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私の夫は《ネタバレ項目》なのでどうにか足掻きたい

作者: 雲猫’

 何となく第二弾投下。

 あれから結構な時間が過ぎたわ。約………三年は経ったわね。あれから血相を変えた両親と兄や姉がバタバタと足音をたてて医者と共に部屋を訪れたのは――訪れたと言うよりは襲撃の方がしっくり来るけどね――驚いたわ……“私”一応愛されてはいたのね。



 何でも――とある高名予言者に「この子は世界を揺るがす者をこの世に産み出すだろう」とか「この子を愛した者は魔に取り憑かれるだろう」だとか宣ったらしくて……



 それで生まれて五年間放置気味だったわけね。納得したわ……一応はね



 襲撃してきた家族+医者に向かって「誰?」って言ってしまったのが不味かったのか、家族は皆泣き出してしまった……泣きたいのは“私”何だけど……



 ドン引きした私に医者――私は心の中でお爺ちゃん先生って呼んでたわ――が、



「顔色が優れないと彼女達(使用人二人)に聞いたので居てもたってもいられなかったのですよ」



 と、朗らかに言われもっとドン引いた……この五年間っていったい…




 そこまで心配してくれるなら予言者の戯言何かに耳を傾けないでよ……と言いたかったが一応は空気を読んで大人しく揉みくちゃにされていた。


 お陰で本当に疲れからか風邪を盛大に引いたのは……家族の所為も1割はあると思うのよね。




 それからは普通の―――過保護すぎる家族と普通の暮らし―――と言っても我が家は貴族だったみたいで、おおよそ普通とは言えない暮らしをしてました。



 使用人が居るだけで普通じゃないことに気がつかなかったなんて……“私”にとっては普通の事だったのね。混乱してきたわ…





 そして詰め込めるだけ知識を詰め込んで知恵熱を出したり、妖術を試したら兄をピンク色に染めちゃったり……色々とやらかしたけど、心にぽっかり空いた穴を埋めるには足りないと思っていたのよ……何って愛しの彼氏よ。



 そして、私は“私”の未来の夫(推定&予定だが未定)の朱李と出会ったのよ。





 第一印象は……




“ヘタレ”。この一言に尽きるわ





「人と話すときはフリでも良いから目を見なさいよ……俯かない…」


「あう……う、うん」



 なにこの子……か、可愛い!!



 私と朱里の間に子供がいたら…こんな子が生まれてたのかも……生みたかったっ!




 悔しいが、いくら悔しがっても仕方ないのよね。だって肝心の朱里が居なくちゃ……朱李じゃダメなの。中身が朱里ならまだいいけど、別人に気を移す気は起きないのよ……はぁ…




「そ、その………」


「(もっとはっきり言わないと伝わらないよ~)」



 朱里も私に告白してくれたときスッゴク緊張して挙動不審だったわね……懐かしい。





 ヘタレの朱李坊やを生暖かい目で鑑賞(観察とも言う)していると、何処の騎獣――人語を話さない妖怪や人に懐く魔物を飼い慣らした獣――か分からないが私達が居る広場――貴族の子供達の社交場として解放している王宮の庭の一郭――に突っ込んできた。


 逃げ惑う子供達と慌てふためく親たち(家の親余所の親より五割程慌てふためいているが割愛)、私は大人しくその場から離れようとしたが……勢いよく私にぶつかってくる人影が……



「朱李さま!わたくし恐くて立てませんわ!!」



 私と大体同じくらいの黒目黒髪の女の子が固まっている朱李(多分突然の事で頭がパンクしてる)に抱き付いて喚いた。



 うん、君私を撥ね飛ばさん勢いで動けたのにそれ言うんだ……女って子供でも怖いわね。




 そして頼るならもっと頼り甲斐のある人に頼りなさいよ。その子……朱李はヘタレよ。頼るのはお互いに避けた方がいいわよ……



 っていってる場合じゃなかった。



 何か腹に据えかねる事でもあったのか……臆病風を吹かせて我を忘れたのか暴れる騎獣が此方に向かっていていた。



 おい、朱李君や。頭真っ白で居る場合ではないよ。目以外白っぽいけど、ここはさっさと逃げないと全身その君の瞳と同じで紅く染まっちゃうよ……下手すりゃ死ぬよ?



