狂いし協力者
この話から黒霊王編の戦闘パートに入ります。
楽しんで頂ければ幸いです。
クリスの残した契約書に細工をした次の日、俺は細工をした契約書と暫く旅行に行くという書置きを残し、アルバート領内に潜伏していた。
俺がトリーニを抜け出した日から既に三日が経過し、その間に更に七つの村と二つの町が黒霊王やその協力者の手に掛かり、多くの村人が身体を石に変えられ、逃げ延びた人の何割かも、近くの街へ逃げ組む前に街道で石に変えられていた。
立ち寄った町で逃げ延びてきた村人に金を掴ませて話を聞き、特徴的な襲い方をする、ある協力者が次に狙いそうな村を予測し、そこに罠を仕掛けて待っていた。
「リュークさん、本当にその黒霊王の協力者があの村を襲うんでしょうか?」
「なんだニース? リューク殿の勘を疑うのか?」
「リュークさんの判断よ。疑うなら、その根拠を提示するべきでしょ」
今回俺が連れているのは、ルル、ネリー、ニースの三人だ。
シスターティアは既にリチャーズの召集を受け、街の防衛を任されている衛兵の治療部隊に組み込まれていたが、ルル達は前回四肢を失った事が危惧され、また、命令違反の前科もあった為に今回は声がかからなかった。
その事を聞きつけた俺はとりあえず戦力としてルル、ネリー、ニースの三人を雇い、馬車では無く、馬を使ってアルバート子爵家の領内で黒霊王が襲った村や町を訪ね歩いていた。
馬車の方が荷物を多く積めるのだが、今回はそこまで多くの武器を運んだりはしていない。
此処はアルバート子爵家の領内で、元々冒険者が多い為に武器を売っている街や村には事欠かない。
金さえ持っていればある程度の武器や装備などは、直ぐにでも調達する事が可能だ。
村や町で出会った逃げ延びてきた村人たちから聞き出した、村が襲われた状況や、被害などを確認し、元々協力者の何人かに心当りのあった俺は、襲われた村の状況から次にそいつが襲うであろう村の住人に話を付け、そいつを確実に仕留める為の策を張り巡らせた。
「え? 根拠なんて無いけど。どうしてあの村を協力者が襲うって分かるのかな? って思ったから」
「あの村は南側に俺達が潜んでいる木々の生えたこの丘、北側に険しい岩山、そして東側に大きな池がある。攻め込めるルートは東からだけで、そこから襲われれば村人は逃げ場を失う。その協力者が襲ったと思われる二つの村も、殆ど同じ様な状況だったのさ」
陸の孤島ではないが、こういった地形の村はままある。
外部からの攻撃を予測しやすいので防御には向いているが、現状、ゴールトンがこんな小さな村を守る為に貴重な衛兵を割く事は無い。
集められた衛兵や冒険者はハンカの街クラスの街を拠点とし、その周囲の村や町で網を張って黒霊王やその協力者がかかるのを待っている。
大きな街は大体幾つもの街道の集約する場所であり、その周囲の町や村を見張っていれば、いずれは黒霊王を見つける事が出来るだろうが、それまでにどの位の時間が掛かるか分からない上に、被害に遭う村も後を絶たないだろう。
しかし、黒霊王が次に何処を襲うか分からない以上、衛兵たちはああして網を張って黒霊王や協力者が網にかかるのを待つしかないのだろう。
協力者を捕らえ、そいつに聞き出すという方法もあるが、既に別行動をとっているという可能性もあり、結局一人ずつ処理するしか方法は無い。
「確かに二度ある事は三度あります。でも、それだけではないんでしょう?」
「家畜の数が少なく、村人の数も、百人ちょっと。例の協力者が率いている石の魔物の数を考えれば、その辺りが限界なのさ」
逃げ延びた村人などの話を総合すると、現在判明している黒霊王の戦力は、石の魔物が三十体。
そのうち僅か十体ほどが真珠タイプで、残りは蛇の様な髪を持つタイプという事だ。
鋭い爪を持ち、空を飛ぶ石の魔物はもう残っていないらしく、新しく補充もされていない。
