いじめられっ子の筆夜
どうもミッチーです!
今回から短編連載小説として「最強の龍と弱い人」を投稿していきたいと思います!
投稿ペースはすこしというかだいぶ遅いと思います。
それでもいいよという方はよろしくお願いします。
「はぁ……お前はいったい何度叱られれば気がすむんだ?もう中学三年だろ?お前」
「…すみません……」
「…もういい……戻れ。お前と話すのは疲れる…」
「……はい…」
俺はそう言って、職員室から黙って出た。
ああ……いつもこうだ……
いつも俺ばかりが叱られる……
俺はなにもやっていないのに…
俺はそんな事を思いながら、4階にある自分の教室に戻った。
「お?筆夜くんが戻ったぞ」
教室に入ると、聞き慣れた笑い混じりの嫌な声が聞こえてきた。
こいつは緒方 悠介…いつも俺に絡んで嫌がらせをしてくる奴だ……
まぁ、こいつに限ったことじゃないけど……
「いやぁ~悪いねぇ~、窓ガラス割ったの俺達なのにさぁ」
そう言いながらそいつは俺の近くに寄って来た。
その周りにいる奴らはニヤニヤしながらこちらを座ったまま見ている。
「筆夜くんは本当に優しいよなぁ?みんなもそう思うだろう?」
「そうだなぁ、だけどお人好しも度が過ぎてんな!アハハハ!!」
そいつがそう言うと、周りは一気に笑い声に包まれた。
もう腹がたつ事もない……こんな奴らは無視すればいい。
俺は心にそう言い聞かせて自分の席にむかった。
周りからクスクスと笑い声が聞こえる……
ああ……なんか仕掛けたみたいだ…
今回はなにをやらかしてくれているのだろう……
俺は周りに警戒しながら椅子と机を確認した。
予想通り、イタズラがされていた。
ただ今回は軽い方だ…
椅子と机の上に水がかけられているだけだ。
教科書とノートも少し濡れてるけど、まぁこれもいつものことだ……
俺はため息をつきながらポケットティッシュを取り、机と椅子をふいた。
…………やけに粘ついている…
…どうやら、水じゃなく唾みたいだ。
アハハハ!
周りから聞こえる笑い声が大きくなった。
なんで俺だけこんな目に会わなきゃいけないんだろうか……
キーンコーンカーンコーン……
教室と廊下に帰りのチャイムが響く。
俺はすぐに鞄を背負って、すぐに学校から出た。
やっぱり誰かに目をつけられる前に帰るのが一番だ……
ただ、家にも帰りたくない……
多分今日の事、親に知らされてるんだろうなぁ…
それでまた怒られるんだ……きっと……
神社によって少し遠回りをして帰ろう。
俺はそう思い、少し足早に神社を目指した。
できるだけ周りに人がいない細道を通り抜け…途中、石を蹴りとばしたりしながら歩いて行くと、目の前に大きな木が見えてきた。
もう半分くらいまで来てしまったのか……
通い慣れた神社に行く時、毎日見かけるこの大きな木……
最初見た時は立派な木だと思っていたけれど、今では中間地点としての目印にしか見えない…
こっからはゆっくり歩こう……
そう心の中で呟いてから、俺は一歩足を踏み出したその時……
「痛っ……」
頭にコツンと何かが当たるのを感じた……
いや、コツンというより何かが刺さる感じだ……
いったいなんだろうと思い、俺は落ちてきた物を拾い上げて見た。
それはウニのようにトゲトゲしており、茶色く丸い物だった。
……イガグリ?
もうそんな時期なのか……早いなぁ……
俺はそんな事を思いながらイガグリを手の上で優しく転がした。
「……そのイガグリは我の物なのだ……返してはくれまいか?」
突然、そんな声が頭の中に響いてきた。
俺はその突然の声に、声もなくおどけていると。
「我は上だ……」
という声がまた頭の中に響いてきた。
俺はその声を聞いてからすぐに上を向いた……
そこには……大きなヘビがいた……
いや……ヘビじゃない……
頭に生えている大きな鹿のような角……鋭く尖った爪と牙……そして、緑の鱗。
もしかしてこれは…………龍?
「ほう……我をみても驚かないのか」
驚かない?…これでもかなり驚いてるつもりなんだけどなぁ……
緑の龍は俺に顔を近づけてきた。
「お前…目が死んでいるな……」
目が死んでる……そうか、他から見たらそんな風に見えるのか……俺の目は……
「おい、いつまで我のイガグリを持っている。返せ」
「あ……ご、ごめん……」
俺はそう言ってイガグリを龍の頭の上に乗せた。
すると龍はゆっくりとイガグリを落とさないように頭を戻した。
「され人間よ。もうお前に用はない」
人だけじゃなく俺は龍にも嫌われているのか……
龍に嫌われる……自分のことだけどおかしいな……
俺はそんな事を思いながらその場から離れようとした。
角を曲がる前にもう一度大きな木を見たが、もうそこには龍はいなかった。
「ただいま……」
俺はそう言って重たい玄関のドアを開けた。
「筆夜!あんたまたやらかしたの!ちょっとこちきなさい!」
ああ……やっぱりだ……
きっとリビングにはカンカンに怒った父が居るんだろうな。
俺は母の後ろを、重たい足をずるようについて行った。
そしてドアを開けて中に入るとやはり顔を真っ赤にした父がいた。
「お前は何回やったらわかるんだ!!」
リビングに入った途端説教は始まった。
こっから一時間はもう動けないだろう……
もうそれも慣れた。
聞き流していればすぐに終わる。
「聞いてるのか!!」
「はい……」
「………チッ…もういい!目障りだ!お前なんて二度と見たくない」
……珍しい……こんなに早く説教が終わるなんて。
もう……面倒くさくなったのかな…
俺はそんな事を考えながら二階の自分の部屋に戻ろうとした。
「あんな子産まなきゃ良かったわ」
「まったくだ!」
戻る途中そんな会話が聞こえてきた。
産まなきゃ良かった……
正直こっちが言いたい。産んでくれなくてよかったのにと……
ああ、うざい……
うざくて、うざくてしかたがない…
いっそ全てを捨てて、家出でもしてみようか……
どうせ必要とされていないんだ、誰も困らないだろう。
そんなことしたって自分が死ぬだけか……
人の為に死ぬなんてのは嫌だ。
それなら意地でも生きてやる……!
それから三日がたった……11月20日金曜日。
キーンコーンカーンコーン……
放課後のチャイムだ。
今日も行ってみようかな……
あれから俺は、毎日あの大きな木のある場所に向かっていた。
もしかしたらまた会えるんじゃないか。
そんな事を思っていたが、結局まだあれ以来会ってはいない。
今日……いるかな…?
俺はそんな期待を胸にいつもの道を歩く。
クスクスクス……
後ろから小さな笑い声が聞こえる。
恐らく緒方とその取り巻き達だろう。
あいつらの帰路はこっちじゃないはず……てことは俺をつけてきてるんだろう。
今思ったことだけど、こういう立場だと自分の耳が凄く良くなっているような気がする。
地獄耳って言った方がいいのかな?
自分の悪口だけじゃなくて他の人の陰口なんかもほとんど聞こえてくる。
ただの思い込みなのかな?
そんな事を考えながら歩いていると、もう大きな木が見えてきた。
後ろにはまだ緒方達がいる。
これじゃあ今日は無理だろうなぁ……
ご閲覧ありがとうございました!
これから頑張りますのでよろしくお願いします!