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くらんくらうん  作者: バラ発疹
ぶきような人々
7/62

2話の03と04で

     03


 そして日曜日。

 ジョスコへの道すがら、ブッチョはすでに後悔していた。

 バイトが終わったのが朝6時。

 着替を済ませ、全員がカッ子の家に集合したのが7時半。

 みんなで朝食を済ませ、ジョスコに向けて出発したのが7時45分。

 そのまま行けば、到着は予定時刻よりも一時間も早い。

 はずなのだが。やはり、というかカッ子の神がかった迷子能力のせいで、いまだ到着には至っていない。

 現在8時半。カッ子の姿はここには無い。

「・・・・・・(汗)」

「どうしよう、本気でカッ子お姉ちゃん行方不明だよ。・・・と言ってる」

「とりあえず、一度戻ってみるか。てかあいつ迷う理由がマジハンパねえよ」

 カッ子は、ここに至るまでに二度迷子になっているのだが、その理由が毎回違っているのだ。

 一度目は、突然思い立ったように一人でコンビニに立ち寄り、みんながいないのに気づきパニック状態に。

 二度目は、猫を発見してそのままふらりと追いかけて、柵にハマり動けなくなる。

 はたして今回はどんな理由で迷子になっているのだろうか。

 と、たいして楽しくもない事に考えをめぐらせていると、前方で二人の警察官ともめている人を発見する。

「あれ? なんか前にもこんな光景見たような気がするが。デジャブか?」

「・・・・・・(汗)」

「いや、たぶんこれは確実に前にもあった光景ですな。・・・と言ってる」

 そう、警察官ともめているのは、迷子の子猫ちゃんならぬ迷子のカッ子である。もし警察官が犬のおまわりさんだったとしても、相手がカッ子だと、困ってしまってワンワンする前にガウガウ言って威嚇することだろう。

「よし、他人のふりしてやりすごすぞ」

「・・・・・・(汗)」

「了解。今日はカッ子姉ちゃん来られなかったってことで。・・・と言ってる」

 そう言って、まわれ右する三人。

 すると、背後から聞きなれた声が。「「あっ! あの三人です! ブッチョさんライ丸ちゃん達、助けてくださいよぉ!」」見つかったようだ。

「ぐはぁ! 呼ぶんじゃねえよ! 知り合いだと思われるだろ!」


     04

 

 警察官に呼ばれる三人。事情聴取の幕開けである。

「で、君が旦那さんで、そちらの二人がお子さんですか?」第一声からおかしなことを言い出す警察官である。

 それを聞いてブッチョは警察官に言う。「は? なに言ってんの? お前頭おかしいの?」たぶんお前の方が頭おかしいのだろう。

「いや、この女性が、旦那さんと子供達が迷子になったと言っていたので」さすが警察官、ブッチョの暴言にも毅然とした対応できり返す。

「・・・・・・(?)」

「え? カッ子姉ちゃんそんな風に説明したの?・・・と言ってる」

「「だって、そう説明した方が早いと思ったんだもん」」

 それを聞いて、もう一人の警察官が出きて言う。「おい女! それじゃ本官に嘘をついたと言うことかぁ!」

 突然怒り出した警察官に、唖然とする5人。4人ではなく5人である、毅然とした警察官も唖然としていた。

「すまん君たち、この人は警察の中でも少し問題のある人なので気をつけて」と怒った警察官に聞こえないように小声で、ありえないアドバイスをしてくる。

「なにをこそこそしているのかね。あまり本官を馬鹿にすると撃っちゃうぞ」おそろしい事を言う警察官もいたものである。

「あ?やっぱ頭おかしいだろ。てめえどっかのマンガの拳銃バンバン撃つ本官さんか?!」

 なるほど本官さんは鼻の穴は二つあるものの、目は左右がつながってしまいそうなほど見開かれている。

「「ぶ……ブッチョさん、国家権力にたてつくのやめましょうよぉ。本官さん目つきがヤバいですよぉ?」」

「・・・・・・(恐)」

「おぉぅ、まじめに撃ってきそうで恐い。・・・と言ってる」

 その様子を見ていた、毅然とした警察官が補足説明をする。

 あの本官さんは、過去に2度拳銃で問題を起こし、若手の頃殺人犯を射殺した経歴を持っているという。

「ぶっ! 本官さんマジヤバい人じゃん! てか人殺しはじめて見た!」と、ブッチョが空気を読めない発言をすると。

「「へぇ、人を殺すってどんな感じなんですか?」」と、さらに変な食いつき方をしたカッ子が追い打ちをかける。

「失礼な!本官は犯人に正義の鉄槌を下しただけである!断じて人殺しなどではない!」正義の鉄槌とは良く言ったものである。

「そう言えば昔。殺し屋のことを、ターゲットを”消す”って意味で”イレイサー(消しゴム)”って言ってたドラマか映画があった気がするから、これから本官さんの事をイレイサーの”レイさん”と呼ぼう!」ブッチョの最低あだ名付け芸の本領発揮だ。

 「ほう、なかなか格好の良い名だ。これから本官のことをそう呼ぶがいい」殺し屋警官レイさんの誕生である。

 

 あきれかえるもう一人の警察官に、多少の警告を受けた後にようやく解放される。


「・・・・・・(疲)」

「ようやく行けるよ、てか早く行かないと時間がないよ!・・・と言ってる」

 時計を見ると、9時までは後5分しかない。

 これ以上のタイムロスは許されないので、四人で手を繋いで行くことになった。

 その後無事にジョスコに到着。結局今日の目的は11時からのヒーローショーだと判明するのだが、なるほどすでにショー目当ての行列ができていた。

 ショーがはじまるまでの時間ブッチョは、眠気と戦いながら、レイさんの言う”正義”と”殺人”と言う言葉が微妙な違和感を持って繋がらないでいた。

 まあそんな違和感も、もうしばらくで始まる電波ヒーローショーのおかげで混沌の中に埋もれてゆくことになるのだが。


 ショーも終わり、余韻に浸りながら会場を後にする観客達。

 カッ子がいない事に気づく三人。

  

 ピーンポーン

『迷子のご案内です……』

 カッ子お得意のネタで、今日の行事が締めくくられる。


     第2話了 

  

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