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異世界にて、我、最強を目指す。  作者: たま ささみ
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GPS-GPF編  第9章  イタリア大会~GPF  第1幕

 イタリア・ローマまでは乗り継ぎを要し、最速でも20時間近くかかる空の旅だ。

 また窮屈な思いをするのか、とへこたれ気分だが、ローマが最終本選地となるのだからそうそう凹んでも居られない。

 同化魔法事件も解決したし、飛行機に乗っても目眩(めまい)はしないはずだ。

 事実、広瀬を紅薔薇の中庭で葬ってから、俺の体調は良好を保っていた。


 イタリアへの出発組は、羽田を発ち北京で乗り換えてからローマに入ることになっていた。外からの客人を自国に入れようとしない北京共和国。なぜ北京の空港を乗り継ぎ空港にしているのか、乗り継ぎは別のとこが良かったなどど、逍遥は後ろでブツブツいってるが俺たちのチャーター機ではないのだからしょうがない。

 ただ、俺も北京では買い物しなかった。免税店だって、何が売ってるかわかりゃしない。

 

 数馬曰く、この空港が外貨を得る最大の要所なのだそうで、通訳を申し出てくれたのだがなんとなくその気にはなれなかった。


 そういえば、GPSに中国関係者は来ていなかった。

 中国と言っても、北京共和国と香港民主国に分れているんだった。

 どちらの国でも、魔法はどういった形でか制限を加えられているのだろうか。

 それとも、このようなお祭り騒ぎには参加しない方針なのかもしれない。


 最初に言っておくべきだったのだが、アジアで参加しているのは日本、台湾、シンガポール、マレーシア、オーストラリアと香港。お隣の韓国は参加していない、それなりの魔法師がいそうなものだが。


 トルコは宗教の関係からか中東に分類されていて、イスラムの宗教上、魔法は神を冒涜する偽の行為であり、許容の範囲を超えているとのことで、地下組織が細々と魔法訓練を行っていると聞いた。

 魔法部隊のような機関が無くて有事の際はどのような体制をとるのだろう。

 神に祈っても食べ物は落ちてこない。

 落ちてくるのはミサイルだけだ。



◇・・・・・・・・・・◇・・・・・・・・・・◇


 がんじがらめの飛行機の旅を経て、俺たちはやっとローマの地に降り立った。


 ローマ。 

古代遺跡のコロッセオ(コロッセウム?)、昔の映画で見た真実の口やトレヴィの泉。バチカン市国にあるサン・ピエトロ大聖堂システィーナ礼拝堂とバチカン美術館など、かかる地の見どころは満載らしい。

街全体が美術館と言っても過言ではない程の古代建築物。

 戦争で焼失しなかったのが何よりだと思う。

イタリアの世界遺産登録数は世界一だというから、いかに古代中世から世界の中心地であったかがわかる。

 

 ここ、ローマでの宿泊先はウエスタン系列のホテルらしい。

 日本にいたとしても中々宿泊することのないホテルが多いので、俺はホテルライフさえも満喫していると言っていい。


 自分がなぜこの地に降り立ったかさえ忘れようとしている俺に向かい、数馬が前に回ってきて、両手を右肩付近に伸ばし右耳を千切らんばかりの行動に出る。

 数馬のやつ、こりゃ、本気だ。

「わかった、わかったから」

 俺の腹の中を読んでいる数馬は、深い溜息を洩らしながら俺を右手の人さし指で指さした。

「わかったならそのよだれが出そうな顔は止めて、ほら、チェックイン」


 数馬ほどドライなサポーターもいないのではあるまいか。

「僕がドライサポーター第1号になればいいだけの話じゃない」

ほら、また読心術。

「顔はアイドル顔で優しそうなんだけどなあ、数馬は」

「持って生まれた顔と持って生まれた性格だから」

「まったく。亜里沙や(とおる)もいざとなると傍にいないし、嘘つきばっかだ」

「そう?なんだかんだ言っても君の傍にいるじゃない」

「空港とかで挨拶するくらいは傍にいるとは言わないの」

「シスコンやブラコンでもあるまいし」


 シスコンブラコン扱いされたのは今回が初めてで、あの逍遥(しょうよう)でさえそこまでは言わなかった。

数馬よ、君のある意味冷酷さ漂うまでの鋭さには溜息しか出ない。

 でも、言われて見れば俺は自分が一人っ子だったのも手伝って、亜里沙や(とおる)を兄弟姉妹のように思い続けてきたように思う。

 あいつらにしてみれば俺の思いを知っていたかどうかまでは分らないけど。


 今回も、亜里沙も(とおる)もローマにはまだ着ていないようだ。

 数馬が後ろから急かすのだが、ホテルのフロントまでキャリーケースをガラガラ引きながらのっそりと歩く。

 ブルーがかった瞳と茶色の髪の毛。そして白い肌に外国人らしい目のくぼみ様。そんな風貌のフロントのお兄さんは、人懐こい笑みでにこやかに俺たちを出迎えてくれた。

「お荷物お預かりしましょうか?それともお部屋に直行されますか?」

 なんと、驚いたことに流暢な日本語を操り話しかけてくる。

 

