表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どこにいこう  作者: 狐孫
5/11

姫呼びと渾名

 引っ越し先での私は幼稚園なのか寺子屋なのかよく分からない古めかしい集団保育施設に預けられている。


引っ越しから半年ちょっとで引っ越したから、仲良しや親友が出来る気がしない。

また引っ越しすると思うと、別れが近く辛く感じて踏み出せない。


それ以前に、集団保育施設の子達から姫と呼ばれている。

あだなみたいなモノだろうか?

微妙に特別扱いされている気もする。

他の子達は、名前に「ちゃん」付けだったり「くん」付けだったりする。

私も名前呼びが少しうらやましくて自己紹介して、訂正しても次の日には姫に戻っている。


不思議だ。

姫の「ひ」の字も名前には入っていないのに。

それと、何故か分からないが、の施設の大人と接触があまり無い。

不思議だなーと思いつつ、姫と呼ばれるのに次第に慣れていく。

慣れれば、気にならなくなるそんなモノだ。


みんなと外で遊びたくて、外に出ても何故か応援しかさせてもらえない。

軽い遊具すら、運ぼうとすると他の子達が争って持って行ってしまう。

試しに一人で駆け回ってみたら、みんなが寄ってきて。

「姫は走り回らない方が良いよ?」

「なんで?」

「姫だから。」

「え?私もみんなと遊びたい。」

「姫は、みんなを応援してくれると、

 みんな嬉しくて、やる気を出すんだ。

 だから、姫はみんなの応援して。」

「・・・。」

「姫、応援お願い。」

「分かった。応援する。」

そう言って、子達が遊ぶのを見て応援することにする。

確かにすごく嬉しそうにしてくれている。

それだけでも楽しくなる。

自分も一緒に遊んでる、そう思えた。

熱いと思ってると、誰かがおしぼりを持ってきてくれたり。

日傘を差してくれたりする。


意味が分からない。

よくよく、彼らの行動を考えてみると。


男の子も女の子も私を大人から隠すように動いているように見える。


そう思える頃には引っ越しになり。

「姫」と泣く子達を励まして別れを告げる。


次の、引っ越し先の施設でも姫と呼ばれ…、同じような待遇になりそうだった。

子達に新しい呼び名を付ければ特別扱いされないのでは?と幼いながらに考えた。


「あなたは、頭良さそうだから学者ね。」

「姫から、渾名付けてもらえるなんて良いなー」と子達が集まってきた。

え?この子達全部渾名付けるの?

「あなたは、忍者とか似合いそうだから忍び。」

「あなたは、とても心が強そうだから侍ね。」

と、前日みたテレビから適当に渾名を付けていった。

女の子に、姫と付けようとしたら全力で拒否された。

「姫は、貴女しか居ない。」とのこと。

仕方が無いので、踊子と付けた。


子達は、役割が決まったかのようにそれに沿うような行動を取り始めた。

結局、姫の渾名に特別扱いは変わらなかった。

ここでも、諦めるしか無かった。



-------------------------------------------

渾名を付けられた子達は将来、世界で一目置かれる存在となった。

学者と付けられた子は教授になり、侍と付けられた子は古流剣術の師範となった。

踊子と付けられた子は、神楽の舞を舞っている。

忍者は、政府の陰として各国で忍び情報収集をして各国を渡り歩いてる。

けれどそれは静恵とは遠い話…。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