第7話
今日も何とか投稿します。
毎話ごとにタイトルをつけるのをやめました。
このままいくと行き詰るのが見えていますのでw
それに伴い今までのタイトルも消しました。
章で分けられるようになったら、章にはタイトルをつけたいと思っています。
「……へえ、面白そうですね」
盗賊という職業はRFVRにはなかったので、アシュトはルイードの話を興味深く聞いていた。
「ああ、なかなかスリルあるぜ。上手く敵の背後を取れた時はスカッとするしな」
盗賊の秘技に「バックスタブ」というものがあり、気付かれずに背後を取って判定に成功すると麻痺効果付きの大ダメージを与える事が出来るのだという。
「なあ、良かったらちょっと一緒にやらねえか? いろいろ教えてやれるしよ」
「あ、あの、俺、パーティーとかはちょっと……」
いきなりの誘いにコミュ障なアシュトは狼狽えた。
(断らんでもよろしいやん! せっかくあちらさんから誘ってくれてはるのに)
(今知り合ったばかりだし、パーティーでの戦い方とか知らないし)
(そんなんワテが説明してあげますやん。これやからボッチはもう)
(誰がボッチだよ!)
アシュトがポン吉とテレパシーでやり合っていると、ルイードが笑って言う。
「わはは、そう悩むな。パーティーとかそんな大層なもんじゃねえよ。ただちょっとの間一緒に動いてそこら辺案内してやろうってんだよ」
「あ、でもいいんですか?」
「気にすんな。別に今することもないしヒマだからよ」
「じゃ、じゃあお願いします」
「よし、行こうぜ。あっちにちょっと面白い場所があるんだ」
(よろしおましたなあ、ボッチなご主人にお友達が出来てワテも嬉しいですわ)
(だからボッチとか勝手に決めつけないでくれよ!)
アシュトはルイードに連れられて森の中を進む。
「お、灰色狼がいるじゃねえか。ちょっとやってみようぜ」
「あ、はい」
「俺がバックアップするからよ、好きなようにやってみな」
「分かりました」
森の中を歩いていた灰色狼を見つけ、アシュトは剣と盾を構えて徐々に近づいて行った。アクティブである灰色狼はアシュトに気付くと唸り声を上げて身構える。
「それほど強くはねえが、ダッシュして飛び掛かって来るから気を付けろよ」
ルイードのアドバイスを受け、アシュトは慎重に近づく。すると突然灰色狼が襲いかかってきた。
――シールドバッシュ!
ルイードはすかさず紋章ルーンを完成させ、飛び掛かってきた狼を盾で殴りつける。
「キャンッ」
狼はレジストに失敗、麻痺スタンして体の動きが止まった。そこへすかさず剣で斬りつける。動けない狼への攻撃はダメージが3倍となり、灰色狼は一撃で光の粒となった。
「ほほーやるねえ、上手いもんだ。秘技も今みたいにタイミングが完璧だとクリティカル判定になって相手のレジスト成功率が下がるからな」
「そうなんですね、勉強になります」
ルイードの的確なアドバイスにアシュトは頭を下げた。
「畏まって礼言われるほどのこっちゃねえよ。それより行こうぜ」
「あの、今の経験値とかお金とかアイテムとか、どうやって分けたらいいですか?」
「は? そんなのいらねえよ」
「でも、それじゃ申し訳ないです。もしその方が分けやすいんだったら、やっぱりパーティー組んでもらった方がいいんじゃないですかね」
パーティーを組むことに抵抗感はあったが、さすがに自分だけが報酬を得ることを申し訳なく思ったアシュト。だがルイードはそれを笑い飛ばした。
「気にすんなって。新人さんから分け前貰おうなんて思わねえよ」
「でも、それじゃあ」
「いいっていいって。いつか出世したら返してくれたらいいからよ」
「スイマセン、ありがとうございます」
しばらく歩いて森を抜けると、そこには広大な草原が広がっていた。二人は小高い丘に登って草原を眺める。
「凄い……雄大な景色ですね」
「バヌスト大草原だ、かなり広いぜ。歩いて渡るのはしんどいから、早く馬に乗れるようにならなきゃな」
「馬を持ってるんですか?」
「いやいや、馬は高いし維持費が馬鹿にならねえからな。借りて乗るのさ。そのうち買いたいと思ってるけどな」
「そうなんですね、俺も馬が欲しいです」
「家だって買えるぜ。ほらあっち見て見ろ」
ルイードが指さす方向を見ると、何軒かの家が集まる集落が見える。
「あれはプレイヤーが建てた家やギルドハウスだ。まあ家なんざ買えるのはほとんど1次から参加してる有名な奴らだけだけどな」
「やっぱり高いんですか?」
「目が飛び出るほど、な。でもまあボスクラス倒して超レアなアイテムでもゲットすりゃ俺たちでも夢じゃねえ」
「夢がありますね」
「だろ? そうだ、あっちに塔が見えるだろ。ちょっと面白いから行ってみようぜ」
二人は別の丘の上に立つ塔を目指して歩き始めた。
いかがでしたでしょうか。
明日も投稿したいと思ってますが、どうなることか。
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