見るからに日本人ではないその姿を前にして少し焦ってしまった俺は、英語はおろか日本語すら頭に中に浮かばず、何も口にすることができなかった。

「あ、あの、いて、その」

 後ろから数馬が俺の前に出てきて、俺の脛目掛けて軽い足蹴りを食らわした。

「僕らは自分の部屋に行きたいので、キーをください」

「かしこまりました」

「日本語お上手ですね」

「日本で3年間、語学など勉強いたしました。何かお困りのことがあればフロントまでお尋ねください」

「ありがとうございます」


 数馬は2人分のカードキーを受け取りにっこり笑いフロントに良い青年像を印象付けると、フロントから見えない場所に立った瞬間、俺の襟首を持って引きずるようにエレベーターホールへと歩き出した。

 まさにドライサポーター、数馬。


 でも、俺たちの関係はこれはこれでいいのかもしれない。

 聖人(まさと)さんのような人がサポーターに就くと、俺は全てにおいて甘えすぎてしまう。

 逍遥(しょうよう)のように完璧に競技を熟せるならまだしも、俺のような半人前が人に甘えることの是非を考えれば、俺と数馬の関係は天秤が釣り合うような気がする。

 広瀬だったころの数馬は俺を甘やかし放題だったけど。

 試合の順位がどうあれ、俺に対してピリッと辛口評価をしてくれる数馬を半ばスゲエやつだと思うし、これからもそれでいい。


 数馬と俺は、廊下を挟んでちょうど向かい側に位置するよう部屋があてがわれていた。

 各自、カードキーを差し込み開錠したあと、荷物を部屋の中に入れ、数馬が俺の部屋に乗り込んできた。

 俺は少し寝たかったんだが、どうやら今回も時差ボケに苦しめられることになった。

8時間の時差ボケを解消するためにこちらの時間で夜になるまで起きていなくてはならないと力説する数馬。

 さて、鬼の数馬がどんな方法で俺を起こしていたかというと・・・。


 なんと、プロレス技、レスリングや柔道の技だった。


 俺はスポーツが得てして苦手だからプロレスを初めとした各種競技への造詣は全くと言っていいほど、ない。今、何の技をかけられているのかも、恥ずかしながらわからない。

 時差ボケ状態が解消されれば数馬の悪魔みたいな所業も解かれるのだと、俺はひたすら痛みに耐えていた。


 30分身体を動かし、10分休憩、30分・・・を3セット。

 その後はホテル内のレストランで軽く食事を摂り、特に空いてない腹にモノを満たし、部屋に戻って英会話を勉強した後、また身体を動かす。

イタリアは治安があまり良くないとのことで、生徒会から外に出ることは絶対禁止というお触れが出回っていた。

他の人達がどうしていたのかはわからないが、少なくとも数馬は時差ボケが早く無くなるまで只管身体を動かすよう強要してくる。


うーん、身体を動かせば動かすほど休憩時間に眠気が襲ってきて、俺は立ったまま、目を開けたまま寝そうになるんだが。

で、数馬の平手打ちが勢いよく俺の右頬に炸裂するという、いただけない展開となっている。

 早く次のステージへと俺を(いざな)ってほしい。

時計よ、進め。


 そうこうしているうちに、メインディナーの時間がきた。

 さらりとではあるが、2,3時間前に食べたばかりのお腹に何も入る余裕はない。

 数馬もそこは許してくれているようで、食事について強要はしなかった。

 俺は嬉々として野菜ジュースとイギリスパン、ポテトサラダを皿に取りトレイに置く。いつもなら数馬がメインディッシュを探すのだが、今日はその動きはない。


 腹八分目までいかない食事ではあったが、俺的には充分満足のいくものだ。

 隣では数馬がパスタ料理を頬張っている。イタリアならやっぱりパスタだよね。でも日本で見るスパゲティやマカロニとは違う。

 なんという料理かは知らないが、世界中回っている数馬だからその辺の情報収集はお手の物だろう。

 試合が終わったら、数馬おすすめの料理に手を出してみるとするか。



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