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くらんくらうん  作者: バラ発疹
ぶきような人々
14/62

03と04おまけで05で了

     03


「で、今日の対戦相手は強いのか?」

「「いいえ、たぶん私達とおんなじ位の強さだと思います」」それを言うなら強さではなく、同じ位の弱さであろう。

「・・・・・・(汗)」

「うーん、ぐだぐだの予感。・・・と言ってる」

「「まぁ正直なところ、相手のリーダーがウザすぎて相手したくないというか……」」

 メンバーが来ないのも、そこらへんも理由のひとつのようだ。

 カッ子の話によると、相手のリーダーはいわゆる粘着質らしく、いやがらせの様にしつこくまとわりついて来るらしい。

「「しかもハンドガンしか使わないんですよ」」

 ハンドガンは、どの武器を選択しても持っている二つ目の武器である。

「ほう、あんな使いづらくて弱い武器を使うって事は、そいつは上手いのか?」

「「いえ、たぶん今日やるメンバー、敵味方全員の中で一番下手くそです」」

「・・・・・・(驚)」

「えっ!? 意味がわからないんだけど。・・・と言ってる」

「「とりあえず、始まればわかりますよ。っと来ましたね」」

 テレビ画面を見ると、名前が二人増えている。

 表示された名前は、ヨシオとマサミと書いてある。

「普通か!?」意味不明なツッコミである。普通のどこが悪いのだろうか。

 クランのメンバーはこれで全部らしい。しかしカッ子は、これといってなにもせず待っている。

「おい、なんかしゃべるとかメッセージ送るとかしなくていいのか?」

「「え? はい、私この人達と喋った事無いですし、勝手に始まりますよ?」」それでチームとはよく言ったものである。コミュニケーションは、たまにゲーム機のメール機能でやりとりする程度らしい。


 そんなやりとりをしているうちに、テレビ画面の自分達の名前の反対側に、名前が6人分一気に表示される。どうやらこの6人が今日の対戦相手らしい。

 その名前を見て、カッ子が、「「あれ? 相手のリーダー名前が変わってる」」

 カッ子が指さした名前は”103”と表記されている。

「あんま嫌われすぎて名前変えたんじゃね?元の名前は何だったんだ?」

「「ん? あれ? あまりにも忌まわしすぎて、記憶から消え去っちゃいました」」そこまでウザいらしい。

「・・・・・・(笑)」

「そろそろ始まるみたいだよ。・・・と言ってる」


     04


 テレビ画面では、カウントダウンの後、廃墟の街並みとセクシーな女性がメンバー分表示される。ゲームのスタートだ。

 開始直後、全員がダッシュで散会する。

 しばらくすると、銃声が聞こえ出す。どこかで、戦闘が起こっているようだ。

 ブッチョが銃声のする方へ走っていると、ひとつ向こうの道を、ハンドガンを撃ち続けながら、あさっての方向へ向かって行く敵を発見する。

「はい? なにやってんだあいつ」この距離ではショットガンは当たらないので、つけてみる事にする。

 キャラクターが視認できるようになると、その頭のうえに名前が出るのだが、その挙動不審者の頭には”103”と表示されている。

 ほどなくして、プレイヤー103に追いついき、ついでにショットガンで倒してしまう。

「? 今の奴なんか意味あんのか?」と疑問に思っていると。

 ポコン! とテレビから気の抜けた音がする。

 このゲーム機は、メールが来ると今の音で知らせてくれるらしい。

「なんだ? こんなときにメールか?」と言いつつメールを確認してみる。

 メールはボイスメールだった。ボイスメールとは、文字ではなく音声を送れるメールである。ブッチョはとりあえずメールを再生してみると。

『貴様も我が輩の邪魔をするのか。ゆるせん! 呪ってやる!』とのこと。

「ぎゃあ! 怨霊戦線!」

 それをとなりの部屋で聞いていたカッ子が「「あぁブッチョさん、やっちゃいましたか。これから執拗に追いかけられますよ」」

「え? なにこれ? リアルサイバーホラーなの?」

 と言っていると、前方からハンドガンを発射しながら、頭に103と書いたキャラが走ってくる。


 このゲームは、一人敵を倒すと10点チームに入り、どちらかのチームが750点取るか、30分の制限時間の終わりに点数の多いほうが勝つというルールなので、やられても数秒の後にすぐに復活するのである。