その内黒霊王が四体の真珠タイプと八体の蛇の様な髪を持つタイプを引き連れており、協力者と思われる者が、石の魔物を六体ほど率いているという話だ。
「臆病な協力者なのか?」
「それもあるが実戦経験が乏しく、それ故に、一度確定した勝ちパターンを捨てられない哀れな奴さ。そしてこの丘に俺達がこうして潜んでいるとは考えもしない」
潜んでいるとはいえ、網に落ち葉や小枝を編み込んだカモフラージュで作った小さなテントに、ひとりずつ寝転んでいるような状態だ。
少しずつ角度を変え、ある程度の角度は見渡せるが、その協力者がこの丘の存在をそこまで重要視する事は無いだろう。
「もしかして、お知り合い……なんですか?」
「ニース!!」
ニースは控えめに聞いて来たが、なるほど、こいつは仲間としょっちゅう喧嘩になる訳だ。
空気が読めなく、普通なら聞きにくい事をダイレクトに聞いてくる。
冒険者であるならばこの図太さは必要なのかもしれないが、そのうちこれが原因で命を落とす可能性もあるな……。
「おそらくな、そうでなけりゃいいと思いはしたが。襲われた村を調べていた時、おそらく間違いないと確信している」
アイツなら確実に目の前の村を襲う。
問題は、そのうち四体ほど引き連れていると思われる真珠タイプだ。
十体しかいない真珠タイプを自分の為に四体も要求する所など、如何にも奴らしいが、真珠タイプを無力化する対策は用意しているし、此処で真珠タイプを四体も潰せれば、後が楽になるのは間違いない。
「あ…ほんとに怪しいローブ姿の集団が……」
行動を読まれているとは知らず、そいつはボロボロのローブで姿を隠し、予想通り西の街道からノコノコと七体揃って村の入り口に向かっていた。
警戒していないというより、おそらくあれは何も考えてないんだろう。
村の入り口からは微妙に見えにくく細工を施した、村の中央に作られた櫓で動きがあり、怪しいローブの集団が目標の地点に到達するのを待っていた。
「計画通りだ。例の策が始まったら突撃を掛けるぞ」
「「「了解」」」
ローブの集団が村の入り口を越え、目の前の大きな家にそのうちの二体を向かわせた瞬間、左右に隣接した家の窓が開き、そこからモクモクと煙を吐き出す藁束の様な物が投げ出された。
更に少し離れた場所に立っていた小屋から、数匹の牛が放たれた。
村人は俺の要求通り全ての牛に荷車を取り付け、その荷車一杯に藁束を積み込み、それに火を付けてからローブの集団に向けて牛を走らせていた。
牛は真珠型の光を浴びて石に変えられたが、わざと壊れやすい連結部分で繋いでいた荷車は目論み通りに連結部分が壊れてその場で横転し、辺り一面に撒き散らされた積み荷の藁束から大量の煙が発生し続けた。
村の入り口に煙が立ち込め、村に侵入してきたローブ姿の集団がそこから動かぬうちに、濃い煙が石の魔物たちの視界を奪った。
「何だこれ!! 何の真似なんだ?」
聞き覚えのある声が、間抜けな事を口走っていた。
あいつの事だ、見下している村人が対抗手段を用意するなど、考えても居なかったのだろう。
爪タイプが存在せず、真珠タイプが脅威であるならば、その力の全てである顔から放たれる光とやらを煙で封じてやればいい。
油を染み込ませた生木を藁束で巻き、それに火を付けさせて煙を発生させるだけで、真珠タイプの脅威は激減する。
石の魔物が放った光は目の前の煙をほんの少し砂粒に変えるだけに留まり、そしてそこを目掛けて村人が乱射する弓やボウガンを躱す事すらできない。
相手のやり方に合わせ、直接真正面から戦う必要などこちらには存在しないのだから。
「とにかく撃ちまくれ、報奨金はデカいぞ!!」
「腐れ外道が、矢でハリネズミみたいにしてやる!!」
「あそこがちょっと明るいな、あそこにアーバレストで矢を撃ち込め!!」
