がない以上、それを得るためにもやるしかないのである。


最悪、敵の言語で書かれた文書さえ回収できれば成功と見なす、という成功の振れ幅が非常に大きな作戦になっている。


「突入するぞ!」

「派手にぶちかませ!」


キャビンはやんややんやと喚いているが、CV-22の武装は後部ランプに取り付けられた機関銃だけなので、前には撃てない。

誰だこの作戦にこんな機材を選んだ奴は。


VTOLモードになったCV-22が次々と開いていた発進口に飛び込んでいく。

飛び込んだ先は、空母の格納庫などより遥かに広い空間になっていた。

こんなものが浮いているというのが驚きである。


小型飛行艇が並んでいる中に、敵の姿も見えるが、武器は持っておらず、唖然として突然の乱入者(CV-22)を眺めていた。


「よし、行け!」

「GO GO GO!」


後部ランプを開けた瞬間、乗せていたSEALs隊員が銃を構えて飛び出して行く。

警告なんざ知ったこっちゃねぇと言った感じで、あっという間に敵を制圧していく。


「クリアー!」


あっという間に格納庫内にいた敵を制圧し、安全を確保する。


「出入口は2ヶ所。二手に分かれるか」

「ここを確保しておく必要もある。1チームここに残して、2チームずつが無難か」


すぐさま防衛にあたるチーム4を残し、残りは2チームずつで未知の通路に入っていったのだった。





新世界暦1年4月15日 旧ベリーズ ベリーズシティ ベリーズシティ市立空港


「よし、次!」


海兵隊員が簡単な目視チェックだけして次々にLCACに載せていく。

本来は、中米諸国の市民かどうかの確認したうえでボディチェックして乗せていくことになっていたのだが、見れば一目瞭然なので途中からいちいちチェックしなくなったのである。


満足に食事が与えられていなかったらしく、まるでアフリカの飢餓難民キャンプのようにガリガリにやせ細っていたからである。

敵が紛れ込もうにも、普通の食事をしていれば一目瞭然である。


「あとどれだけいるんだ?」

「知るか。乗せられるだけ乗せろ。さっさとズラからねぇと敵が山のように押し寄せてくるぜ」


メキシコシティの戦線正面を思い出し、自分で言っておいて思わず身震いする。

元々、ここに捕らえられている市民を救出するのが目的で、統治を回復する気は無いのである。

ここを維持するほどの戦力を割くと、メキシコシティの戦線が支えられなくなるのである。


「しかし、せっかく上陸したのにすぐ引き払うとは」

「腐るなよ。どっちみちここを維持するほどの戦力は割けねぇよ。敵にいつでもどこでも襲えるんだぞって分からせて戦力を分散させるのが目的だ」


敵は前線以外には防衛戦力と呼べそうなものを碌に置いていなかった。

例外的に物資集積所兼収容所のようにしている都市に大型飛行艇が数隻いるかどうかという程度である。

敵が洋上に出ないことも含めて、強襲上陸による後方への奇襲を一切警戒していないのではないか?という分析がなされた結果、今回の作戦になったのである。


実際、敵は大した抵抗をすることもなく、あっさり上陸できたし、挙句の果てに先ほど無傷の飛行艇にCV-22が突入していった。

呆れるような大胆さだが、中に入ったとして、あんなわけのわからないもの動かせるのだろうか?と皆疑問に思ったが、鹵獲に失敗したらミサイル撃ち込んで沈めると言う話だったので、上もあんまり成功するとは思ってないんだろうな皆思っていた。


「よし次のLCACが来たぞ!さっさと乗り込め!」


轟音と共に沖にいる艦隊から戻ってきたLCACによって現実に引き戻され、海兵隊員達は再び骨と皮のようになった中米諸国の市民を詰め込む作業に戻るのだった。





新世界暦1年4月15日 旧ベリーズ ベリーズシティ 停泊中の大型飛行艇母艦内


「・・・ここが操舵室?なのか?」

「知らん。そこに転がってる奴に聞け」


見晴らしの良い、なにやらよく分からないファンタジー的なコンソールが並ぶ部屋にチーム6(DEVGRU)は行き当たっていた。

室内には何人か敵だったものが転がっていたが、これだけ派手に中も外も暴れているというのに、この中で警戒態勢がとられた形跡は無かった。


「外の状況とか確認してる奴いないのか?」

「それ以前の話だろ。格納庫に敵が飛び込んできても武装すらしてないって、何してるんだこいつら?」

「艦内の情報伝達システムが無いか、俺達が優秀過ぎて全部通報される前に倒したんだろ」


違いない、と全員が笑う。


「で、動かせそうかね?」

「さっぱりわからんが適当にやってりゃ動くだろ」


適当にポチポチといじり出すが、何が書いてあるのかもさっぱりわからないので、かなり当てずっぽうである。


「とりあえず書類は全部回収な」

「つっても、さっきの部屋ほど書類は無いなぁ」


ガサガサと片っ端から袋に詰めていくのを横目に、相変わらずコンソールや転輪っぽいのをガチャガチャといじっているが、これといって反応はない。


「それ以前に主機は動いてるのか?」

「普通に考えたら止まってるだろ?停泊中なんだから」


えー、じゃあ機関室探しに行かなきゃダメじゃん、とかしょーもないことを言っていると無線が入った。


『こちらチーム1、機関室らしき部屋を見つけた。今は停止しているようだ』

「こちらDEVGRU、こっちは操舵室らしき部屋と艦長室や士官室らしき部屋を見つけた」

『捕虜は捕らえたか?』

「残念ながら幹部は留守のようだ。操舵室に人はいたが反射的に撃っちまった」

『こちらチーム7、こっちはハズレだ。倉庫みたいな区画が続いてる』

『こちらチーム10、こっちもハズレだが乗員区画みたいで武装もないくせに次から次へと向かってくる。正直キリがないし、弾も足りなくなりそうだ』

『こちらチーム4、格納庫は相変わらず誰も来ない。静かなもんだ』


とりあえず一番重要な場所は見つけられたらしい。


「こちらDEVGRU、チーム1、機関を始動できそうか?どうにもこっちは触ってみても反応が無い」

『こちらチーム1、何か大きな赤い取っ手のついたスイッチ?のようなものがある。これが起動スイッチだろうか?』

「わからねぇし、なんでもいいから押してみろ」

『ちょっと待て、・・・そうだ、それを押せ、なに?押せない?取っ手があるだろ?回しながら押してみろ』


何やら無線の向こうで試行錯誤している様子が伝わってくる。


『お、押せた』


無線の向こうでガシャン、という音がしてスイッチを押し込めたらしい声が聞こえてくる。

と、同時に操舵室の照明が赤い点滅に切り替わり、ブザーが鳴り響き、何やらモニターらしき透明の表示板に文字が表示されたのだが、それが刻一刻と変わっていく。


「おい、なんだこれ」

『なんか警報音っぽいのなってるぞ』

「なんかこっちに表示されてるんだが、俺が思うにこれはカウントダウンなんじゃなかろうかと思うんだが」

『・・・何の?』

「・・・自爆?」


ですよねー、という感じの沈黙が室内にも無線にも満ちる。


『『『「総員退避ー!!」』』』


残り時間がわからないので、全員一目散に格納庫に向かって走り出したのだった。

次は火曜日かな・・・?

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