 ブッチョは、走ってくる103を難なくショットガンで倒す。

「ま、どってことないな」

「「いえ、これからですよ、本番は」」

 その後も幾度と無く向かってくる103を、楽勝で倒すのだが。

「えっと、ちょっとヤバい! うわっ!」ブッチョが他の敵の相手をしているときに、たまたまタイミング良く103が来て、ブッチョは倒されてしまう。

「むむっ、なんだかむしょうに腹が立つんだが」

「「そうなんですよ、たまに運悪くやられるとムカつくでしょう?」」

 そんな会話をしていると、丸美のテレビからもポコン! と音がする。どうやら丸美も103を倒したらしい。丸美が、メールを再生すると。

『貴様も我が……うっ……やっ……おぃ……ごめんなさい』復活した瞬間に丸美に倒されるらしい。どうやら4回目で屈服したようだ。丸美おそるべし。


 ライ丸姉妹のコンビプレイはすさまじく、建物内を移動しながらライ子が丸美を守りつつ、丸美が遠距離攻撃で敵を倒す。

 そんな感じで、どれだけの点差があるのか確認してみると。

 630対630。

 なぜか同点である。

「・・・・・・(怒)」

「ブッチョとカッ子姉ちゃんやられすぎ!・・・と言ってる」

「面目ない」「「面目ない」」ブッチョはまだしも、カッ子もへたくそだった。

 影の薄いヨシオとマサミは、名前と同じでスコアも普通である。

 そんな事を言っていると、時間切れのアナウンスが流れる。それと同時に画面に”サドンデス”と表示される。

 時間切れ時に同点だと、時間が10分追加され、復活が無くなるのだ。

 もう復活しないとなると、全員慎重になるが、カッ子とヨシオとマサミが一人ずつ倒して、自らも倒されていた。

 後はライ丸姉妹で終わり、かと思いきや。一人倒した直後、丸美をかばったライ子が倒れ、そのまま丸美も倒れてしまった。

 ライ丸姉妹を倒した敵は、駆けつけたブッチョが倒したのだが。

 気がつくと、ブッチョと103の一騎打ちになっていた。

 そこでブッチョにボイスメールが届く。

『やはり貴様とは決着をつけねばならぬようだな。決闘を申し込む!』いや、すでに1対1なので決闘なのだが。

 

     05


 そんな流れで、なぜか画面ではブッチョと103のキャラが、近距離で背中合わせで立っている。

 どうやら西部劇風の決闘で勝負をつけようというらしい。

 スリーカウントで同時に振り向き、撃ち合って立っていた方の勝ちである。

 このゲームにカウントダウンの機能はないので、どうするのか相手のメールを待っていると。

 ライ丸達が指を三本出して。

「・・・・・・(笑)」

「スリー・ツー・ワーン・・・と言ってる」と勝手にカウントダウンを始めた。

 ブッチョはそれにつられてしまい振り向き、ショットガンを放つ。

「あ!」「「あ!」」

 本日の勝負は[HDKS]の勝利である。

 勝手に振り向いただけではなく、ハンドガンに持ち換えるのを忘れてショットガンでとどめをさす。という卑怯極まり無い幕切れであった。

 案の定『き……貴様ぁ! 卑怯な! ゆるさんぞおっ!』というメッセージが送られてくる。

 ブッチョがショットガンを放ったと同時に来たメールでは『ゲーム画面の下に表示されている時計が、残り5秒になったら開始だ!』と、なかなか燃えるシチュエーションを考えていたらしいので、怒りも倍増であろう。

 で、次のメールでは『貴様を一生呪ってやる!いや、本官の拳銃の錆にしてくれるわ!』

「ん?」「「ん?」」「・・・・・・(?)」「ん?・・・と言ってる」

 どこかで聞いたしゃべり方である。

「あれ?この変人ってもしかして……」

「・・・・・・(汗)」

「あぁ、ブッチョが前にヒドいあだ名付けて、それを気にいってた変人警察官だね。・・・と言ってる」

「「なるほど、それでハンドガンしか使わない変人なんですね」」

 ブッチョが付けたあだ名は”変人”ではなく”殺人警官イレイサーのレイさん”であった。

「・・・・・・(!)」

「それで103(イレイサー)か! ってどんだけ気に入ってんだよ!・・・と言ってる」

「いや、なんか気に入ってくれてると、それはそれでちょっとうれしいような」

「「あっ、私も”カッ子”って結構気に入ってますよ?」」

「・・・・・・(怒)」

「私たちのは気に入らないけどな!・・・と言ってる」

「俺のも気に入らねーよ!」

 といつもの調子で、グダグダに終わっていくのであった。

 

 第4話了

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