村人には今回の協力の報酬とし、金貨十枚を渡してあり、更にあの石の魔物と協力者一体毎に金貨五枚の報奨金を約束している。
ひとつだけ持ち込んだ据え置き型のヘビーボウガンであるアーバレストも石の魔物対策として渡してあり、強力なその矢は石で出来た身体に深々と突き刺さり、そこに他のボウガンの矢が当たり、石でできたその身体を粉々に壊されていった。
「こんなはずじゃ……」
ローブを纏った協力者は一人で最初にドアを開けた家に逃げ込み、外に残されていた石の魔物は煙が晴れる頃には蛇の様な髪を持つタイプを残して他はすべて撃退されていた。
余計な被害が出ない様にその家は無人の上、中の家財も全て運び出してある。
あの中に飛び込んでも、あいつは満足に身を隠す事すらできないだろう。
「…………大地に芽吹いた炎の花よ、美しい華を咲かせ、炎華菊!!」
ニースが放った炎華菊が、最後に残っていた石の魔物をその凄まじい炎の力で焼き、石の魔物は碌に抵抗する事も無く燃え盛る炎の中に崩れ落ちた。
馬で走りながら呪文を詠唱していた為、前半部分をほとんど聞き取れなかったが、あれが炎華菊と知っていれば、もう少し集中して耳を傾けたんだがな。
タダで炎華菊を覚えられると思ったが、そこまで甘くは無かったか。
「残骸がひとつ少ないみたいだけど」
残っていたのは石の魔物6体分のローブや残骸、地面に血の跡や、煙に混ざって血の匂いがしない所を鑑みれば、どうやら奴は怪我もしていない様だ。
石の魔物に碌に命令も出さないまま、奴はひとりで家の中に逃げ込み、難を逃れたようだな。
おかげで石の魔物も碌に抵抗する事無く、村人の攻撃とニースの魔法で無残な残骸へと姿を変えた。
「おそらくその中だ。暗くて狭い室内が好きな奴なんでな」
「リューク殿、私が命に代えても……」
ネリーが剣を握り、俺の前に出ようとした。
奴に話を聞くには、俺一人の方が良いだろう。
「護衛は要らん。どうせ部屋の隅で震えているだろうよ」
「ですが……」
「奴に遅れは取らんさ」
俺は両手にある物を握り、ネリーたちを残して一人で少し大きめの家の中へと突き進んだ。
「久しぶりだな。そんなローブで顔を隠すのはやめたらどうだ? ゼロス」
レナード子爵家の領内にある魔法アカデミー魔法工芸研究科のゼロス。
こいつがいつ黒霊王と接触し、協力体制を確立したのかは知らんが、俺がこいつにブライを会わせた後なのは間違いないだろう。
「どうして僕だと分かったんだい?」
「簡単な事だ、まずひとつめの理由はお前の研究室だ。あそこに石の魔物の足があった、作り出したとは考えにくいし、何処かからサンプルを入手したって考えるのが普通ってもんだろう?」
黒霊王を処理する事に決めた俺は、少しでも武器を増やす為に、ゼロスやラーガの元を訪ねた。
何度声を掛けてもゼロスが出てこなかった為、少し鍵を壊して研究室に入った俺が見たのは、石の魔物の足や作りかけのコアのようなパーツだった。
フェデーリの屋敷で回収した腕以外のパーツは、アルバート子爵家の領内にある魔法アカデミーのラーガに渡してある。
確認を取ったが、ラーガが研究に使っていた足を他の人間に差し出す訳も無く、両足や残りのパーツは全て研究の為に解体されていた。
なお、マントに下に隠してあるS型魔筒はD型魔筒をラーガが改良した物であり、コレの存在はゼロスも知らない。
「僕の研究室に、勝手に入ったのかい?」
「四日前、注文の品を取りにいった時にな。おまえはいなかったし、注文していたD型魔筒は一つも残っていなかったが」
この為、追加で入手できた武器はラーガから買い取ったS型魔筒を僅かに二つだけであり、もう少し数が欲しかったD型は結局三つのままだった。
「他に仕事が入ってね、それにかかりっきりだったのさ」
こいつは、いけしゃあしゃあと……、俺の仕事の方が先に頼んであっただろうに、興味がある方を優先するのは相変わらずか。
