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叶わなかった鉄槌を今利子をつけて  作者: 磊磊磊落(らいらいらいらく)
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プロローグ 1 始まりの始まり

とある日の午前九時過ぎ。

独房の扉は突然開かれ、僕は否応なしに連れ出された。


向かった先は、僕の終焉を迎えるであろう場所。


通称、別れの間に通された僕は、祭壇の前に腰掛けるように命令された。

執行指揮書が読み上げられ、線香の香りと読経がこだまする中、僕はそっと瞳を閉じる。


やがて祭壇の前に促された僕は、両手を合わせ祈りを捧げた。


祈りを終え席に戻ると読経が止み、供え物の生菓子を勧められるが、僕がそれを断ると彼らは講話を始めた。


講話の内容は正直覚えていない。

説法のような宗教的な話だった気がする。


講話が終わると立ち上がるように指示され、白い布で目隠しをされた上で両腕を後に回し手錠を掛けられた。


仕切られていた重いカーテンを開くと、その先には無機質な空間。


部屋の真ん中に約1メートル四方の踏み台があり、その中心には先端が輪になった1本のロープ。


止まっていた読経が再開し、それはまるで無垢な少年少女が大合唱をしているように刑壇室にこだました。


そして僕は歩み出す。

この先に待つ、僕にとっての終焉へと…



昔観た映画では、僕と同じような境遇の主人公が終焉に至るまでの葛藤を事細かく表現されていたけど、実際に主人公になってみれば恐ろしいほど冷静だったのには驚いた。



もっとも、僕の心が穏やかなのは、早かれ遅かれこの地球が崩壊し、皆同じ運命を辿る事を知っているからかもしれない。


そう、地球はまもなく崩壊する。

報道規制により周知されていないが、北極は既に世界地図から姿を消している。絶える事なく発生している地震は日を追うごとにその規模を大きくし、やがて津波によって地上の殆どが飲み込まれるだろう。旧約聖書の創世記に記されているノアの箱舟の現代版とでも言うべきか?


しかし救いの箱舟は、神話のように現れることはないだろう。


すでに世界各国の主要都市は核によって消滅し、奇跡的に核の被害を逃れた日本でもその影響を受け始めている。


ライフラインは近い将来完全に停止し、人々は不安と恐怖に混乱し暴動を起こすはずだ。

もっともその頃には、一部の権力者は僕らが完成させた時空移転装置で別の空間へ逃げているだろうが…


そう…


僕らは利用されたのだ。

人類を救うと言う安っぽい言葉に。

そんな愚かな僕を待つのは、賛美でも栄誉でもなく、口封じという名の絞首台。


今僕は、その終焉へ向かって進んでいるのである。


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