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No.1

三題噺っぽいことをしてみたいと思い、短編を書き上げて三つに分割しました。

作中で登場しなければならないキーワード、台詞、タイトルは以下の通りです。

キーワードは「魔装銃」「生徒会」「エスパー」

台詞は「剣あるなら使えよ……剣士だろ?」

タイトルは「愛してるのサイン」

「好きだ。付き合ってくれ」


 そう俺が告白したのは数カ月前。あの日の事は良く覚えている。


 気になるあの子に合う前に俺は何度も自分のクセ毛を治そうとして失敗していた。


 パッとしない顔が途端にイケメンに変わらないだろうかと何度も願ったが、いくら魔法が存在するこの世の中でも、そんな都合の良い魔法はない。


 俺はあの日の放課後、体育館裏に気になるあの子を呼びつけた。


 あの子、間島咲は綺麗な黒い髪を背中まで伸ばしており、顔はとても凛々しい。


 大和撫子とはまさにこの子の事だと思う。


 咲に一目ぼれした俺は彼女に告白した時、一本の剣をプレゼントした。


 まぁ、女の子に剣をプレゼントするというのも物騒な話だが、咲が学校で取り組んでいる行事を考えると、きっと役に立つような気がしたんだ。


 彼女はその剣をそっと手に取り、


「私がこれを使うかどうかはあなた次第よ」


 と静かに言った。


 その後、俺は咲が所属する生徒会に入った。



 俺と咲が通っている学校は特殊な学校だ。


 将来ボディガードになるために生徒達は様々な実践訓練を受けている。


 一つ問題なのが、この学校の風紀が大分荒れているということか。


 人は力を持つと変わるというが、本当だな。


 訓練により力を得た生徒達が次第に別の生徒を力で支配し、その行為に快感を覚える。


 そんな不良達を抑えるのが生徒会の仕事だ。


 咲に告白してから数カ月、俺と咲は生徒会で活躍し、咲は生徒会長に、俺は生徒副会長に就任した。


 生徒会に入った俺は咲と時間を過ごすことが増え、咲のことをより良く知ることができた。


 まず初めに、咲は見た目通りクールで、表情のバリエーションがあまりない。


 咲のそんな所が俺としてはカッコイイと思うけど、あまりにも表情が変化しないので、たまに何を考えているのか分からない時がある。


 次に、咲はすさまじくドSだ。


「不良達を取り締めるために現場証拠が欲しいからボコられてきてくれない?」


 と平然な顔をして俺に言い放ち、本当にそれを強要する。

 

 そんなことを言われて何度も抗議するも、最終的には実行する俺はMの気質があるのかもしれないな。


 仕方ないじゃん、咲に惚れてんだよ!



 照りつける太陽の中、俺は校舎の周りを全速力で走っていた。


「テメェ逃げてんじゃねーぞ!」


 俺のすぐ後ろから怒号と幾つもの足音が聞こえる。


 後ろを振り向けば、俺と同じ制服を着た男達が約十名追ってきている。


「作戦通りだよチクショウ!」


 走り続けて三十分、いい加減体力の限界だ。


 だが、後ろから走ってくる男達は懐から魔装銃を取り出し、容赦なく魔弾を撃ってくる。


「っ!」


 俺はすぐさま近くの曲がり角を曲がり、魔弾の雨をやり過ごす。


「おい、咲! まだか!」


 曲がった先の道を直進しつつ、俺は耳に取り付けた無線から咲に連絡を入れた。


『まだよ、むしろもっと時間を稼いで』


 無茶ぶりが半端ないです咲さん。


「いい加減にしろよこの野郎!」


 飽きずに後ろを走る不良共が俺に向かって魔装銃を撃ってくる。


 魔装銃は所有者の魔力から弾を生成し発射するので、普通の銃のように殺傷力はない変わりに弾数は使用者の魔力が尽きるまで無尽蔵に生み出せるから厄介だ。


 俺はもう一度曲がり角を曲がると、道に止められたゴミ収集車を発見する。


「……後で始末書書くしかないよな」


 ゴミ収集車に右手をかざし、手を握って一気に不良共に拳を振るう。


 すると、ゴミ収集車に回収されていたゴミが何かに引っ張られるかのように勢いよく飛び上がり、不良達に覆いかぶさる。


「な、お前、エスパーか!」


 ゴミの山に埋められる瞬間、不良共がそう叫んだ。


 俺達の学校は生徒が入った際に生徒一人一人に適性検査を行い、生徒の素質に合った職種を割り当てられる。


 主な職種は三つある。剣士、魔銃士、そして適正者がほとんどいないエスパーだ。


 エスパーはかなりピーキーな職種だが、離れた物質を動かすことができ、催眠術を行うこともできる。


 不良共の動きを奪ったのを確認し、俺は咲が待つ学校へと走った。



 学校裏にある倉庫に辿り着くと、既に咲が待っていた。


「早かったわね」


 クールに言う咲は相変わらずカッコイイな。


「手下共は遠くで巻いたからしばらくは大丈夫だろ」


 息を整えつつ俺は咲に報告し、咲は頷く。


 咲は学校指定の半そでのワイシャツとスカートを履いており、肩には代々生徒会長にのみ授与される真っ黒なコートを羽織っている。


 風が吹き、少しだけはためいたコートの隙からは、俺が咲に上げた剣と元々咲が持っていた剣が、腰に装備されているのが見え隠れする。


 告白をして数カ月経ったが、咲から返事はもらってない。


 プレゼントした剣は受け取ってもらえたが、咲がその剣を抜いた事は一度もない。


 ち、認められていない証拠なんだろうな。


「蓮君、準備は良い?」


 名前を呼ばれ、俺は頷く。


「いつでも」


 俺は動きやすいようにブレザーを脱ぎ捨てる。


 俺と咲はこの学校の不良全体を指揮しているリーダーを抑えるために手下達を倉庫から遠ざけ、決着を着けるべく今に至る。


「不良達のリーダー、島崎豪は学内でトップレベルの剣士よ。そして島崎といつも一緒にいる清水薫は魔銃士、同じく学内トップの成績を持っているわ」


 島崎豪はこれまで他校と問題を起こし、退学処分寸前の状態だ。俺達生徒会はあくまで生徒の味方。生徒の退学処分を未然に防ぐためにも島崎豪に罰則を与え、退学処分から救ってやりたいのだ。

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