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くらんくらうん  作者: バラ発疹
ぶきような人々
8/62

第三話「以心電信」01および02で

 第三話「以心電信」


     01


 街は初夏と言っても過言ではない暑さをまとっている。

 そんな時期のお話。

 あの電波ショーから一週間、カッ子のマンションのリビングにある巨大な液晶テレビのスクリーンの中では、かのウドレンジャーがゲリラ活動を行っている。

 この、朝から憂鬱になりそうな番組が終わると、次は仮面ソルジャーという、これも変身ヒーロー物の番組が放映されるのだが。これらのヒーローが変身するために使用するアイテムが、今回の話の中心になる。


「・・・・・・(笑)」

「今週のウドレンジャー最高だったー! ゾンドックが、ウドレンジャーをまさかの幹部起用! 来週が楽しみ!・・・と言ってる」

「お前ら朝からこんなもん見てると、アホになるぞ」

「・・・・・・(怒)」

「ブッチョは見てなくてもアホじゃん。・・・と言ってる」

「「ライ丸ちゃん達、女の子がそんな言葉づかいしちゃいけません。ブッチョさんはちょっとアレですけど、アホじゃありません!」」

 などといつものようにコントを繰り広げる四人。

 ほどなくして、テレビから仮面ソルジャーの歌が流れ出す。

 仮面ソルジャーは、やはり怪人と戦うヒーロー番組なのだが、ウドレンジャーの5人とは違い主に1人で戦うことになる。姿かたちも仮面ソルジャーの方が、昆虫をモチーフにしていて格好が良い。

 しかし、そんな似ても似つかない二種類のヒーロー達の共通点にブッチョは気づく。


「あれ? こいつも携帯電話で変身するんか?」


 そう、ウドレンジャーは携帯電話を掲げ、仮面ソルジャーは携帯電話を腰に当てて変身するのだ。

 それに連鎖するようにカッ子も気づく。

「「そうだ! ブッチョさんが携帯電話持ってないから、私が迷子になったとき困るんですよ!」」

 迷子になる方が悪いのだが、とんだとばっちりである。

「・・・・・・(解)」

「なるほど。カッ子姉ちゃんが迷子になった時、連絡が取れれば館内放送で呼び出される事もないね。・・・と言ってる」

「ん? そういうもんか? 携帯電話持ったことないから、気づかんかった」

 ブッチョは別に、理由があって携帯電話を持っていなかったのではなくて、ただ必要なかっただけの寂しい男なのである。

 しかしカッ子も、電子マネーの支払い以外で携帯電話を使用することなど皆無に等しいのであった。

「・・・・・・(笑)」

「じゃあ今日は、ブッチョの携帯を買いにいこう!・・・と言ってる」

「は? いや、そっか、必要なら買ってもいいか」ブッチョは、まさか携帯電話が必要になるとは思ってなかったので少し戸惑う。

「「じゃあ決まりですね。今日はヘイデン社に行きましょう」」

 ヘイデン社とは、ここ愛知県を中心に展開する大型家電量販店である。家電から、ゲーム、おもちゃに家具までなんでもあり、一日いても楽しい店舗なのだ。場所も、ジョスコの近くという利便性の良さもポイントだ。

 

 こうして一行は、ブッチョのはじめての携帯電話を買いに行く事になったのである。


     02


「「じゃあヘイデン社へ出発です!」」と元気良く叫ぶカッ子を。

「ちょっと待て!」とブッチョが止める。

「「はい? なにか忘れ物ですか?」」

「いやいや、今までスルーしてきたが、カッ子お前いつも同じ格好してないか?」

 そう言われて全員の視線がカッ子に集まる。

 なるほど、いつものノーメイクにボサボサ髪、上下ジャージにパーカーを羽織っている。見慣れた光景なので、疑問に思わなかったが、カッ子が他の服を着ているのを見たことが無い。

「「なっ! ちゃんとクリーニングしてますし、同じ服4着ずつ持ってて、毎日着回してるんで汚くないですよぉっ!」」

「って、そういう事を言ってるんじゃなくて! てか4着ずつもあんのかい! お前はアニメキャラか?!」

「「ブッチョさんだって、いっつもジーパンにTシャツじゃないですかぁ!」」

「いやいや、俺だって3着ずつ違うのを着回してるし、ジーパンだって1回履いたら洗濯するぞ!」以外とキレイ好きらしい。

「・・・・・・(汗)」

「もう、ふたりともケンカしちゃだめだよ!・・・と言ってる」

 心配をするライ丸達を指さしてブッチョは言う。

「見てみろ! ライ子はしょうがないとして、丸美は毎回違う服を着てきてるだろ!」確かに、丸美が同じ服を着ている事はあまりない。

「・・・・・・(怒)」

「お姉ちゃんだってライオンの皮3着を洗濯して着回してるぞ!・・・と言ってる」

「!!!」「「!!!」」まさかの事実にブッチョもカッ子も驚愕する。

 結局、カッ子の持っている服は、ジャージ以外は礼服しか無いことが判明。カッ子の服の購入はまたの機会ということになった。迷子阻止の為の携帯電話を購入するのが先、という結論に達したためだ。

 

 で、出発したのだが、今回は最初からみんなで手を繋いで行ったため、何事もなくヘイデン社に到着した。何事もないと逆に不安になる一行であった。

 

 

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