それに、それまでに完成していたD型魔筒を、こいつが持ち出している事は予想済みだ。
「石の魔物の量産、蛇の様な髪を持つタイプ位は成功したのか?」
「残念ながら僕には無理だったよ。だから、せめて協力位しようと思ってね」
もしこいつが量産に成功していたら、被害はさらに拡大していただろう。
石の魔物を増やせなかったのは不幸中の幸いとはいえ、黒霊王に協力し、村を二つも壊滅させたこいつに情状酌量の余地は無い。
「ふたつめの理由だが、おまえが襲った村で殺された牛に魔弾を撃ち込んだ跡があった。しかも、何かを確かめるように、同じ牛に何か所もな」
「魔弾なんて、駆け出しの魔法使いでも使える魔法だよ」
駆け出しの冒険者はあんなに牛に魔弾を撃ち込んだりしねえよ。
大体、牛を殺すのに魔弾なんて使う筈が無いだろう。
「おまえは俺が用意するように頼んだD型魔筒の射程距離や、威力を確認したかったんだろう? 俺とお前の距離、あと数歩でD型魔筒の射程範囲だ」
俺とゼロスの距離は約十メートル。
確実にD型魔筒で殺すには、あと数歩近づく必要がある。
「分かってるよ、その両手にはD型魔筒を握ってるんだろ? でも……」
「おまえのは魔石を取り換えた強化型って言いたいんだろう? 悪いがな……」
俺は両手に握り込んだD型魔筒から一発ずつ魔弾を放ち、ゼロスの両手の上腕を撃ち抜いた。
「俺のも魔石を取り換え済みだ、しかも高純度の奴にな」
撃ち抜かれた上腕は激しく損壊し、あれでは手に隠し持っているD型魔筒を使う事は出来ないだろう。
D型魔筒は使っている魔石を純度の高い物に取り換えれば、威力や射程が増す。
高純度の魔石であれば、この距離でも十分に致命傷を与えられる。
ただし、一発あたりのコストは十倍だ。
「ひ…人の作った物に、勝手に手を加えるなんて……」
「おまえがそれを言うのか?」
こいつは今まで何度も俺が制作を依頼した商品に手を加え、他の商会などに流して利権を奪おうと画策した。
だから今の俺はこいつには試作品位しか任せず、その試作品をラーガに手渡して完成させるという方法を取っている。
「そんな事は良い。おまえが知っている黒霊王とその協力者の情報、此処で吐いて貰おうか」
「僕が話すと思うのかい?」
外には聞こえない様に声を潜め、低めのトーンで、「協力者のうち二人、お前と同じ様に村を襲っている○○○○××××や、お前との繋ぎや村を襲う為の潜伏先などの手配に協力している、○○○○○○・××××××の存在には気が付いている。お前と同じ様に村を襲っているもうひとりの名、それと他の協力者の数を教えろ」と持ちかけた。
これで話せばこいつを助けてもいいが、もし話さなければ、最後の手段を取るしかないだろう。
ゼロスは目を見開き、水面に顔を出して餌を強請る鯉の様に口を動かしながら、「どうして、それを……」と漏らした。
語るに落ちたな。
「俺を舐めるな。何度死線を潜り抜けて、この商売続けてきたと思ってるんだ。あの狭い部屋で研究だけしてるおまえとは違うのさ」
「研究だけが僕の全てさ、新しい物を作り出した瞬間、その一瞬の為だけに僕は生きているのさ」
「アイディアは他人任せで、中身も他人の技術の流用ばかりだろうが。新しい物? おまえが作り出しているのは、単なる試作品か紛い物だけだ」
新商品の開発のノウハウの殆どは俺が出したものだ。
こいつはそれをほんの少し調整し、試作品としてまとめて来ただけ。
他人の研究結果であろうと平気な顔で盗用し、それを都合よく利用するゼロス。
新しい物を生み出す開拓者の苦しみを此奴は殆ど知らない。
「僕にあれだけ商品の開発をさせておきながら!!」
「その事には一応、感謝してるぜ」
嘘ではない、A型魔筒には何度も窮地を救われているし、D型魔筒もそれなりに使わせて貰っている。
