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第4話 

今日も投稿します。

読んでいただけたら嬉しいです。

「スキルも使えるっちゅうとお次は――」


「なあ、そろそろ戦ってみたいんだけど」


 ポン吉のチュートリアルがまだまだ続きそうなのでちょっと飽きてきた。基本操作は分かってるんだし、早く外に出て実際に戦ってみたい。


「パーティーへの誘い方やとか誘われた時の加入方法&断り方やとか、冒険者ギルドの使い方とか依頼の受け方、報告の仕方、買い物、食事、睡眠、宿屋の確保とか家を買うにはとか生産系スキルとか、まだまだ説明せなあかん事だらけやねんけどなあ」


「そんなの全部聞いても覚えられないし、必要な時に教えてくれたらいいよ。それより何かと戦いたい。村の外に出たらいいんだよな」


「ちょ、ちょっと待ちいなご主人さん。しゃあないなあ、じゃあその角右に曲がって真っ直ぐ行ったら村外れの森に出まっさかいに。そこが丁度ええと思うよ」


「オッケー、こっちだな」


 ポン吉の説明を聞かずに無理やり歩き出したら諦めてくれたようだ。あの凶器みたいに分厚い説明書の内容を全部説明されたらたまったもんじゃない。






「この森だな」


 村の門を出るとすぐ森になっていた。森の中を通る小道を奥へと歩いて行く。


「ここにはどんな敵が出るんだ?」


「ここは初心者のレベル上げ用に設定された森やさかい、そないに強い敵はほとんど出まへん。アクティブな(=積極的に攻撃してくる)敵は狼とか、熊といった動物ですわ。あと非アクティブな牛や豚、ウサギや鹿なんかもおるから初心者の食材の調達場所としてはええと思いますよ」


「なんだ、モンスターは出ないのか」


「たまーにモンスターの巣やなんかが現れることもありますけど、それは大抵クエストがらみでんな。せやけどここではめったに出えへんと思いまっせ。なんせここは初心者の森、ガチの初心者用ですさかいに」


 さっそくモンスター退治かと思っていたアシュトは拍子抜けした。しばらく進むと視界の隅のミニマップに赤い点と黄色い点がいくつか現れた。それぞれ移動しているようだ。


「なあ、このマップに出てる点って」 


「あ、それ動物やモンスターですわ。赤いのはアクティブ、すなわち相手から積極的に攻撃してくる相手。黄色は非アクティブでこっちから手を出さんと攻撃してこうへん奴ですね。ただ黄色でも群れる習性のある奴は、群れの仲間が反応範囲内で攻撃されると一斉に反応しますから要注意でんな」


「なるほど、なかなか便利だな」


「せやけど身を潜めたり偽装している敵なんかは表示されまへん。隠れた敵を感知するにはそれなりのスキルが必要でっさかいに、油断は禁物でっせ。PK含めてパーティーメンバー以外の人は表示されまへんし、地図に表示されへん透明な敵もおるらしいですからね」


「オーケー、注意するよ。じゃあこの近くにある赤い点に行ってみようか」


「え、いきなりアクティブからでっか。まだレベル1なんやから大人しいウサギとかからの方がええんとちゃいます?」


 ポン吉の忠告はこの際無視して赤い点を目指す。




「それにしても人がいないなあ」


「第2次までの参加テスターはもうこんな所に用はあらしません。ほんで今回の募集で追加された新規プレイヤーはまだ操作説明中でっしゃろな。ご主人みたいに話も聞かんと無茶する人が他におらん、ちゅうのはええこっちゃ」


「なるほど、道理で人気がない訳だ」


 説教じみたポン吉の言葉は無視して、ゆっくりと動く赤い点の方へ移動を開始する。どんな敵なんだろう。ドキドキするけどワクワクする。


「もう近いと思いまっせ。お気を付けて」


 ポン吉が耳元でささやく。ミニマップ上では俺を表す黒い点と赤い点がすでにほぼ重なってるけど、辺りに敵がいる様子はない。剣と盾を装備して戦いに備え、辺りの気配を探っていると、


 ガサガサッ


 近くの茂みが揺れた。来たかっ。身構えたその瞬間――


「グオオオオオオオオッ」


 茂みをかき分け、唸り声と共に突然熊が現れた。で、デカい。立ち上がったその体長は間違いなく3メートル以上ある。こりゃスゲエ迫力だ。


「ブラッドベアやっ! あ、あきまへんっ。逃げましょ!」


 ポン吉が耳元で叫ぶ。すんげーうるさい。確かに表示名はブラッドベアになってる。逃げろったってこの至近距離じゃ無理でしょ。


「そんなに強いのか?」


 剣と盾を構えてブラッドベアと睨み合いながらポン吉に聞く。


「えっと、ホンマは戦闘中にアドバイスとかあかんのですけど、チュートリアル中なんで特別に言いますわ。基本の5人パーティー(PT)での適正攻略レベルは平均5以上、ソロやったら12LV以上が推奨になってます。どう考えてもLV1の初心者がどうこうできる相手やありまへん!」


「ここ初心者用だって言ってたよね。なんでそんな強いのが出るんだよ!」


「えっと、この辺りで普通に出る熊はブラウンベアやレアポップのブラックベアです。ブラウンベアやったらソロの適正LVは3、ブラックやったらLV5です。これやったら初心者でもPT組んだら倒せます。でも極々たまーにブラックベアの超レアポップでこのブラッドベアが湧くんですわ。もし湧いてもしばらくしたら自然に消失(ロスト)するんでなかなかお目にかかれません。お客さんラッキーですねっ」


 ――なーにがラッキーだよ、これどうすんだよ! 


 ブラッドベアは警戒しているのか、低い唸り声を上げながら俺を睨んでいる。今にも飛び掛かってきそうだ、この巨体ならこれくらいの距離ひとっ跳びだろう。


「ねえ、負けてもし死んだらどうなる?」


「通常は死亡によるペナルティがありますけど今はチュートリアル中なんで、ペナルティはありまへん。さっきの初期村に戻されるだけですわ」


 ――なんだ、ペナルティはないのか。だったら一か八か……やってやる!

明日も投稿します。

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2度召喚されて2度世界を世界を救い、その2度とも幸せになれなかった勇者が3度目の召喚。世界を救うことに懲りた彼は、超絶チートな能力を有しながらそれを隠して平凡な生活を望む。はたして彼は無事に一般人として生きることが出来るのか。そして勇者に見捨てられた世界の運命は――。
『勇者の顔も三度まで?!~3回も召喚された勇者の憂鬱』
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