第おまけ話「顔出しNO GOOD」
※はじめにお読みください。
この話には挿絵が入っております。
もともとノベルゲー用の物語なので、キャラクターのデザインがあります。
しかし、小説という媒体で、キャラクターのビジュアルを固定するのは本望ではありません。
話的には第3話の続きの体ですが、物語の本筋に必要な情報は含まれていません。
まぁ、どうでもいい小説にどうでもいい絵が付いただけなので、気にすることではありませんが。
素人の描いた絵を見るのが苦痛な人は、ぜひ読み飛ばしてください。
第おまけ話「顔出しNO GOOD」
01
ある日の昼食時の光景。
今日の昼食は、定番のマグドである。
定番で大量のマグドである。
「・・・・・・(笑)」
「うまい! マグド最高! 発明した人は神!・・・と言ってる」
「「それじゃ、わたしもいただきましょっと」」
そんな食事風景の横で、一人携帯電話をいじるブッチョ。
カッ子がハンバーガーを口にくわえたと同時に。
ピロリン!
電子音と同時に、ブッチョの携帯電話の画面に、カッ子とライ丸姉妹の写真が保存される。
「「わっ! いきなり写真撮るなんてマナー違反ですよブッチョさん!」」
「・・・・・・(笑)」
「えっ写真撮ったの? 見せて?・・・と言ってる」
「わりぃわりぃ。携帯で写真撮れるって、今気がついたから撮っちまった」
「「もう、ちょっと見せてください」」
カッ子はブッチョの携帯を取り上げ、写真をチェックする。
「「!!!」」ピッ。即削除である。
「えっ? 今消したの? 勝手に消すのはマナー違反じゃねのかよ!」どっちもどっちである。
「ちゃんと撮ればいいんなら、これから撮影会だ!」
こうして、なんの脈絡もない撮影会のスタートである。
02
トップバッターはカッ子である。
カッ子はなにやら、奥の部屋でゴソゴソやっている。
待つこと10分、いよいよライ丸達からあくびが出始めた頃にカッ子は出てきた。
「「おまたせしましたぁ。じゃあ始めましょうか」」
そう言いながら登場したカッ子は、セーラー服のコスプレに羽根が生えていて謎のステッキを持っている、という出で立ちであった。
「・・・・・・(汗)」
「……・・・と言ってる」
「「あっ、あれ? ライ丸ちゃん達なら、このステッキわかってくれると思ったんだけどなぁ?」」
「・・・・・・(哀)」
「ごめん、カッ子姉ちゃん。ステッキはいいけど、なんかもうどっ散らかっててパニックだよ。・・・と言ってる」
カッ子の話では、”鈴宮ハヒルの鬱憤”とか言う大ヒットライトノベルの主人公のセーラー服に、なぜか羽根を背負い、手持ちぶさたなので少女アニメのステッキを持った。とのことだった。
「どう見ても、いい年した女がセーラー服着て、はしゃいでるようにしか見えないので10点」
「「え? 10点満点で?」」
「アホか! 100点満点中だ!」どうやら採点されるようだ。
「じゃあとりあえず撮るぞ」
「「えっ? ほんとに撮るんですか? ちょっと待ってください」」
ピロリン!
「「あっ、もう撮っちゃったんですかっ? 中途半端な感じになってないですか?」」といいながら携帯をのぞき込むカッ子。
「「やっぱり中途半端……っていうか、これってまさか、手抜きですよね?!絶対手抜きですっ!完全に線が適当ですもん!」」
なにを言っているか解らないが、断じて手抜きなどではない。面倒くさくなっただけなのである。
「なに言ってんだよ! 写真に手抜きもなにもあるか!」
「・・・・・・(笑)」
「あははは。ほんとだ、完全に手抜きだね。・・・と言ってる」失礼なガキである。
「お前ら! そう言うツッコミを入れるのはルール違反だぞ! 自重しろ!」こんな小説に、ルールもへったくれもあったもんじゃない。
03
で、次はライ丸姉妹である。
「・・・・・・(笑)」
「カッ子姉ちゃん、よぶんな事するからあんな結果に終わるんだよ。・・・と言ってる」
「「だってぇ、こんな時ぐらいしかコスプレ着る機会なんてないんだもん。ライ丸ちゃん達もなにか着る?」
「・・・・・・(汗)」
「いや、遠慮しときます。イタい結果になるのは目に見えているので。・・・と言ってる」
子供の目にも、カッ子のコスプレは相当イタいらしい。
「じゃあ撮るぞ」
「・・・・・・(!)」
「えっ! ちょっと待ってよ! 前振りもうおわり? 採点とかしてないし。・・・と言ってる」
「あぁ、お前らすでに出落ちだし、採点はもう飽きた」
ピロリン!
「・・・・・・(汗)」
「よっしゃ、とりあえず顔だけはいい感じに作れたと思う。・・・と言ってる」といいながら携帯をのぞき込む。
「・・・・・・(怒)」
「てか、私たちのは顔だけかい!絶対からだ描くの面倒くさかったの見え見えじゃねえか!・・・と言ってる」さすが自称エスパー、わかっていらっしゃる。
「もう俺はフォローしないぞ」
04
なんだかんだでブッチョの番である。
「これで撮影会はおひらきだな」
「!!!」三人はブチギレである。
「・・・・・・(怒)」
「お前、自分だけ逃げようったってそうはいかねぇぞ! お前もガッカリ写真とれ!・・・と言ってる」
「「そうですよぉ! あんなにひどい写真撮られたんですから、ブッチョさんも撮ってくださいよぉっ!」」
「わかった、落ち着けお前ら!それじゃあ四人の集合写真を撮ろう。それでいいだろ?」
「・・・・・・(苦)」
「なんか釈然としないけど、まぁいいか。・・・と言ってる」
「「しょうがないですねぇ。それで手を打ちましょう。じゃあみんなで写るなら着替えてきますね」」
「よし! タイマーセット! 撮るぞ!」いつの間にか、タイマーなんて機能が使えるようになっていた。
ピピッ! タイマーセット完了の電子音が鳴る。
「「はい? ちょっと待ってくださいよぉ! なんでブッチョさんはいつも勝手に撮り始めるんですかぁっ!」」
「は? なに言ってんだ? 見ろよライ丸達はもう準備万端だぞ!」
ライ丸姉妹は、携帯の前で澄まし顔で手を繋いでいる。
「「ぎゃふん! ライ丸ちゃん達ずるい! ブッチョさん、私こんなイタい格好じゃ嫌です!」」やはり自分でもイタいらしい。
「いい年こいてアニメキャラの扮装なんてするからだろ! お前が着替えてる間に、ライ丸達寝ちまうぞ!」
「「たしかにさっき着替え終わったときも、ライ丸ちゃん達眠そうでしたけどっ! それでも着替えたいんですっ!」」
そんな言い争いをしている二人の前で、ライ丸姉妹は笑顔で立ち尽くす。立ち尽くしながら思う、タイマー長ぇ!
ブッチョがタイマーをセットしてから、すでに30秒以上が経過していた。
笑顔で立ち尽くす子供二人と、言い争いをする男女二人。
彼らはしらなかった。
その醜態がムービーで撮影されていたことに。
新たな黒歴史の誕生である。
第おまけ話了