あれだけ研究資金を出していたのも、こいつがそのうち本物の研究者に目覚める事を期待していたからだ。
こいつはその事に気が付かず、試作品や紛い物を生み続けていたが……。
「だが、それ位でてめえが今してる事を見逃すと思うか? 最後の警告だ、命が惜しけりゃ協力者の名と、黒霊王の向かった場所を言え!!」
「知ってても言わないよ。馬鹿にしてもらっ……」
そこまでゼロスが口にした時点で、俺はS型魔筒を構え、魔石をリリースしてゼロスの上半身を原型が残らぬほど粉々に吹き飛ばした。
警告は二度までで、三度目は制裁、俺との付き合いも短くないんだ、聞いた事位はあるだろうに。
上半身がほとんど残ってい無い為、こいつがゼロスだと判別する事は難しいだろう。
これでレナード子爵家の領内にあるアカデミーの関係者に余計な苦労を掛けずに済む。
完全に息の根を止めたゼロスの残骸を調べ、手掛かりを探したが何も残ってはいなかった。
ゼロスが手にしていたD型魔筒の残弾は一発。
俺を確実に仕留める為、俺がもう一歩近づくのを待っていたんだろう。
「人の命より興味ある研究……、それが狂魔法工芸博士の理か」
狂魔法工芸博士には狂魔法工芸博士の理、悪党である俺には悪党の理、黒霊王には黒霊王の理があるんだろう。
だが、黒霊王の理がどうであろうと、此処までされて見逃す訳にはいかねえ。
家から出た俺はニースに頼んで炎華菊で家を焼かせ、残っていたゼロスの残骸も全て灰へと変えた。
村人には犠牲にした牛の代金、そして六体の石の魔物の報奨金などを合わせ、金貨四十枚を手渡しておいた。
この規模の村なら数年不作が続いても余裕で乗り越えられる位の額だ。
「結局、協力者って誰だったんですか?」
馬で街道を進みながら、ニースがそんな事を聞いて来た。
本当の事を話す訳にはいかないが、こいつには炎華菊をの呪文を教えて貰った借りがある。
もっとも、正式に教えて貰った訳では無く、家を焼いた時に唱えていた呪文を丸暗記しただけだが…。
家が焼落ちる前に気が付かれない様にこっそり試したが、残念ながら今回も脳裏に展開用魔法陣は浮かんでこなかった。
練度不足という奴だろう。
「残念ながら別人だった。似た者同士、行動パターンが似ていたのが幸いしただけさ」
「残念ですか?」
「俺にだって、ぶん殴ってやりたい奴位いるのさ」
もう十年ほど若けりゃ、ゼロスの奴を本気でぶん殴っていただろう。
まあ、もう奴をぶん殴る事はないが。
「しかし、流石はリューク殿。これで石の魔物の残りは二十四体。襲われる村も減る事でしょう」
ネリーのこの呼び方だが、以前に「その殿呼ばわりだが、他の呼び方は無いのか?」と尋ねた所、「リューク様でも……」と言われたので、殿呼ばわりを容認する事となった。
商売相手でもあるまいに、様呼ばわりなど、俺の性に合わない。
「これで私達の評価も上がって、依頼が来るようになればいいんだけど」
「奴を倒せばまた元に戻り、依頼が来るようになるさ」
黒霊王が倒されない限り今の状況は変わらないだろうし、黒霊王を倒した後は、更に色々あるだろうから、冒険者への依頼は増えるだろう。
「次は此処から馬で半日ほど走った村だ。おそらく、そこも標的になるだろう」
「次も別人ならいいですね」
「ああ、そうであったらいいんだがな……」
おそらく、ニースは先程倒した協力者が俺の知り合いだったと気が付いている。
次の協力者はおそらく○○○○××××。
黒霊王へ協力している理由次第では、こいつもゼロスと同じ運命を辿るだろう。
できれば、そうならない事を願いながら、俺達は目的の村へと向かった。
読んで頂きましてありがとうございます。
ネタバレになるので諸事情により協力者の名前を伏せて載せています。
感想等もいただければ励みになります。




