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Freedom Online  作者: 木成 零
第一章 --ゲームスタート--
7/60

7話

 そんなわけではじまりの草原に来た。だが、辺りを見回しても肝心のヤツが見当たらない。

 まぁ最初からそんな簡単に出るなんて思ってないけど……いや、それでも今日は少ない。こういう時に限ってポップ率が低い日かよ。

 ポップとはMobが出現する(湧出する)事だ。

 FOは一日一日ポップ率がバラバラで、多い日もあれば少ない日もある。しかしこれは、狩場によっても違うため別の狩場に行けば大丈夫な訳だが……俺は今このはじまりの草原のボスを倒しに来ているので別の場所に行くということは出来ない。だからとにかく探す。

 それから探し回ってようやくランニングバードを一体見つけた。


「ランニングバードかよ。まぁいいや、何もしないよりましだからな」


 ランニングバードはまだこちらに気付いていない。俺はそのまま気付かれないようにそっと後ろから近付く。そして急所である首を狙って『スラッシュ』を打ち込む。

 不意をつかれ、急所を斬られたランニングバードは悲鳴を上げながら青い破片となった。その直後、



『スイングスキル、ダブルスラッシュが使えるようになりました。』



 という音声と表示が出た。

 ナイスタイミング! あの青い熊に使えるじゃん。でも、その熊が出ねぇ……何かの条件でもあるのか?

 仕方なく探索を続けてゴブリンなどを倒した。

 それにしても今日はMobの出現率悪いな。ポップ率の低さだけじゃないぞ。何かあったのか?

 その後二体目ランニングバードを倒し、アイテムを確認した。



『亜人の肉』3『犬の毛皮』1『猫の毛皮』1『走鳥の肉』2『走鳥の羽根』1



 アイテムを確認し終えてウィンドウを閉じた時、遠くで声がした。

 俺は慌てて声のした方へと向かうと俺の探していた熊に誰かが襲われていた。

 近付いて行くと襲われていたのが一人の少年と少女だと言うことが分かった。多分俺より少し年下だろう。

 あの二人は狩りに来ていたんだろう。まぁここに来るには狩り以外にほとんど有り得ないけど。

 そうか、今日モンスターが少ないのはあの二人が狩ってたからか。これで納得だ。

 二人にカーソルを合わせてみると、二人ともHPがレッドゾーン間際だった。

 急いで応援に駆けつける。


「大丈夫か!」


 見るからに大丈夫そうじゃなさそうなのは見れば分かる。でも、こう言っておかないと二人が反応できないだろう。

 素早く二人と熊の間合いに入り、剣で熊を抑える。


「今のうちに離れて!」

「は、はい!」


 二人が離れていったのを確認すると、あることを思い出す。


「そうだ、申し訳ないんだけど、パーティーに入れてくれないか」

「え、あ、何でです?」

「後で説明するから」

「わ、分かりました」

 俺は剣を思い切り押し込み熊を後ろに下がらせ距離をあけてから、少年にパーティー参加要請を送った。

 少しして承認されたことを確認すると再び戦闘態勢に入る。熊の方に動きが無いと判断した俺はこちらから動くことにした。

 ――今度こそお前を倒す!

 心の中でそう叫び動き出す。

 ウォーターベアーに向かって走り出すと早速『ウォーターミサイル』を放ってきた。おいおいいきなりかよ、と思いつつ『ジャンプ』でそれを飛び越える。

 ウォーターベアーも頭がいいのか、それとも偶然なのかは分からないが、着地の瞬間を狙って再びミサイルを放ってきた。俺はあと地面に着地するしか出来ないので避けることなど無理だ。

 俺が着地したのとそのミサイルが俺に当たったのとはほぼ同時だった。

 俺は『光防』があるのでそれほど気にせず距離を詰める。それでも一応HPを確認しておく。

 四分の一か、『光防』があってもそんなにくらうのか。コイツの攻撃力高すぎだろ。油断はできないし、そこまで何度も攻撃を受けられないな。

 接近したところでスイングスキルを使いたいが硬直時間が生じるため攻撃をたくさん受けられないこの状況では使えない。使ったところでやられるのは目に見えている。上位のスイングスキルだと五秒ぐらいの硬直時間は稼げるのもあったりする。だが『スラッシュ』や使えるようになったばかりの『ダブルスラッシュ』はかなり下位のスキルだ。ただただ攻撃を当てる事を重視して、その後に訪れる硬直時間は敵に自由にさせてしまう。そのため今は自分が思ったままに剣を振っている。前にやっていたVRMMOを思い出して。それでも通用するかは分からないが、とにかくやってみる。


「うおぉぉぉぉぉ!!!」


 俺は思い切り雄叫んで気合いを入れる。

 まずは右から左への横薙ぎ、そして左下から右上に斬り上げる。ここで一旦『ステップ』で左へと動く。狙い絞らせないためだ。そこまで効果は無いかもしれないが、ずっと正面で攻撃するよりマシだ。

 その動作を数回繰り返したら熊のHPがイエローゾーンに入った。すると今まで動かなかった熊がここにきてようやく動いた。 


  ☆  ★  ☆  



「すごいねあの人」


 前の方で行われている戦闘を見て少女が少年に言った。


「うん、そうだね」


 今僕たちの前では助けに入ってくれた人が熊と戦っている。

 僕たちはLvを上げるためにはじまりの草原でMobを倒していた。そしてランニングバードを倒した時に奥の方からやって来たあの青い熊に襲われたんだ。

 今はポーションを飲んでHPは満タンだ。だから少しでも近くで戦闘を見る。


「ねぇストル。あの人とパーティー組んでみたいんだけど」


 少年は前方を見つめながら答えた。


「僕もだよ。後で頼んでみる」


 少女は僕の方を向いて聞いた。


「あの人はレベルどれぐらいだと思う?」


 その質問に僕は『さぁ~?』というように肩をすくめて答える。


「どうだろう。でも、僕たちより高いのは明らかだね」


 僕たちは今Lvは5だ。だからあの人は8ぐらいだろうか? それにしてもβテスターなのかな? そうだったらあの強さは分かるけど、そうじゃなかったらなぜなんだろう。リアルでも何かやってるのかな?

 などと考えていたが分からないので考えるのを諦めて前方の戦闘に意識を戻した。

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