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EVIL  作者: 頻波幾瀬
8/12

8 いつか離ればなれになりそうな

 まりなは結局、町の学校が合わないとかで、李人と同じ田舎の中学に来ることになった。

 もちろん一緒に暮らしている。

 彼女の自己紹介は以下の通り。


「将来の夢は李人の嫁になること。まりなでっす。キラッ」

 ピースサインしてウィンク。

 盛大に滑った、女子の間では。男子はズキューンと胸を撃ち抜かれた。

 彼女は初日こそちやほやされたが、次の日には李人としか話したくないと言い出し、一週間後には学校に来なくなった。


 李人は家で宿題をした後、自分の病状を分析していた。

 昔の日記を読む。

「アリカとリカがいて、李人、すなわち俺が発生したわけだが、それは本当に俺なのか」

 今、アリカの声はしない。眠っているのだ。

「十字架が、主人格だとしたら。そしていじめられる李人を守るためにもう一人の李人、すなわち俺が生まれたということはありそうだ」

「なにぶつぶつ言ってるの」

 まりなが話しかけてくる。


 李人は尋ねた。

「宿題は? 俺が毎日持ち帰ってるわけだが」

「学校やめる」

「やめたらどうなるかわかる」

「李人の嫁になるもん」

 李人は少し考えてから言った。

「俺は勉強しない女の子は嫌いだな」

「一次方程式、教えて」

「一人でやれ」


 そこへ母がやってきて、教えてやれと言った。父はテレビで野球を見ている。ジャイアンツと阪神だ。

 李人は教えてやることにした。まりなはかわいい。本当に将来、結婚するのだろうか。中学校にも気になる女子がいる。

 それでも、やはり、まりなと話すのが一番気安い。

 父が心中を見透かすように言った。

「お気楽に話せる仲が一番だぞ」

 ビールを飲み、ぱあ、と息を吐く。

 将来。霧しか見えない。今はただ、このままでいいのだ。

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