表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どこにいこう  作者: 狐孫
9/11

迷子と羽寺

また迷子…

 貴賓席での運動会が終わり、じめじめとした梅雨が過ぎて本格的な夏が到来する。

アスファルトで舗装された灼熱の道をフラフラと歩く、ああ、神社の大樹の木漏れ日が恋しい…。


静恵は、道に迷っていたそれはもう盛大に…。


茹だるような暑さと強い直射日光のせいで、道路には人影が無い。

それは、まるで無人の街の様だった。


そんな中を麦わら帽子に青いワンピース姿の静恵は歩いていた。

行き止まりに何度もぶつかり道を戻り、ぐるぐると同じ場所を回っている。


街って怖い、何処の景色も同じに見える。

陽炎がユラユラと、道路に逃げ水を作り出す。


父が持たせてくれた水筒で今のところ脱水症状にはなっていないが、それも時間の問題かも知れない。


静恵は、雲一つ無い青空を見上げる。

「何処なのここ…。」


この日、静恵は一人で神社に向かうことにした。

学校の帰りに寄る神社とは違う神社だ。

ちょっとした冒険気分で、遊びに行ってくると家を出る。


たまたま、その日休みだった父が水筒を持たせてくれた。

父は、友達と小川にでも遊びに行くのだと勘違いしていたようだった。

「あまり遅くならないようにね~。」


そう言って送り出す。


静恵は、神社に向かって歩き出した。

家を出たまでは…。


どのくらいの距離か検討を付けてこなかったため、

こっちかな、あっちかなと寄り道をしながら進む。


街の中に出たときには方向が、すっかり分からなくなっていた。

静恵はこの数年で、方向感覚さえも鈍っていた。


そして、迷子が街という迷路へと突き進んでいく。

何度空を見上げたことだろう…。


日が傾き始めた頃、路地裏に迷い込んでしまった。


この場所に居ては行けないそう、感じながら引き返すほど体力が残っていない。

怖い…。


物陰から、どす黒い何かが絡みついた人のようなモノが出てくる。


「クックック、、、こんな所で贄人を見つけられるなんて運が良い。」

非常に不快な感じがする。


一歩一歩、徐々に近づいてくる。

逃げようにも足が動かず、地面にへたり込む静恵。


「おやおや、逃げないのかい?」

「来ないで!!」


へたり込んだ状態で状態で何とか逃げようと後ずさる…。

静恵の制止を聞くわけが無かった。


「生け贄に相応しくなるように、

 片腕を、片足を、そして、片目潰してしまおう。」


カランカランと、バッドの様なモノ地面にこすりつけながら近づいてくる。


「クックック、、、大丈夫、君みたいな子はあと何人か捕まえてあげるから。」


生気の無い目でそう言いながら近づいてくる。

「クックック、、、さあ、良い声で泣くんだよ。」


バッドを振りかぶって足の傍に叩き落す。


静江は、恐怖のあまり声がでない。

失神できたら、どんなに楽か・・・。


「クックック、、、さあ、今度は外さないよ。」


バッドを振りかぶって、片足めがけて落としてきた。


「そこまでだ!」

ガンと鈍い音がして何かが静江の足を折りにきたバットを弾き飛ばした。



そして、棒のようなモノでどす黒い何かが絡みついた人のようなモノを殴り飛ばす。


恐る恐る助けてくれた人を見る。

托鉢僧のような服装に、手に黒い錫杖を持っている。


ふうと、息を吐いている。


そして錫杖を見ている。

そして、これはもう使い物にならんなぁと。

遠い眼をしていた。


そして、此方に向き直る。


「大丈夫かい?お嬢さん。

 こんな時間に路地裏に居るなんて危ないだろう?

 たまたま近くを通り掛かって良かった。」


意外と声が若い。


「ご、ごめんなさい。

 動けなくて、逃げられなかったの。」

立ち上がろうとしてプルプル震えている。


「はあ、そうか、そうか。

 ちょっと我慢しい。」


そう言うと、ヒョイッと静恵を抱える。

「軽いなあ。」


そう言うと、路地裏を出て行く。

「あ、あの…さっきの人は?」


「ああ、それらあっちで伸びてるから大丈夫。」


「あ、あの助けてくれてありがとう。」

「おう。」


そう言うと、人通りの多い表通りの所まで出てきた。


「まだ、人捜しのノルマが終わってないなぁ。」


遠くを見ている、遠い眼で…。

「ここから帰れるか?」


ふるふると首を振る静恵。

「仕方が無いなぁ…」


そう言うと、山のある方に歩き出した。


自己紹介をされる。

どうやら、羽寺というお寺の若い僧侶らしい。

一人では無理と判断した様で他の僧呂の手を借りて色々連絡してみるそうだ。


羽寺に到着する頃には日も沈んでいる。

本堂に通されたいくつか質問をされた。


ご本尊の手に乗っているモノが見えるかどうかとか色々。

言われた方を見たけれど暗くて何も見えなかった。


見えないと答えると少しガッカリしていた。

他にもいくつか質問をされた。

人の周りに付いているモノが見えるかどうかとか…。

言われたようなモノが見えた試しが無いので見えないと答えておいた。

そこでようやく思い出したかのように、名前と住所と連絡先を聞かれた。


父に連絡して貰い迎えに来て貰う。

はあ、やっとこれで帰れる。


迎えに来た父に、抱きしめられる。

「静恵、無事で良かった。」


そして、一人で出たことを酷く叱られた。


助けてくれた僧侶がなだめてくれなかったら、きっとご飯抜きにされていたかも知れない。

羽寺の住職や僧侶達に父と二人でお礼を言う。


羽寺では、人を探しているらしく該当人物が居ないか聞かれたが、父にも心当たりが無いようだった。




---------------------------------------------------------

静恵達が帰ってからの羽寺の僧呂達の会話。


静恵と言う子は翼守人では無かったですね。

邪翼に取り憑かれた男に襲われそうになっていたから、可能性があると思ったのだが…。


あんなに可愛いのに、残念だ…。


縁が無かったことを残念がっていた。


羽寺とか翼守人とか…、また、そのうち出てきます。

登場人物の時系列で矛盾が発生しないようにしようとして、頭こんがらがってます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