 と、言うよりも早く何故か私に騎獣は突進してきた……え?私の人生ここで終わり?



 物語が始まる前に終わるの?




 ―――――あぁ、それも良いのかもしれない。だって……




「朱里が居ないなら何処だって味気ないわ…」


「!!!!」




 私がその時最後に見た光景は虎に似た騎獣の巨体から護る私と同じくらいの体と飛び散る赤と銀色……それから悲しそうなで泣きそうな紅だった。







 と、まぁ……シリアスに語ってみたけど、要は朱里は朱李でしたって話よ。




「う、うぅぅぅぅ……」

「分かったから離してよ…鬱陶しい」

「嫌だぁぁぁ…今離したらお前の家族に会わせてもらえないから嫌だぁぁぁ!!o(T□T)o」

「……………」




 朱里改め朱李(読みは同じなんだからどっちでもいい気がするわ)はヘタレ度が増して鬱陶しい程になっていた。まぁ……会えて嬉しいけどね!




「分かったから少しだけ力を緩めて……苦しいわ」

「う、わかった…」



 素直に力を緩めてくれた。全く何れだけ力が強いのよ。



 どうも私は騎獣に突進される直前に“朱里”と言ったらしく(覚えていない)それを目敏く聞いた朱李が私に気付いて身を呈して護ったとか……


 だから過保護な家族達も少しだけ容認してるのね……扉の隙間からトーテムよろしく段々になって睨んでるけど……後で扉に鍵でもつけましょうか。




 詰め込んだ知識をフル活用して過保護な家族に聞かれないように防音+立ち入り不可能にしてお互いの状況説明をした。



 どうも朱李の方はついさっき全て思い出したようで切っ掛けは私が名前を呼んだから…らしい。私は自力で取り戻したのに……世話の焼ける彼氏だわ……好きだけど。




 そしてなにも考えずに身を呈して騎獣から私を護った……のに、ピンピンしているってドユコト?






「あ、俺白龍だから」

「あ……え!なにそのチート的な種族!?」




 私の家も大概なチート種族だが――父方は大妖に名を連ねる九尾狐(しかも力の強い白毛)、母方は悪名高い大妖怪・窮寄キュウキの一族――白龍ってこの国では王族である黒龍と同じくらいの貴い種族じゃない。


 しかも遠縁には白の国の王族が居るじゃないの……ますますチートじみてるわ………




 あ、そうか。真エンドで明かされる紅蓮の種族でそんなことも言ってたわね。白龍と九尾狐と窮寄でトリプルチート……原作では最強なのよね実際は。



 真エンド以外では力が発現しなかった所為で発揮できないけれど……それでも充分強いのよね……未来の我が子は。




「思い出したら出したで変な子供に抱き付かれて身動きとれないし、お前は騎獣の突進で危機的な状況だし……咄嗟にあの変な子突き飛ばして間に合ったからよかった…けど」



 いや、女の子向き飛ばしちゃいかんでしょ。例え私を突き飛ばしていたとしても、



「……それにあの子……王の娘だったなんて不幸だ、最悪だ」




 あの子自身は掠り傷も負わなかったが、もしも負っていたら責任もって嫁にしなきゃいけなかったかもと情けない声で呟いた。


 まぁ、そうでしょうね




 何より小さくても女だわあの子……これはライバル出現ね。例え相手が子供でも(あら、私も今は子供だもの…ねえ?)手は抜かないわよ。



 と、そんなこともあっても並居る恋のライバル達を牽制しつつ、結婚できる年齢(両家の親がせめて16になるまでは…と説得して(ウチは泣き付いて)来たので待った)婚約を認めてもらったわ……勿論王族だろうと手出しできないようにあの手この手で……外堀を埋めていったのよ。苦労した甲斐があったわ。




 そして、お互い16歳になった時




 紅蓮コウレン――後のコウちゃんがお腹に宿ってたのよ……



 あの人ヘタレの癖に手が早いのよね……勿論私限定でね♪



 浮気したら……死ぬよりも恐ろしい目に会わせてやるわ♪





 そう決意している横で「((((;゜Д゜)))」と無言で冷や汗を流していた朱李が居たとか居ないとか……




 一時の別れまで後数日








 結論。春麗は強し、朱李はヘタレでした。



 うん、ごめんよ朱李よ。こんなキャラにしてしまって。



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